毎週水曜日に連載中の『プリマの条件』シリーズ。
バレエでプリマ(主役)になるために必要なことの中から、“人間力”についてお話しさせて頂いています。
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35回目になる今回は、『維持する力』についてのお話しです。
維持する力とは、自分の意志で保ち続ける力のこと。
もしかしたら、キープ力、と言った方がピンとくる人も多いのかもしれません。
よく、体型維持のことを、スタイルキープなんて言ったりするように、そのままの状態を保つこと。
バレエにおいて、この“維持する力”が大切になってくるシーンとしては、
モチベーションを保ち続けること。
バレエの上達に「上手になりたい!」「あんな風になりたい!」というモチベーションは大切ですよね。
そうやって、自分の中に出来た目標を達成するためには、一瞬だけやる気になっても意味がないことが多く、「持続力」が求められます。
どうしたら持続できるのか?というと、やはり、ワクワクし続けることが大切です。
持続できるワクワク感というものを見つけるには、やはり「好き」なものに敏感になることがポイントです。
バレエのこの動きが好き。
レッスン中にかかるこの曲が好き。
このレッスンウェアは着心地が良くて好き。
今度の発表会で頂いた役が好き。
トゥシューズを履いて踊ることが好き。
好きなものに対しては、自然とエネルギーが湧き出てきます。
「好き」だから、続ける。
とってもシンプルですよね。
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さらにその上の、モチベーションを維持するためにポイントとなるのは、
「誰かのために」という想いでしょうか。
よく、アイドルが「ファンの皆さんのために」って言いますよね。
お父さんお母さんが「家族のために」「子供のために」って言いますよね?
人は「この人のために」と思ったときに、信じられないほどのパワーを発揮します。
プリマはよく、「お客さまのために」って言います。
「日本のバレエファンの皆さんのために踊ります」
「応援してくれているファンのために頑張ります」
「観に来て下さった、お客様のために踊ります」
「だれかのために」はモチベーションを長く持続させるためにはとても大切なものだと思うのです。
バレエは独りよがりでは踊れません。
自分1人の世界に閉じこもっていては、大人数で踊るバレエは踊れないのです。
「自分のためではなく、観に来てくれるお友達やお客様のために踊ってね」と私もよく生徒に言います。
お客様のため、一緒に踊る仲間のために、と思えば、自然とやる気も出てくるでしょう。
もしかしたら、大好きな先生のためにがんばる~!でもいいかもしれません。
あなたが、この人を喜ばせてあげたい!と思う人は誰でしょう。
その人のために、頑張る。
その人の笑顔を見るために、頑張る。
それが、最強のモチベーションであり、“維持する力”なのではないでしょうか。
あなたが笑顔を見たい人は誰ですか?
あなたの幸せを喜んでくれる人は誰でしょう?
人は、自分のためにだけ頑張るのでは、限界があります。
私が7年もサクラバレエを続けてくることが出来たのは、生徒達がいてくれたおかげです。
この人達の笑顔が見たくて、
この人達の居場所をつくってあげたくて、
この人達が少しでも幸せになれるお手伝いがしたくて、
この人達が少しでも自分の夢に近づけるサポートをしたくて、
ここまで来ることが出来ました。
バレエの先生になって、チヤホヤされたいとか、
ジャイアンのように威張りたい、というのがモチベーションだったとしたら、
こんなに長くは続けられなかったと思います。
とっくに投げ出していたと思います。
サクラバレエが始まった時から、ずっと、私のモチベーションは「生徒のために」です。
生徒達がいてくれるから、頑張れる。
生徒達がいてくれるから、この先の未来を、10年後、20年後のビジョンを描ける。
生徒達がいてくれるから、私は先生としてバレエと関わり続けられているのです。
ありがとう。
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ちなみにバレエの発表会に出演することも、モチベーションを保つためにとても大切なこと。
次はもう少し目立つ場所で踊りたい。
いつか、あの役を踊ってみたい。
来年こそはトゥシューズで踊るぞ!と。
・・・サクラバレエ、本番まであと1ヶ月半。
パーフェクトな先生じゃないけれど、それでも私は発表会に向けて、最後の最後まで生徒達のためにベストをつくし続けます。
皆さんも、自分のすべてを出し切って、お客様のために、仲間のために、(ついでに先生のためにも)ベストをつくして、最後まで一緒に頑張りましょう!
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次回は『維持する力』とよく似ているようで、少し違う、『継続する力』についてのお話しです。
お楽しみに♪