毎週水曜日に連載中の『プリマの条件』シリーズ。
バレエでプリマ(主役)になるために必要なことの中から、“人間力”についてお話しさせて頂いています。
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31回目になる今回は、『凛々しさ』について。
“凛々しい”と言うと、男性への褒め言葉のようなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、女性にも当てはまる言葉です。
(女性には“凛とした”という言葉で表現されることが多いように思いますね。)
きりっとしている。
引き締まっている。
さっぱりとしている。
勇ましい。
雄々しい。
こういった意味で使われることが多い。
私の中では、“シャキッとした”というイメージがありますが、
男性的要素の中の1つであり、“強さ”や“賢さ”ともリンクしていますね。
強いだけでは凛々しくないし、賢いだけでも凛々しくない。
強く、賢く、勇気があり、身も心も引き締まっている。
それが、“凛々しさ”。
男性がキリッと凛々しいのも、素敵ですが、
本来、フワッとしていて優しい女性の内面に、この凛々しさがあると、
いわゆる“芯が強く、しなやかな女性”になるわけですね。
この“しなやかな女性”というのに憧れて、バレエをはじめる大人の女性が実はとっても多いんですね。(サクラバレエ比)
サクラバレエでも、今年の春に、生徒達がそれぞれ、自分の5年後、10年後の目標を考えて発表した時にも、実は一番多かったのが、この“しなやかな女性”になりたい!というものだったんですね。
〇〇という役を踊りたい!というのを抑えての、堂々の第一位だったんですね!
そんな私をよそ目に、
「バレリーナのようなしなやかな女性になりたいです!」
「一目で、“バレエ習ってる?”とわかるような女性になりたいです!」
と力説するスタジオ生達 ←それはそれで、ちょっとショックだったらしいガーン…
もしそうなりたいのであれば、身も心も引き締まって、凛とした強さがないとね。
レッスンに来て、ダラダラとしていては、もったいない!
スタジオに入った瞬間から、シャキッ!と身も心も引き締めて、一回一回のレッスンに集中するのです!
それが何か月、何年と続くと、身も心もキリッと引き締まった、美しくしなやかな女性になれるのです。
大人になると、日常生活でそう緊張したり、身が引き締まることが少なくなってきますでしょ?
家でダラダラ~っと過ごしたり、仕事にも慣れてそれなりにやっても出来るようになり、お友達とペチャクチャ~とおしゃべりして、家に帰って、グダグダ~っとしてたらね、心も身体も引き締まりようがないわけですよ。
身と心、一体いつどこで引き締めるねん!っていうね。
バレエ教室っていうのは、基本的にシャキッ!としに行くところなんですね。
バレエの先生が怖いのも、生徒の身と心を自然にシャキッ!とさせてあげるためのサービスなんですね。
スタジオに入った瞬間、心と身体を引き上げてキリッとするように。
うちは、そんな親切なサービスがないので、自分で自分の心と身体を引き締めなくてはいけませんが。
でも、バレエ教室というのは、凛としていることが、当たり前の場所なんですね。
みんなそうしているから、恥ずかしくない。
むしろ、シャキッとしていない方が恥ずかしい。
週に1回でも2回でも、心身ともにシャキッとさせている人と、
ず~っとダラダラしている人とでは、そりゃ5年後10年後の身体と心が違ってくる訳ですよ。
緊張を楽しむための場所。
心地よい緊張感の中に自分の身を置ける場所。
勇気を出して、新しいことに挑戦するための場所。
さらに、舞台に上がるとなれば、緊張感はいやおうでも高まってきます。
心地よい緊張感と高揚感に包まれて、客席からのアツイ視線を浴びながら踊って、成長しない訳がない!凛々しく、美しくならない訳がない!
だから、バレリーナは皆、凛々しいです。
動作や所作は柔らかいですが、内面はシャキッ!と一本筋が通った、軸のある人が多いですね。
プリマなら、なおさらです。
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・・・ちなみに余談ですが、最近読んだ本が、ファッションを通して女性の生き方をレクチャーするような本だったのですが、“凛とした女性になる”というようなタイトルがついていて、かなり面白かったのですが、
その本には“凛とした女性になるためには、よい姿勢を心がけること”と書いてあったのですが、一般の人が日常生活でよい姿勢を心がけても、実は残念ながらよい姿勢にはならないんですよね。
・・・なぜなら、姿勢をよくするための筋肉がないから。
・・・姿勢をよくするためのコツを知らないから。
・・・よい姿勢がどういうものなのかがわからないから。
・・・楽に良い姿勢を保つための、正しい姿勢を知らないから。
そして、極め付けは、
“筋肉が、よい姿勢を記憶していないから”
バレリーナの姿勢が良いのは、筋肉がよい姿勢の位置を記憶しているから。
よい姿勢を筋肉に憶え込ませるために、バレリーナは毎日レッスンするのです。
だからね、良い姿勢になりたい人は、日常生活でちょっとやそっと心がけても、良い姿勢にはなりませんよ~。
聞いたことないでしょ?ひとりでに姿勢が良くなった人(笑)
だまされちゃいけない(笑)
ちなみに、この本の帯には、
“まわりに流されずに、気品をもって情熱的に生きる。”と書いてあるのですが、それって、バレエじゃん、と思わず微笑んでしまいました。
・・・それって、自分でそうなろうと思ってもむりだよって。
バレリーナだって、教師と生徒が二人三脚で10年やってそこまでたどり着けるかどうかなのに。
自分で意識するくらいでは、まずムリでしょうね。
まあ、バレエは姿勢がよくなくては、回転もジャンプもトゥシューズで踊ることも出来ないので、それはあまりにも当たり前すぎるので、わざわざそこだけをアピールする気はないのですが。
でも、姿勢を良くして、まわりに流されずに、気品をもって情熱的に生きたいなら、やっぱりバレエでしょ(笑)
そんな方は、1人でどうにかしようとせずに、ぜひサクラバレエへいらっしゃ~い
おっと!いつの間にか宣伝してしまいました
あぶないあぶない。 ← わざとらしい
という訳で、プリマの条件。
今回は“凛々しさ”についてのお話しでした。
最後まで読んで下さって、ありがとうござました