辻村深月「かがみの孤城」 | 読後つれづれ

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最近ホラーばかり読んでいてちょっと荒んできたので、気持ちをあげるために。

 

かがみの孤城 (一般書 113) [ 辻村 深月 ]

 

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。 なぜこの7人が、なぜこの場所に―― すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。

冒頭の・・・というかプロローグ?部分の「こころの夢」部分にとても共感し、引き込まれました。

誰でも考える、小さな夢というか妄想。誰かに見つけてほしい、認めてほしいという思い。

それがお話の途中にも出てきて、そしてラストへつながっていきます。

 

全体的な構成がうまくて、最後に全部つながっていくところが素晴らしいと思いました。

現実社会の人物描写もうまい。城で出会う7人の描写はわかりにくいけれど、最後にそれぞれの背景と合致すると人物像がみえました。

途中で「でも、こんな人がいてくれることがラッキーなんだよ!みんなそれがなくて苦労してるんだよ!」

という気持ちや

「こいつ、むかつく!」という気持ちも、最後明らかになったときにすーっとひいて

心が救われました。

 

今後何度も読み返すと、また好きな個所がかわったりするんだろうな。

今回私が元気づけられたのは

私のことだけはリセットしないで、と、心の中でつぶやく。つぶやいてから、すぐに打ち消す。

別に、忘れてしまってもいい――と。

私がその分、覚えている。~と今日、友達だったことを。

(ネタバレになるので名前は伏せてます)

別れがあると、つい忘れてほしくない、と思ってしまうけれど

自分にその記憶があればいいんだよね。

記憶にしがみついてはいけないけど、大事にしていけばいいんだよね。

 

中学生が主人公だしファンタジーっぽいので大人は敬遠しがちかもですが、

どの年代の人が読んでも共感できると思います。

前半はゆるやかなのでちょっと中だるみしますが

中盤からラストまでは一気です。文庫上下巻を購入する方は、セットで買っておいた方がおすすめ。