教えて!サクラバレエ その7 ~本気のバレエ教室ってどういうこと?⑦ | サクラバレエ 

サクラバレエ 

サクラバレエは岡山市にある“大人からはじめる本気のバレエ教室です。
ワガノワメソッドに基づいた大人向けカリキュラムで段階を踏んで上達
出来るよう1人1人丁寧に指導しています。未経験の方ぜひどうぞ!
※スケジュールや料金は“テーマ”から♪

毎週水曜日連載中の『教えて!サクラバレエ』シリーズ。

見学や体験レッスンに来てくれた方達が書いてくれたアンケートの質問への答えや、私発信でサクラバレエについてのお話しをしていきます。

 

7回目の今回は、~本気のバレエ教室ってどういうこと?~の続編になります。

前回は、バレエには“音楽にも本気がある”というお話しでした。

 

ちなみに前回の記事はこちら↓

https://ameblo.jp/sakuraballet/entry-12439451899.html

 

 

サクラバレエの“システムの本気”について、今回はレッスン回数という視点からお話ししてみたいと思います。

普通のバレエ教室では、大人のバレエクラスは週2~3回であることが一般的です。

なぜなら、子供クラスの空いている時間を利用してクラスが作られているからです。

 

ところが、バレエというのは、“筋肉に記憶させる”芸術なのです。

よく、バレエを習っていると姿勢が良い、と言われますが、これも、筋肉が記憶しているから。

バレエを習っていて「姿勢が良いですね!」「ダンサーみたいです!」と言われる人は、大人も子供も、おそらく週5日以上、10年近くはレッスンを継続して行っているはずです。

すると、筋肉が記憶するので身体が引きあがっていて、いわゆる“良い姿勢”になります。

私はバレエの自分のレッスンをやめてもう10年になります。

それでもショップの店員さんなどから「姿勢が良いですね」と言われることがあります。

筋肉が、まだ記憶しているんですね。

 

バレエは『ターンアウト』と言って、爪先を外に向けて立つことが基本中の基本ですが、これが難しいのです。

だって爪先は普通前を向いていますからね。

それを180度横に向けることが前提の技がワサワサあるのです。

ジャンプや回転中のお膝と爪先は外向きです。そうじゃないと、美しくないし正しく出来ない。

ところが、跳んでいる最中に

「つま先、そとー!」なんて、考えている余裕ないのです。(ベテランになると、出来ますけれどもね)

クルクル回りながら、

「えいっ!お膝、そとやー!」なんて、やってられないのです。(ベテランになると、出来ますけれどもね)

だから、ほおっておいても、バレエシューズ履いたら“つま先、外”モードになるよう、筋肉に憶えてもらう必要があります。

だから、毎日、毎日、バーレッスンで“つま先そと”“お膝そと”で動く練習を繰り返し、繰り返し、やるんですね。

それをやった上で、センターレッスンで、腕もつけましょう、お顔の向きもつけましょう、動いてみましょう、踊ってみましょう、になる訳です。

 

だから、一番初心者さんのクラスは『踊る練習』というよりも『動く練習』になります。

よく、見学や体験レッスンに来られた方に「先生、私、踊りが笑っちゃうくらい下手なんですけれど、大丈夫でしょうか?って聞かれるんですけど、「大丈夫です!」と答えます。

「大丈夫です!うちの初心者クラスはラジオ体操が出来る人なら、いけます!」と。

なぜなら、初心者クラスは“踊る”クラスではなく“考えたり感じたりしながら動く”クラスだからです。

そこから踊りになるかどうかは、本人次第です。

 

だから大人のクラスが週2~3回しかないバレエ教室は、もう最初から上手にならなくてよろしい!と言うわけです。

そういうバレエ教室に通って、「先生が本気で教えてくれない」「大人は発表会で良い役はもらえない」とぼやいても、残念ながら、そりゃあそうでしょう、ということになります。

一般の方はご存じない方が多いと思いますが、バレエの世界では常識ですので、先生達は、そのつもりです。

甲子園目指すはずの高校野球部で、“週2~3回の練習でOK!”となっていたら、それはもう選手枠じゃなくてマネジャー枠ですから。

そして、サクラバレエにクラスが沢山あるのは、

「あなたの好きな時に好きなクラスにいらっしゃいドキドキ

「いっぱいお休みしても、大丈夫キラキラ振り替えるクラスは沢山ありますからウインク

では、ないのです。

本気の生徒、または今はそこまで本気じゃない人が、いつか本気になった時用に用意してあるのです。

 

もう1つ言うと、大人クラスが週に2~3回しかないバレエ教室は、レベル分けがほとんどなかったりします。それは、数少ないレッスン日にみんなが来れるように、という工夫の上でとられているシステムなのですが、これが、くせ者なんです。

 

だってね、英語習う時にレベル分けされていないと、不安になりませんか?

ABCがわからない人と、帰国子女でペラペラの人が一緒のクラスで大丈夫でしょうか。

 

また、パソコン習いま~す!ってなって、キーボード指1本でこわごわ触っている人と、プログラム組んじゃえる人が一緒のクラスで大丈夫でしょうか。ちゃんと上手になれますかね?

そして、大抵は、帰国子女さん、またはプログラマーさんにあわせたレベルのレッスンになります。

レベルの高い人は、みんなの憧れを担う役ですから、やめられては困るわけです。

また、バレエは上手な人にあわせてレッスンすることが基本です。なぜなら、上手だということは、それだけ努力をしている、努力をしてきた、というのがバレエの世界の考え方です。

そうなると初心者さん達はもう、

“英語を習っている自分”

“パソコン教室に通っている自分”

帰国子女さんのまねごとをしてみたり、さっぱりわからないままレッスンを受け続ける。

驚異的に運動神経が良かったり、

天才と言われるほど才能がある人は、もしかしたらそこそこ上手になるかもしれません。

けれど、99%の人は、“とにかく参加していること”“バレエを習っている自分”に満足するしかないレッスンになってしまいます。

 

ちなみに、都市部などでは大人向けのバレエクラスが毎日何かしらあり、様々な先生のレッスンを日替わりで受けることが出来るスタジオもあると思います。

プロのバレエダンサーなど美しいお手本を見て、毎日レッスンしていれば、上手になりそうな気がしますよね。

でも、上手な人と一緒にレッスンすれば上手になるなら、世界最高峰と言われるワガノワバレエ学校もオペラ座バレエ学校も、子供たちをプロのダンサーまたは高学年のお姉さんたちと毎日一緒にレッスンさせるはずです。

先生もレオタードにピンクタイツで美しく踊って見せるはず。

でも、それはどこの学校でもしていない訳です。

年齢別、学年別、レベル別にわけて、カリキュラムにのっとってレッスンして、厳選された人がプロのバレリーナになる。

それはつまり、“上手な人と一緒にレッスンしても上手にはなりませんよ”

“先生が綺麗にお手本してくれるだけでは上手になりませんよ”

という答えをすでに教えてくれている訳です。

でも、バレエを習ったことがない大人はそれがわからないので、そこにひっかかってしまう。

モデルと一緒に毎日生活したら、モデルのように美しくなれますかね?

答えは「NO!」

大切なのは美しくしてくれるためのプロ、ウォーキング、ヘアメイク、言葉づかい、所作、食事指導、マナー、エクササイズこれらの基礎を先生に一からきちんと教えて頂くこと。、そしてあとは、本人の努力次第ですよね。

だから、運動のため、またはストレス解消のため、またはリア充のためには大変便利なシステムですが、残念ながらこのシステムではバレエはあまり上手にはなりません。

刺激的ではありますが、バレエは同じ指導者(または同じ指導方針とカリキュラムで指導してもらえる)のクラスでなければ、毎日レッスンを受けても残念ながらあまり上手にはなりません。

例えるなら、1人の恋人と週5日会うのと、5人の恋人に毎日とっかえひっかえ会うのを10年続けた場合、でイメージしてもらえばわかりやすいかと思います。

自分が相手をとっかえひっかえしたまま継続する、ということは、もちろん相手もとっかえひっかえしていてあなたには本気ではない、ということですから。

何人ものお相手とお付き合いするよりも、1人のお相手と色々なことを乗り越えていく方が人間的に成長出来るし、幸せに近いことは、大人ならわかること。

 

それに私、NYにいた1ヶ月足らずで、100人近い先生のレッスンを受けたんですね。(バレエに限らず、ですが)

毎日、クタクタになるまで踊りました。

意識はものすごく、変わりました。

体も変化しました。トゥシューズのサイズが変わるくらいでした。

メンタルも鍛えられて、人としても強くなりました。

沢山の刺激をもらいました。

勉強にもなりました。

でも、踊りが目に見えて上手になったかと言うと、そうは思えませんでした。

自分が進もうとしている道が正しいのか、間違えているのか、

今日の自分は昨日と、先週と、どう違うのかを見守っていてくれて、客観的に教えてくれる人がいないというのは、ただ前に進むだけのことがこんなにも難しいのか、と思いました。

ある先生は、重心をつま先に、と言い、ある先生は重心はかかとで良い、と言われる。

ある先生は、肩甲骨をしめて、と言い、ある先生は肩甲骨をしめちゃだめ!と言われる。

今になってわかるのは、結局は同じことを言おうとされていたのですが、教師やプロでなければそこをくみとることは難しく、何が正しいのかわからなくなって、自分でこうかな?と勝手に判断するしかない。

そして、「肩甲骨をしめて」と言われている先生の前で肩甲骨をしめないと、(ああ、この人は私の言葉に耳を傾ける気はないのね。はいはい。ご自由に)と思われて、もう注意をもらえなくなります。信頼関係が崩れるわけです。

 

それはまるで無人島で毎日髪を整えて、メイクして、お洋服を着て、お洒落をしてはみるけれど、それが良いのか悪いのか、誰も見ていない、気にしていない、似合っているのかさえわからない。

または、口々に好きなことを言われるので、混乱して迷宮入りしてしまうのに似ています。

毎日、毎週、毎年、自分のことを見てくれていて、

「最近のヘアスタイル良いですね」

「その色は似合っていませんね。」

など言ってくれる人が必要なのです。

一貫した意見をもらって、はじめて

(やっぱりそうなんだ)

(いいえ、人からはそう見えても、それでも私はこれが好き!)

など自分を知ることが出来ます。

参考にはなります。

でも、自分の成長を一貫して見守ってくれている人がいない、というのは道を誤ります。自分を見失いがちになります。

そんな感覚に近かったように思います。

 

私は常々、教師は生徒の鏡だと思っています。

今日は髪が跳ねているよ、腕が曲がっているよ、と客観的にその人の状況を伝える役割。

鏡が沢山あると、どの鏡を見れば良いのかわからず、自分にとって都合が良い(細く見えるとかね)鏡だけを選ぶようになります。

時に違う鏡を見るのはOK、でも信用出来るフラットな鏡を持ち、それを日々のぞく、ということの大切さは、やはりバレエならではないでしょうか。多くのバレエ教室が未だに師弟関係であるのも、そういったところにも理由があるのだと思います。