自分のこと その19 ~上手になるぞ大作戦4~ | サクラバレエ 

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サクラバレエは岡山市にある“大人からはじめる本気のバレエ教室です。
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出来るよう1人1人丁寧に指導しています。未経験の方ぜひどうぞ!
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バレエが上手になるためのさらなる次の作戦、それは、名付けて・・・

 

『上手なお姉さん達と一緒にレッスンさせてもらっちゃえ!大作戦』

 

この頃の私は、上手な人と一緒にレッスンさえすれば、バレエが上手になると思っていたんですね。

 

ですから、どうにかして、バレエが上手な高校生のお姉さん達がレッスンしているクラスに参加出来ないだろうかと思った訳です。

 

そこで、これもやはり先生にお願いに行って、許可を頂きました。

 

 

初めての高校生クラスはドキドキしながら参加しました。

 

教室に入ると、この前の発表会で主役や準主役、ソロを踊っていた人達が、あちらこちらにいます。

 

当時の私にとっては、憧れの存在です。

 

(きゃあ~、贅沢ドキドキ憧れのあの人と一緒にレッスン出来るなんてドキドキこんな綺麗なお手本を見ながらレッスンしたら、あっという間に上手になっちゃうかもラブラブ!)と最初だけ、ちょっとテンションが上がってみたものの・・・

 

入ってすぐに、クラスの雰囲気が大人のクラスとは全く違うことに気がつきました。

 

おしゃべりしている人なんて、誰もいません。

 

みんな、自分の身体に集中しながら、ストレッチして、先生を待っています。

 

そのピーンとした空気感に、

 

(場違いだ・・・。これは、どう考えても場違いだ・・・。)と気付き・・・

 

(今すぐ逃げて帰りたい・・・。)と泣きそうになっていました。

 

けれど、心の中で懸命に

 

(待って、待つのよ桜!ここで逃げたらもう一生このクラスには参加させてもらえないかもしれないわ!頑張るのよ、頑張るのよ、私!)

 

と自分に言い聞かせ・・・

 

最後には、


(大丈夫!なんだかんだ言ったって、バレエですもの、命まではとられやしないわ!ちゃんと生きて帰れるし、どんなに辛くても、1時間たてばレッスンは終わるのよ!そうよ、長い長い人生の、たったの1時間よ!あっという間よ!)

 

と、無茶苦茶な論理で自分を騙しにかかる始末。

 

・・・どちらにしても、バレエシューズを履いて、レッスン場に来ているのです。もう後にはひけません。

 

とにかく、他の人のレッスンの邪魔にだけはならないように心に誓い、極力目立たないけれど、順番がわからなくなった時のために、右を向いても左を向いても、他人が見える場所を素早くキープして、バーに滑り込みます。

 

こういう時の人間のとっさの判断力と決断力ってすごいものがあります。

 

やがて時間になり、先生が来られてレッスンはスタートしましたが・・・

 

いやはや、このレッスンの出来は、それはもう散々でした。

 

バーレッスンでは、右にも左にも他人が見える、ベストポジションをキープしたつもりでしたが・・・

 

このクラスのバーレッスンは、それでは全くダメだったのです!

 

右斜め前とか・・・!

 

左斜め後ろとか・・・!

 

前だと思っていた場所が後ろになったり、横になったり・・・!??

 

(・・・これは、一体どういうことでしょう?)

 

必死にバーレッスンにくいついていきながら、頭の中で素早く考えます。

 

(なぜ、こんなに忙しく、あっちを向いたり、こっちを向いたり、プリエをしたかと思ったら、回転してルルベをしたかと思ったらポーズとか・・・)

 

(・・・なぜ、こんなおかしな動きを???)

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

・・・すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、いわゆるバーレッスンでクロワゼやエファセなどの『エポールマン』が入ったアンシェヌマンをしたのが、私はこの時、初めてだったんですね。

 

それまで私が受けていた大人向けのクラスは、基本的に趣味のためのクラスだったので、複雑で覚えにくいエポールマンはレッスンにはほとんど登場しなかったのです。

 

そんな訳で、このクラスのバーレッスンで、私はただ、ひたすら右往左往していました。

 

人生初の動きやポーズの連続で、他人を一生懸命見ても、方向がクルクル変わるので、どのタイミングで誰を見れば良いのかさえわからず・・・。

 

キョロキョロしっぱなしでした。

 

センターレッスンにいたっては、さっぱり記憶がないので、おそらく頭の中が本当に真っ白だったのでしょう。

 

レッスン最後のフロアを大きく横切りながらジャンプする、グランアレグロに至っては、華麗に次々とジャンプをきめていく高校生に混ざって、とにかく邪魔にならないように、流れをさえぎらないようにと、ただひたすら、走っていたように思います。

 

私も怖かったですが、おそらく、一緒に踊っていた高校生達の方が、もっと怖かったと思います。

 

 

レッスンが終わると、皆さんの邪魔をしてしまったのが申し訳なくて、ペシャンコにへこんで帰りました。

 

グゥの音も出ませんでした。

 

(これがバレエなんだ・・・。)

 

自分のあまりの実力のなさに、トボトボと歩いて帰りました。

 

肩を落として家に帰る夜道を、三日月が静かに照らしていました。

 

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