毎週水曜日に連載中の『プリマの条件』シリーズ。
バレエでプリマ(主役)になるために必要なことの中から、“人間力”についてお話しさせて頂いています。
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36回目になる今回は、『継続する力』についてのお話しです。
前回の『維持する力』と何だか似ているような気がしますが、『維持する力』どちかというと、気持ちを保ち続ける力、モチベーションをキープする力のことでした。
今回の『継続する力』も良く似ているようですが、あえて言うなら、こちらは目的や目標を達成するために、“やり続ける力”や“やり抜く力”とも言えるでしょう。
では、どうすれば“やり続けること”が出来るのか。
“やり抜くこと”が出来るのか。
それには、目的や目標が必要になってきます。
いつか〇〇をしたいから、〇〇する。
いつか〇〇になりたいから、〇〇し続ける。
いつかサッカー選手になりたいから、練習する。
いつかモデルになりたいから、食事に気をつけるする。
いつかバレリーナみたいになりたいから、ストレッチする。
職業柄、よく「どうすれば、体が柔らかくなりますか?ストレッチを家でやるんだけど続かなくて。」と、バレエを習っていない方から質問されますが、
(いや~、それはそうでしょう。続かなくて当たり前でしょう。)と思う訳です。バレエを習っていない普通の人が自宅で体を柔らかくするのは大変だろうな~と。
なぜなら、普通は体を何のために柔らかくするのか、の目的がないからです。
雑誌に「体が柔らかいと痩せやすい!」とか、「体の柔らかさが美女をつくる!」なんて書いてあると、(そうか!じゃあ、がんばろう!)って思うけれど、あまり具体的なビジョンではない訳です。
そうなると、はっきりとした目的を持ちにくいので、(同窓会までに胸が床につくようにする!とかないですもんね。普通。)継続できなくて、当たり前なんですね。
それに比べて、バレエは体が柔らかくなると、出来る技、テクニックが増えていきます。
脚が高く上がったり、見栄えも良くなるので、主役などに選ばれるチャンスも増えます。
だから、バレエが上手になりたい人、踊りたい役があって、そのテクニックに必要な人、いつか主役を踊れるプリマになりたい人などは、目的があるので、自然にストレッチが継続するんですね。
それに、そもそもレッスン前にストレッチなどをする人も多いので、その時に体の柔らかさを人前で披露することになりますので、
(家でもちょっと、頑張ろうかな・・・)
と、なりやすいんですね。
つまり、継続する力を身につけるためには、目的や目標をしっかりと持つこと。そして、プラスのモチベーションで動くこと。
「ストレッチしないと、先生に怒られる・・・」や、
「監督に怒られるから、野球の練習に行く」などの、マイナス、つまりネガティブな理由で動くと、実は上手くいなかいし、続かない。
「発表会、失敗したらどうしよう。」
「このままじゃ、マズイよね~。」などの、ネガティブな理由で動くと、100%失敗するし、マズイことになる。
そうではなくて、「発表会、このメンバーで踊れるのは最初で最後だから悔いがないように頑張る」だとか、
「キッチリ揃えて先生やお客様をびっくりさせちゃおう!」
「あ~、もう、大変だけど、楽しい!」などのように、ポジティブな理由で動くと、頑張れるし、きちんと出来るし、楽しいんですね。
ここで、久しぶりに、メンタルトレーナーの一面を見せちゃいますけれど、
脳は肯定でしか、ものを考えられないので、否定的なことを考える、例えば
(間違えちゃ、ダメ)なんて思うと、脳が“間違える”を検索した後、“じゃない状態”と置き換えるので、“間違える”可能性が高くなるんですね。
だから、脳の構造上でも、ネガティブに考えることはお薦めしません。
ポジティブに肯定型でものを考えた方が良い。
つまり、“目的を持って、ポジティブに行動すれば、継続出来る”ということなのです。
バレエを習う上で、なんとな~く、目的を持たずに、
“もうちょっと上手になりたいなぁ~。いつか回れるようになるかなぁ”くらいのモチベーションな人と、
“ぜったいにあの役が欲しい!”“来年はトゥシューズを履いて踊る!”なんて思っている人とでは、継続出来る可能性が大きく変わってきます。
継続は力なり。
プリマになる、たった一つの道は、バレエを続けること。
これなくして、プリマになれることは、あり得ません。
目的や目標を持って、プラスのモチベーションで、レッスンを継続すること。
プリマになるために、必要不可欠なことです。
継続力のある人は、バレエに限らず、勉強でも何でもそうですが、当たり前のように、これが出来ています。
また、この目的や目標を発表する、というのも大切です。
人前で自分の目的や目標を言葉にすることによって、「引くに引けない」という状態になります。
すると、目標を達成するために、頑張れるのです。
実はこれって、いつもサクラバレエがやっていることなんです。
毎月のみんなの前での目標発表には、こんな目的もあったのです。
バレエは、続けてこそ、なので。
どんなに素質や才能がある人でも、継続出来なければ、プリマにはなれないのです。
だから、逆に継続出来る人は、それだけプリマに近いと言えるでしょう。
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プリマの条件。
今週は“継続力”についてのお話しでした。
次週をお楽しみに♪