いつもお読みくださりありがとうございます。

先日からの続きの話を書きたいと思います。

 

※本日も、ここで出てくる偏差値はすべて四谷大塚の偏差値です。なぜいつも四谷大塚を基準にするかというと、それが今の中学受験界での平均かなと思うからです。サピ偏差値50とかの話ではないですので、お気をつけください。

 

 

まず、「中学受験に必要なレベルでの計算」を習得することから始め、時間が無いので平行して一行問題の学習をしていかなければなりませんでした。

 

さて、何から手をつけよう。。。。ガーン

 

割合・比・速さ・図形これが重要分野ということは皆さん相違ないと思いますが、これらをすべてやる時間はなく、どこからどれくらいやれるか、頭を悩ませました。場合の数はほぼ捨てました。例題中の例題しかやりませんでした。割合だと設定が複雑になるものは捨て、N進法も捨てたし、立体も切断は当然捨てる、基本的な体積程度。立体で比を使うような問題はすべてカット!速さも大問で出たら(1)だけ解ければよい。そのレベルだけ確実になればいい。そのような感じで大幅カットで進めました。国語で点数が稼げるので、算数は受験者平均いくかいかないか、でOKとしていました。

 

本当は全分野総復習したい。でも難問は出来ないしやらない。となると、市販テキストでは当時はみくに出版の『ベストチェック』一択でした。

 

広く薄く、これをとにかく一冊仕上げる。しかもその学校にはたぶん「出ない」と私が判断したものは省く。こういう感じで進めていきました。

 

ベストチェックは日能研のみくに出版が出していて、理科、社会のメモリーチェック、国語と算数はベストチェックという名前で同じシリーズです。

 

ただ、日能研生に聞くと『メモリーチェック』は日能研生必須で購入し、宿題にもなるようですが『ベストチェック』は持っていない、と言います。

 

中身ですが、日能研の本科テキストと数字まで一緒の問題が大半です。ただ『ベストチェック』のほうが圧倒的に問題数が少ないので、取り組みやすいわけです。

 

算数偏差値50に行かない子の総復習にぴったりな量と質です。

 

ただし、今なら文章題のメインテキストには間違いなくこれを使います。

 

最近出た、文章題に特化した問題集です。問題集というより解説書ですね。問題は少ないのですが、でも定着させることを意識して作られているので「系統だって」学べます。

しっかり解説が入っているので、メインテキストとしても使えます。

ただこれだけだと文章題しか無いので、ぜひ図形編とかも出してほしいですし、中堅向けで網羅されてるとなると『ベストチェック』になってしまいます。

 

 

 

よく、『下剋上シリーズ』はどうなんですか?と聞かれますが、あれが好きで生徒に必ずやらせている先生も知っていますが、私は正直いいテキストだとは思っていません。

 

あれはサピでいう「基礎トレ」と同じです。1人で出来る子がやる問題集です。

一回分が10問セットになっていて、計算から始まって一行問題があって、最後が図形。レベルは基礎編だとすごく簡単なのですが、本当に算数がわかっていない子はあれをやらせても半分以上間違えます。偏差値50以下の場合。

 

あれのキャッチフレーズが「偏差値50以下が55へ」みたいなことでしたよね?たしか。

 

 

 

本当に50以下の子にあれをやらせても、凹むだけです。

解く⇒答え合わせと解説、と進めたときに、例えば食塩水でつまづいた。じゃあ食塩水の解説しましょう。はい次の問題は速さです。間違えた⇒解説、次は平面図形ね、これも出来ない、はい解説。。。。出来ない子にとってはもう、なんの脈絡もなく進むように感じるはずです。

 

食塩水がうろ覚え理解なのに、次の問題が速さだったり、ニュートン算だったりしたらもう、パニックなわけです。

出来ない子というのは、頭の中の整理ができていませんので、次から次へと新しいことを解説されても混乱するだけです。

 

まあ、だから本来4年生から順番に演習を繰り返して定着させていくわけですが。

 

そんな過ぎたことは言ってられません真顔

 

食塩水でつまづいたら、同じくらいの食塩水の問題をちゃんと解説して、演習させたい。本来は新演習シリーズ(予シリより簡単だから)で順番に例題から始めて、練習問題、応用問題、と進めたいところですが、そんな時間がないからそれは採用できない。となると、やはり『ベストチェック』あたりが手ごろだったのです。

 

『下剋上』シリーズって、けっこう生徒を選ぶ問題集だと思いますよ、私は。

みんなが言うほど簡単じゃないよ、と思います。

 

偏差値がある程度あって、50はあるくらいの子が「総復習」として使うならいいと思うのです。いろいろな分野の問題が取り混ぜてあることで、普段は系統だった範囲のある問題しかやっていない子が、いきなり模試や過去問で問題が混ざっているとできなくなる、そういう現象を打破するのに適した問題集だと思います。

 

決して、「基礎」ではないです。

解説本?のほうはすみません、手に取りましたが手書きのあの字が私は苦手で、自分は使うことはないです。

 

『ベストチェック』は解説もシンプルで、問題も例題レベル。左側にその単元の基本事項や解き方が載っており、右側がその練習問題。4問程度。レベルも簡単。

ここがクリアできれば、分野によって追加でその単元の問題を探してきてやらせる、という形式で進めました。

 

追加で使ったのは『基礎固め』シリーズです。

これは私おススメの問題集。間違いないです。もう少し基礎があれば、これから始められたのですが、彼女は例題レベルをきちんと系統だって解説しないといけないものが多い段階だったので、いきなりこの問題集は無理だったのです。だから『ベストチェック』をメインテキストに持ってきました。『基礎固め』は彼女には全部は時間的にとてもとても無理だったので、出そうなところの、☆1つだけを指示してやってもらいました。

 

※基礎固めは3冊シリーズです。問題量はかなり多いです。これの使い方は以前のブログにも書いたので(算数のおすすめ問題集、だったかな)そちらもよかったらご覧ください。

 

 

 

 

 

仕上げ教材としては『首都模試で2人に1人~』も使いました。

これも易しい問題なので、彼女の志望校対策にはピッタリでした。

 

 

 

彼女はこれらと計算は先日の話のとおり毎日。あとは12月からなんとか過去問に入りました。

 

とにかく、彼女が素晴らしかったのは、その努力です。

最初の数回は、私の出す問題がわからないことが恥ずかしかったようで、うつむき、「やり方がわからない。。。」と消え入りそうな声で言い、涙をためていました。

 

でも必死で板書をうつし、解説を聞き、その場でまた解き、また解説。授業時間いっぱいいっぱいまでそれを繰り返し、私もいつも彼女の授業は一瞬で終わるような感覚でした。

 

「今日やった問題をもう一度家で何も見ないで解いておいで。わからなくなったら、そこからノートを開いてまた考えてごらん。それでもわからなかったら、途中のままにしてまた次回一緒にやろう」そうやって毎回の宿題をたくさん出しました。もちろん今日やったことの復習にあたる問題も宿題として出しています。

 

最初のうちは、「家に帰るとわからなくなってしまって」とよく言っていました。昨日一緒に解いたのに、またすぐわからなくなる自分が悔しくて、下を向いて少し泣いていたこともあります。それでも彼女は「自分1人で出来るようにならないと、テストで解けない」ということを自覚していましたので、文字通り歯を食いしばって復習し、ついてきてくれました。

 

あんなに頑張った子は今までいなかったかもしれないと思います。

 

彼女は精神的にも大人でした。人に気をつかうことができ、自分がさぼってしまったと思うと後悔して必死でまた努力ができました。

 

子どもらしいかわいらしさ、素直さもありましたが、一方で国語では論理的に文章を書けるような面があり、自由研究のようなレポート類も得意だったようです。

 

「書くこと」が苦じゃなかった。この点は本当に大きいです。

初日に書いた、「国語ができた」というのもこれが大きいからだと思います。

 

国語ができたので、算数だけに注力することができ、理解力があるので算数もそこまで伸びました。(ちなみに国語ができた、の「出来た」は偏差値だと55オーバー60いくかいかないか、くらいです。彼女の志望校には十分でした。)

 

「地頭がよかっただけじゃん」と言う人もいるかもしれませんが、正直算数のセンスのようなものは全く感じませんでしたし、無かったはずです。でも自分の出来る範囲の課題を地道にこなす「努力する力」がある子でしたね。

 

周りの子が遊んでいても、「自律心」を持てるか。

これが持てることが才能じゃないかと思うほど、難しいんですよね。

「やる気スイッチ」の話になりますが、スイッチが無い子もいますからね。。。絶望

どうやって勉強から逃れて、今この瞬間の指導時間を潰すか、それだけにかけているような子も存在します。ガーン

 

彼女もお母さまも、私のおかげだと言ってくださいましたが、そこは私の力ではなく相性だと思います。どんな先生でも人間なので相性っていうものがありますし。彼女とは気が合うというか、相性が良かったですね。偶然に感謝です。

 

そして彼女からは、できなくても歯を食いしばって努力する、という尊敬に値する姿勢を見せてもらい、学ばせてもらいました。涙を流されたときは焦りましたが、そこまで悔しい、せっかく先生に昨日習ったのにまた同じ問題(類題)をわからなくなるなんて、悔しいとお母さまに訴えたそうです。1回でわかったら塾なんていらないし、家庭教師も個別指導も出番がないんだから、そんなことは気にしない、「同じ問題出されている」と気づいたことも進歩だし、途中まで解けたことも進歩なんだよ、と励ましながら進めました。

 

彼女の目覚めは「公立に行きたくない」という強い思いを抱いたことがきっかけです。

何かそういう自分なりの目標がないと、子どもが勉強するのは難しいと思います。目標ができても子どもですから、ブレたり楽なほうに流れたりします。彼女もそういうときがあって、お母さまと「ちゃんとやりなさい」、娘「やっているってば!」とバトルはあったようですが、頑張りぬいたと思います。

 

現在も彼女はとても楽しく中学校へ通っているそうです。3校合格し、そこから進学先を決めました。「自分が選んだ」という自信もついたようです。部活も勉強も充実しているそうです。

 

決して、「難関校」と言われる学校ではないですが、彼女の中学受験は大成功だったと思います。お母さまは「個別指導にかなりお金を使った。。。。」とおっしゃっていましたが(笑)現在の様子を伺うと、十分価値があったのではないかと思っています。

 

長くなりましたが、お読みくださりありがとうございました。