サクラバレエ 第4回クリスマス会写真の続きです
第2部 『ドン・キホーテ』より ~夢の場~
5.キューピットのヴァリエーション
今回、キューピットを踊った彼女は、実は代役でした。
もともとはソリストを2人で踊る予定だったのですが、キューピット役を踊る予定だった人が急に参加できなくなったため(最終的には参加出来たのですが。)、キャスティング発表後15分くらいで急にキューピットを踊ることになりました。
「私はキューピットというタイプではないんですけれど。」と言いながらもチャレンジすることを決めた彼女は、どちらかというと姫タイプのおっとりとした踊りを得意としていたのですが
「あなたにしか踊れないキューピットをつくっていきましょう」という提案をして、練習をスタートさせました。
急な代役にもかかわらず、彼女をキューピット役に抜擢した理由は、
おっとりとした見かけによらず、実は負けず嫌いで頑張り屋さんであること。
責任感が強く、必ず本番までに仕上げてくれるという信頼出来る人柄であること。
振付を憶えるのが早いこと。
スタイルが良いこと。
身のこなしが軽いこと。
笑顔がとても素敵であること。
美意識が高く、センスが良いこと。
演技力があること。
ユーモアがあること。
サッパリとした性格であること。
努力家であること。
謙虚であること。
レッスンマナーが良いこと。
レッスンを休まないこと。
集中力があること。
本番では、上品でエレガントで笑顔が素敵な、彼女オリジナルの魅力的なキューピットに仕上がったと思います。
素敵な踊りをありがとうございました。
6.ドルシネア姫のヴァリエーション
夢の場における主役であるドルシネア姫。ドン・キホーテの憧れの女性という役どころです。
今回、彼女をドルシネア姫に抜擢した理由は、
まず、こんなにストイックに努力する人を私はこれまで見たことがないほど、努力家だったこと。
これまで色々な教室で色々なタイプの生徒を見てきましたが、その中の誰よりも、教師に言われたことをその場で直し、次回のレッスン以降に同じ注意をすることがほとんどないほど、一回一回のレッスンを大切にしていたこと。
また、すぐに直せない注意の場合(同じ動きをする場合でも使う筋肉を変えたり、これまでと全く違う体の使い方をする場合など)でも、1年前、2年前にした注意でも必ず憶えていて、レッスンの中で何度も何度も粘り強く挑戦し続けていたこと。
国内の有名なコンクールで入賞経験があるという実力もさることながら、
振りうつしをする時に、言葉と簡単な身振り手振りで1回伝えただけで、完璧に踊ってみせるほどの振り憶えの早さ正確さはも素晴らしかったこと。
レッスン最初のレベランス(バレエ風のお辞儀)から、最後のレベランスまで、バレエ以外の動きを一切しないほど、クラシックバレエの型が体に入るほど練習を重ねてきたこと。
今の自分が上手になるために必要な事が何なのかを常に的確に把握する能力があったこと。
舞台での役が決まると、その役を踊りきるために、自分に必要なものを自分で考えてプラスすることが出来ていたこと。
(前回は自分に基礎をやり直すことが必要だと判断して、クリスマス会まで初心者クラスをプラスして受け、今回はスタミナが必要だと判断して、クリスマス会まで前のクラスと2クラス続けて受けていました。)
しかも、クラスを増やす時などは、
「こういう風にしようと思うのですが、先生はどう思われますか?」と自分の意志を伝えた上で、教師の意見も聞いてから、行動していたこと。
これまでに、様々なバレエ作品を踊ってきた経験が豊かであること。
けれど、そういった経歴などをひけらかすことなく、謙虚で控えめであったこと。
ポワントワークが得意であること。
常に自分に満足せず、自分を甘やかさず、ストイックにバレエと向き合っていること。
サクラバレエは彼女がこれまで習って来たメソッドと違うものだったにも関わらず、一から新しいメソッドにあわせようとしていたこと。(これが出来るバレエ経験者は実はとても少ないです)
頑張り屋さんの彼女には、今回は“楽しんで踊ること”を目指しましょう、と提案していたのですが、たとえば、伸び伸びとした動きを引き出すために「今日は80%でレッスンしてみて」などと、彼女のポリシーとはまったく違うことや、これまで習って来たことと逆のことを言われ、おそらく本人はあまり乗り気ではなくても、教師に言われたことは、とりあえず挑戦してみようというチャレンジ精神と素直な心を持っていたこと。
責任感がとても強く、本番に必ずベストの状態で仕上げてくれるという信頼感があること。
最近の傾向で、研究熱心なあまり、プロのバレリーナのDVDやYou tubeなどで動画を見すぎて、いつの間にか、最初に伝えた振付から、振付や音の取り方や細かい動きなどが変わってしまう人が多い中、(おそらく)そういったものは観ずに、教師に言われたことだけを、レッスン中にライブで、出来るだけ忠実に確実に作り上げていたところ。
音楽をとても大切にしていて、絶対に音をはずさなかったところ。
疲れていても、絶対に限界まで挑戦していくがんばり屋さんだったところ。
自分が自分がと、他人を押しのけてアピールしない、謙虚さと奥ゆかしさを持っていたところ。もともとの性格が控えめで、おっとりとしていて、穏やかだったところ。
(自分をアピールすることも時には必要ですが、素朴で純粋な役(オデットやジゼルなど)や、高貴な身分の役(オーロラ姫など)を踊る時に必要な要素です。)
踊りそのものに気品があり、ノーブルだったこと。
小柄ながら、踊ると存在感があり、舞台では大きく見えたこと。
自分のことがよくわかっていたこと。(本人はかなり過少評価していますが)
テクニックが中級クラスの中でも群を抜いていたこと。
クラシックバレエと、その教師に敬意を払っていたところ。
自分がいつも使っているバーの場所でも、時には他人にゆずってあげる優しさと思いやりを持ち合わせていたこと。
ねばり強い性格だったところ。
他の生徒に振付などを聞かれた時に、きちんと教えてあげていたところ。
仲の良い生徒がレッスンをお休みした時に、次のレッスンで、その人が来たらすぐに飛んで行って、振付の変更を伝えていたところ。(レッスン中の時間を1分たりともムダにしないようにという、レッスンを大切にする気持ちが見えます。)
レッスン前は必ず早く来てストレッチをして、お稽古場を整えていたこと。
スタジオでの礼儀やマナーが素晴らしかったこと。
レッスンをお休みしないこと。
バレエ歴10年以上でありながら、いつもピンクタイツ・ピンクバレエシューズ・レオタード・スパッツでレッスンしていたこと。
言葉で表現したり伝えるのがあまり得意ではないタイプの彼女でしたが、お休みする時は、必ず直接伝えるか、きちんと電話で伝えてくれていたこと。
また、言うべきことは、きちんと言える人であったこと。違うことは違う、私はこう思う、という自分の意見を言える人であったこと。
時間や締切を必ず守っていたこと。
テクニック的には申し分ない彼女に私が提案した今回の課題は“楽しんで踊ること”そして裏テーマとして、“自分のために踊ること”でした。
彼女にはとても難しい課題だったと思いますが、よく頑張ったと思います。
今の彼女が出来るすべてで踊ってくれたのではないでしょうか。
素敵な踊りをありがとうございました。
7.コーダ(総踊り)
ドルシネア姫の踊りが終わると、キューピットが出てきて、みんなで踊りましょう、という運びになります。
ソリストや森の妖精達がみんなで踊り、最後にはキューピット、森の女王、ドルシネア姫も一緒に全員で踊ります。
踊りがクライマックスを迎えた後、森はゆっくりと静かに、もとの姿に戻って行くのでした。
ドン・キホーテは夢から醒めて、また新たな旅へと向かうのでした。
Fin
本来なら、出演者1人1人について書いていきたいところなのですが、人数が多いのでここまでとして、ここに書けなかった人達へは、近いうちにお手紙を書いて直接お渡ししたいと思いますので、楽しみにしていて下さいね。
このクリスマス会のために練習した期間は6ヶ月におよびます。
出演者の皆さんは、ずいぶんと長い時間をクリスマス会に費やして頑張って来ました。
その分だけ、じっくり振り返っても良いのではないか思いますので。
もう少ししたら、次回のクリスマス会の動きがスタートするのですが、それまではね。
皆さん本当に、よく頑張りましたから。
カーテンコール
お客様達から温かな拍手を頂きました。
ありがとうございました。
こうして、サクラバレエ全員での挑戦は幕を閉じました。
バレエの全幕作品を一部だけでも上演したいという、私の夢を、みんながかなえてくれた瞬間でもありました。
観に来てくれたお客様、お手伝いしてくれたスタッフの皆さん、そして出演者の皆さん、
出演者を応援して下れた家族の方達、サクラバレエを応援してくれた皆さん、今回関わってくれた全ての人達へ心から御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。