毎週水曜日連載中の『教えて!サクラバレエ』シリーズ。
見学や体験レッスンに来てくれた方達が書いてくれたアンケートの質問への答えや、私発信でサクラバレエについてのお話しをしています。
20回目の今回は前回の~トゥシューズについて~の続きからです。
ちなみに前回の記事 ~トゥシューズについて①~ はこちら↓
https://ameblo.jp/sakuraballet/entry-12461511381.html
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前回は、大人からバレエを習っても、トゥシューズを履くことは出来る。
ただし、骨格によって履きやすい、履きにくいはあるというお話しでした。
とはいえ、バレエを習う前から「トゥシューズを履きたいからバレエを習う!」という人はあまりいないと思います。
「子供の頃からバレエ漫画のファンで」という人や、「舞台でバレエを観るのが大好きで」という人の中には最初からトゥシューズに強い憧れを持たれていることがありますが、ほとんどの人は「ああ…トゥシューズ…はい。」という感じです。
私もその1人でした。
確かバレエを習いはじめて1年後くらいだったでしょうか。
発表会に出ますか?と聞かれて、訳もわからず「はい」と答えると、「じゃあ、トゥシューズを履きましょう」と言われて「ハッ」でした。
(トゥシューズ…そうか、バレエを習っているからトゥシューズを履くことになってもおかしくない。なるほど。)と思ったくらいで、嬉しいとも嫌だとも何とも思いませんでしたが、きっとそういう人は多いのではないかと思います。
そもそも一番最初は「バレエを習うことになったらトゥシューズを履いてレッスンするもの」だと思っていたような気がします。
バレエを習ったことのない人は、もしかしたらそう思っている人の方が多いのかもしれません。
私もバレエを見学に行って、「あれ?トゥシューズを履いてレッスンしないんだ。違う靴なんだ。」って思ったような気がしますので、同じような人も多いのではないかと思っています。
ご存じの方も多いかもしれませんが、バレエは、普段のレッスンは『バレエシューズ』という靴を履いて練習します。
イメージは少し分厚くて、かなりゴツゴツした靴下で靴底が革というイメージでしょうか。
足の裏を鍛えるために、裸足に近い感覚でレッスン出来て、なおかつ摩擦やジャンプの衝撃から足を守るように出来ています。
バレエシューズ
一方、トゥシューズというのは、爪先がかなり硬く、釘が打てるくらいです。(打っちゃだめですよ)
冷凍したバナナと同じくらいの硬さをイメージして下さい。
靴底はバレエシューズと同じように革で出来ています。
それを自分の体重で少しずつ柔らかくしていって、立ちやすい形状にしながら踊るのです。
トゥシューズ
最近、フィギュアスケート選手の靴のことが度々話題になりますが、話を聞いていると感覚としては似ているように思います。
硬すぎてもダメ、柔らかすぎてもダメ、自分の脚にあわせて育てるような感覚です。
(トゥシューズを履いたことがない人にとっては???な話だと思いますが)
その他にも、キャラクターシューズと言って、低くて太い踵がついた靴もあります。
踵を打ち鳴らして踊る、キャラクタ―ダンスという種類のバレエを踊る時に履きますが、やっぱりバレエを習い始めるとみんなが履きたがるのはトゥシューズです。
バレエを習っている女性のほとんどの人がトゥシューズに憧れる訳。
それは、色々あります。
まず、トゥシューズの形状。
色、形、素材。
パステルピンクで、ツルンとしたサテンで出来ていて、丸っこくて可愛らしいフォルム。
チュチュとセットで身につけると気分が上がります。多くの女性は「可愛い~」となります。
初心者クラスの前のミニクラス、イントロクラスでトゥシューズについてお話しする時に実際にトゥシューズを見て、触って、時によっては足を入れて立ってみてもらう(初心者さんは立つだけで一歩も動きません)のですが、みんな目がハートになっています。お顔がパッと輝いて、「ええっ、いいんですか~
」と言いながら、宝物のように手にとって嬉しそうに大切に触っています。
あれはやっぱり男性にはなかなか理解しにくい、女性ならではの感性かなと思いますね。
次に、トゥシューズを履いて立つと背が高くなるので視線が上がります。
すると、いつもと風景が違って見えて面白いんです。
なぜか気分が上がります。
高いところに登って景色を見ると良い気分になりますよね。
そんな感じです。
それから、スタイルが良く見えます。
だって、脚だけが長くなるんですよ
地面に立っている時から比べると、15㎝くらい脚だけが長くなるんですよ?
その上、チュチュを身につけるとスカート丈がかなり短かいですから、脚長効果倍増です。
「あらっ?!私ってこんなにスタイル良かったかしら?!うふふふふふ」になる訳です。
さらに、トゥシューズを履くと姿勢が良くなります。
身体を上へ上へと引き上げないと立てない、姿勢を保てないので、トゥシューズを履いた瞬間に姿勢が良くなり、その姿勢を保つための筋肉が鍛えられます。
ほんの5分、10分履いただけで、自然に汗が吹き出してきます。
おそるべし、トゥシューズです。
そして、トゥシューズを履くと自分に足りないものが分かるんですね。
つま先が伸びていない、身体が引きあがっていない、骨盤が立っていない。
普段のレッスンで言われていることが一つでも出来ていないとトゥシューズでは立てません。
トゥシューズって答え合わせなんです。
バレエシューズならごまかしがきいても、トゥシューズはごまかせない。
きちんと「ここ!」っていう場所に軸が取れていないと立てないんです。
「お主もまだまだよのぅ…」
トゥシューズって、私の中ではそう言いながら温かく見守ってくれる仙人か師匠のようなイメージなのです。
はじめてトゥシューズを履いた日から、この仙人との旅は続くのです。
つづく