美しい子宮⑥ 夫の子どもを産んでくれる女を、夫に与えます | 立ち止まったハートが前進する!未来が視える奇跡リーディング

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美しい子宮① 愛と呪い

美しい子宮② こうして私達は、セックスレスの夫婦になりました

美しい子宮③ 私が私に、悦びと快感を与える

美しい子宮④ 浮気ではない夫の本気と妻の嫉妬

美しい子宮⑤ 戦国妻の教える夫の浮気対処法

 

夫の子どもを産んでくれる女を、夫に与えます

 

信長様の諫めにより、一度は浮気の虫を封印した秀吉でした。
ところが信長様から手紙を頂く前に、側室を囲っていたことがわかりました。

しかもその側室に子どもが生まれていた、というではありませんか!
秀吉は私がまた信長様に何か言うのを怖れ、ずっと私に隠していたんです。
子どもですよ、子ども!!
ただの浮気ではありません。

よくもまぁ、ぬけぬけと私の目を盗み、耳を塞ぎ、隠し通していたものです。

怒りのあまり、ブルブルと全身が震えました。

脳天に血が上り、そのまま倒れてしまうかと思ったほどでございます。
事の次第によっては、また信長様のお力を借りることのなるやも、と思いながら「あのハゲッ!!」と毒舌を吐き、秀吉のところに走りました。
息を切らしながら、速足で秀吉のところに行った私は鬼のような形相だったそうです。

 

「お前様、お前様が側室を囲っておられるのは本当ですか?
しかもその側室にお子ができた、という噂を聞きましたが、まことでしょうか?」

すると、秀吉はニコニコと無邪気にこう言ったのです。

「寧々には、もう少し落ち着いてから話そうと思ってたんじゃ!
信長様にお手紙をいただくより前に、わしの子がある女の腹にできてのう。
その女を側室にしたのよ。
で、子どもは無事に生まれたんじゃわ。
男の子じゃ!
わしの跡取りが、できたんじゃわ。
寧々も一緒に喜んでくれるじゃろ?」

こいつ、殺してやろうか!と思いましたよ。

顔が熱く真っ赤になっているのがわかりました。

「生まれた子には、石松丸、と名付けたわ。
もう少し大きくなったら、寧々にも会すからな!」

この男はまったく何を考えているのか、と腹が立ちプイッと横を向きました。
私も女です。

側室が産んだ子になぞ、会いたくなどありません。
秀吉の愛撫を受け、子を成した側室に妬ましい気持ちがあって当然でしょう?

けれどもうお腹から出てきてしまった子どもに、なんの罪はありません。

嫌でたまりませんでしたが、その子を産んだ南殿を秀吉の側室として認めるしかありませんでした。

その夜、悔しくて悲しくて一人布団をかぶって泣きました。

子どもと顔を合わせる機会を何度か秀吉が作ってくれたものの、その子に一度も会うことはありませんでした。

いえ、会えませんでした。

秀吉が側室のところに行き、私は一人寝が多くなりました。

その頃、私は軽いノイローゼになっていたかもしれません。

夜も眠れなくなりました。

秀吉は私がそんな状態になっていることなど、まったく知りませんでした。

日中は上手に隠しましたからね、私。

その頃、秀吉は実母であるお母様を呼びよせ、一緒に暮らし始めました。
数日一緒に暮らす内、お母様は私と秀吉の関係に気づきました。

お母様は私の前で頭を下げてくれました。

「寧々さん、うちの秀吉がワガママを言ったねぇ。
あんた、女の幸せを捨て、よくそれに耐えてくれてたねぇ。
本当にすまんね」

畑仕事で茶色くなったシミが浮き、皺だらけのごつごつしたお母様の手。

その手が、私の白い手をあたたかく包み込んでいました。

誰にも言えない秀吉との関係を、わかってくれる人がいる。
それだけでも、救われた気持ちになりました。
胸が熱くなり、涙が流れました。
お母様は私をしっかり抱きしめて言いました。

「本当に、ほんとうに申し訳ないことです。
ありがたいことです。
寧々さん、あんたはこの家の守り神様や。
私は一生あんたの味方だから。
安心してわしに何でも言えばいい。
わしが秀吉に言ってやるからな」

以来、同じ秘密を共有した間柄になった私とお母様は終生、実の母娘のように仲良く過ごしました。
これもある意味、秀吉のおかげかもしれません。
もし私と秀吉が普通の夫婦の関係であれば、秀吉をめぐって争ったかもしれません。
けれど私の待遇が特殊なものであるがゆえ、お母様は私に心を寄せてくれました。

お母様にとっても秀吉は、自分の再婚で家を出さざるを得なかった愛おしい我が子です。
秀吉の愛情を嫁と取り合う可能性もあったのに、私の立場がその争いを回避させました。
お母様は、終生私をとても大切にして下さいました。
私も大らかなお母様が、大すきでした。

 

秀吉の子どもの話は、当然ながらお母さまの耳にも入りました。

お母様は私と秀吉の前で、キッパリ言いました。
「お前が側室に産ませた子は、お前の子だと認めよう。
じゃが、その子を寧々に認めさせるのは残酷なことじゃ。
お前はお前の勝手で、寧々に妻として役目を放棄させた。
その寧々に、お前はどんな顔でその子を抱かせるのじゃ?

寧々かて、お前の子を産みたいに決まっておるではないか!
お前に抱かれ、人並みの女としての幸せを味わいたいに決まっておるではないか!
それをすべて寧々から取り上げたのは、お前ぞ!!
わかっておるんか?」

お母様の言葉に秀吉は顔を歪めました。

「でも、わしは・・・
わしは、おっかが欲しかった!
おっかあを、一人占めしたかったんじゃ!

それのどこがダメなんじゃ?
寧々はわしだけのおっかあになってくれる、と言うた。
どこにもいかん、わしだけのおっかあじゃ!!」

お母様は秀吉の言葉を聞き、茫然としたのです。

そして涙をこらえたように瞳を潤ませ、肩を落としつぶやきました。

「そうか・・・そうか・・・
全部、このわしが悪いのか・・・
わたしが再婚したばかりに、あの男とお前が合わなんだばかりにお前はひどい仕打ちで逃げ出した。
わしがもっと強いおっかあであれば、お前はもっと別の道を歩んだのか・・・
わしのせいか、寧々にあんな生き方をさせたのは・・・
じゃが、あの時わしは再婚せねば、お前たちを食べさせてやることはできなかった。
許してなぁ・・・」

お母様は背を丸め、秀吉の前から立ち去りました。

この時代、夫を亡くした女が食べていくのは容易な事ではありませんでした。

お母様にはお母様なりの苦労があったのです。


とぼとぼ立ち去るお母様の背中に向かい、私は手を合わせました。
お母様が私の気持ちを分かって下されば、十分です。
人は一人でも自分の気持ちに寄り添ってくれる人がいれば、生きていられます。

わかってくれる人がいれば、乗り越えられます。
私にはお母様がいました。
お母様は終生、私にとって最大の理解者でした。

それがお母様の罪悪感から来ていたとしても、ありがたいことでした。

結局、秀吉の子に会う機会はありませんでした。
側室の南殿も、私に子の石松丸殿を会わせるのを嫌がりました。
正室である私から何かの念や妬みを受けると警戒したのでしょう。

それらのネガティブな思いはもちろんありましたよ。

ですがお母様という最大の理解者を得ることができ、気持ちが落ち着いたのです。
そこで石松丸殿が七歳の誕生日を迎えるお祝いに、長浜城に招くことを決めました。

それを秀吉に伝えると秀吉はとても喜んでくれました。

二人でバースディーパーティーのお祝いを考えてたものです。

ところが、ある日秀吉が狂ったように泣き叫び、私の部屋に入ってきました。
それは、あまりにも異常な光景でした。

秀吉の髪はぼうぼうで目は血走り、着物の衿も乱れています。

そのような秀吉をこれまで見たことがないので、慄きました。

嫌な予感が胸にたちこめました。
秀吉は頭をかきむしり、私の膝に泣きつきました。

「寧々、寧々・・・
石松丸が、石松丸が・・・・・・」

その後の言葉は、嗚咽で聞こえません。

石松丸殿が何か大けがをしたのかもしれません。

もっとよく話を聞かなくては、と泣きじゃくる秀吉の頭を撫でました。

「お前様、落ち着いて。石松丸殿が、どうかされたのですか?」

秀吉は枯れた喉から声を絞り出すように叫びました。

「石松丸が、死んだ~~~!!」

思いもよらない出来事に茫然としました。

あの子が病気だなんて、どこからもそんな知らせは入っていませんでした。

何かの間違いではないか、と思い、秀吉を問い詰め、彼を揺さぶりました。

「なんですって?どういうことです?」

「ここしばらく病で伏せっておったんじゃ。
今朝、具合が悪くなって・・・・・
そのまま・・・そのまま・・・・・・」

あとは言葉になりませんでした。

最後まで言えずに秀吉は私の膝に抱きつおたまま、小さな子供のようにワンワン泣きました。

その時、私は初めて知りました。
お母様に諭され私に遠慮した秀吉は、石松丸殿の話はほとんどしませんでした。
けれど彼にとって跡継ぎの石松丸殿は、何よりも大切な存在だったのです。
秀吉はこんなにも強く自分のDNAを受けついだ子どもを欲しがっていたことを、初めて知ったのです。
私には決して与えられない子ども。

私の子宮から生み出されることのない子供。

それが彼にとって、何より大切な宝物でした。
彼にとっての宝物は、私にとっても宝物。
初めてわかりました。

秀吉と一緒に、石松丸殿の死を悼みました。
激しく泣きじゃくる彼の悲しみに寄り添いました。

秀吉が泣く姿は、私の心をしめつけ、涙を流させます。

私達は一心同体です。

 

その夜、私と秀吉は久しぶりに手を繋いで寝ました。

彼がようやく眠り、私の手を離した後、暗闇に両手を合わせ誓いました。

私は彼に必ず子どもを与えます。
神様が彼から子どもを取り上げたのなら、私が彼に子どもを与えます。
夫の子どもを産んでくれる女を、夫に与えます。
どうやってでも、愛する子どもの願いを叶えてやりたい。
それが、母としての私の役目です。
私の秀吉への愛、です。

それは世間一般の夫婦の愛ではないでしょう。
でも、世間が私達夫婦に何かしてくれるでしょうか。
何もしてくれません。
無責任にすきなことを、言い散らすだけです。
世間なんて、くそくらえ!です。

 

その夜から秀吉が南殿のところに通うことはなくなりました。

しばらくして南殿は城から出て行きました。

噂では、彼女が産んだ子は他の男の子供だ、という話もちらほら出てきました。

それが真実か定かではありません。

けれど、もしそれが単なる噂だったら彼女は城を出る必要はなかったでしょうね。

え?その噂を流したのが私ではないか?ですって。

さぁ、それはあなたのご想像にお任せします。

でも子を亡くした女は秀吉に必要はありませんからね。

私は彼の子を産む新しい女を、彼に与えるだけです。

秀吉に子を与える女。

その女を探さねばなりません。

歪んでいるでしょうが、これが私の愛の形です。

覚悟を決めた女は強いのです。


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あなたの愛の形は、どんなものでしょう?

 

あなたは、自分の愛に誇りを持てますか?

 

胸を張れますか?

 

基準は、世間ではありません。

 

あなたの心です。

 

あなたの本音です。

 

そこにどんな愛の形が見えますか?

 

 

 

12月9日(土)残席2名様

 

 

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