毎週水曜日に連載中の『プリマの条件』シリーズ。
バレエでプリマ(主役)になるために必要なことの中から、“人間力”についてお話しさせて頂いています。
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27回目になる今回は、『分析力』についてのお話しです。
分析力とは、“分析する力”つまり、
『“物”や“事”を分解して、その内容や性質、成分、要素、側面を明らかにする力のこと。』
・・・なんだか、むずかしそうですが、つまり
「どうして?」
「なんで?」
と思うことが、その第一歩なのではないでしょうか。
どうして、上手に回れないの?
どうすれば、出来るようになるの?
どうすれば、美しく見えるの?
どうしてあの人の踊りは、美しいの?
どうすれば、より完成度の高い踊りが出来るの?
どうすれば、観る人の心を動かす踊りが出来るの?
どうすれば、先生に言われたことが出来るようになるの?
どうすれば、爪先は伸びるの?
どうすれば、内ももを使って踊れるの?
つまりこれは、以前にお話しした『考える力』ともリンクしているんですね。
この“分析”はレッスン中にも出来ますが、レッスン中にあんまりじっくりと分析していると踊れないので、基本的にはレッスンをしていない時にどれくらいこのことに時間を割けるか、というのがポイントになってきます。
レッスンの後に、その日、上手に出来たところや、逆に上手くいかなかったところを思い出して分析する。
発表会のビデオを観て、自分を客観的に分析する。
レッスン中でも鏡にうつる自分の動きと、先生や上手な人の動きを見比べて、どこが違うのかを冷静に分析する。そして、直す。改善する。
バレエのレッスンって、ライブなので、その場でその瞬間にしか出来ないことが沢山ある。
けれど、その時間までに自分が考えてきたこと、分析してきたこと、作戦を練ってきたことを、試す場所でもあるのです。
(今日は思い切って、腕の力をいつも以上に抜くようにしてみよう。)
(回転の時、慌てすぎるから、今日は落ち着いて、回るというより、立って振りむく感じでいこう)
など、前回のレッスンをふまえて分析した結果を、次のレッスンで活かす。
これは、舞台のパフォーマンスなどでも同じことです。
経験する → 分析する → 改良する → 自分のものにする
人生もバレエも、この流れがあるかどうかが大切です。なぜなら分析力がないと、
経験する
だけで、終わってしまうからです。
それでは、あまりにも、もったいない!
ちなみに、バレエ教師というのは、ある意味、分析のプロでもあります。
教師は常に生徒のことを分析しています。
この生徒がこの動きを出来ないのはなぜか。
軸がとれていないからなのか、筋力が足りないからなのか、テクニックでマスターしきれていないものがあるからか。
今日はレッスンにあまり集中出来ていないようだけど、なぜか。
今日はやる気に満ち溢れているようだけど、なぜか。
どの言葉を使えば、この生徒には届きやすいのか。
常に分析しています。
ちなみに、この“プリマの条件”シリーズも、分析した結果を発表しているようなもの。
分析して、改良して、自分のものにしていく。
プリマになるためにも、教師になるためにも“分析力”は大きなスキルになります。
ぜひ、チャレンジしてみて下さい。