内山純「魔女たちのアフタヌーンティー」
自分自身を整えるために、ゆっくり紅茶を淹れるのよ。
“魔女“が住むと噂される白金台の大きな屋敷。黒い服に身を包む女主人のお茶会は、型にとらわれず自由で楽しい。丁寧に淹れた香り高い紅茶と宝石のようなティーフーズも素敵だが、冷えたアイスティーと芋けんぴの相性も抜群だ。
仕事も恋も上手くいかず、鬱々していた真希は、お茶の奥深さを知り、様々な年代のゲストの悩みを聞くうちに自分自身に向き合っていく――ちょっと不器用な人々のつながりを描く心満たされる物語。
こういうお話が好きで読んでいると
似たようなお話がおすすめに出て来る、KindleUnlimited。
と、いうわけで読み始めたのですが
思った以上によかったです
「ティールームに訪れる客が悩むを相談して、癒されて解決する」
というよくあるお話を想像していましたが、
主人公は一貫して一人の女性だったところがよかったです。
年齢的に「成長物語」ではなく、
人生の分岐点での気付き、という感じでした。
「小さなきっかけが訪れたとき自分自身が整っていなかったら、アドバイスを素直に聞いたり冷静に考えたりすることができない。だから、まずは自分を癒すのよ」
内山 純. 魔女たちのアフタヌーンティー (角川文庫) (p.53). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.
他の登場人物たちも、通り一遍ではなく深堀されていて
共感できるところもたくさんありました。
魔女たちも、ちゃんと人間的だったところがよかったです。
──失ったものが大きいと、その事実をすぐには受け止められないものですよね
内山 純. 魔女たちのアフタヌーンティー (角川文庫) (p.185). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.
この辺りは、ちょっと泣いてしまいましたね。
同じような経験をした人には響くかも。
爽やかなラストもよかったです。
私は正直コーヒー党で、紅茶は苦手で飲めないのですが
紅茶に関するお話、アフタヌーンティーなどは魅惑的でしたね。
アガサ・クリスティが好きなので、お話に頻繁に登場する「お茶の時間」に憧れもありました。
最近、スコーンの美味しさに目覚めまして、
「クリームティー」という、スコーンと紅茶のセットも、初めて知ったところです。
とりあえず、コーヒーをゆっくり淹れて飲もうかな
物語の中に出て来た「スリーカップス・オブ・ティー」というお話も
気になりました。
一杯目はよそ者。二杯目は名誉ある客人。
三杯目のお茶をわかちあって、家族同然になる。

余談ですが、
最初の章で、「パンを踏んだ娘」という物語について、
ちらっと出て来ます。
このお話、アンデルセン童話らしいのですが
子供の頃、NHKの子供向け番組で見まして、その時の
♪”パンを踏んだ娘、パンを踏んだ娘、地獄に落ちた~”♪
という歌が衝撃で!トラウマになりました
(そのせいで、その後のお話を全く覚えておりません)
令和になっても再放送されたようで
やっぱり怖かったらしい。
