澤村伊智「ぜんしゅの跫」 | 読後つれづれ

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読んだ本の感想など

比嘉姉妹シリーズ5冊目。

といいつつ4冊目の「ししりばの家」をとばしたので、個人的には4冊目。

 

ぜんしゅの跫(5) (角川ホラー文庫) [ 澤村伊智 ]

妻が妊娠し、幸せいっぱいの日々を送るサラリーマン・田原秀樹は、ある日、知り合いの娘の結婚式に参列することに。
しかし、新婦の佐川知紗は思わず二度見してしまうほど器量の悪い娘だった。
式の最中、野崎という男性が知紗にある画像を見せたことから、彼女は錯乱し、鼻水を垂らしながら秀樹に縋りつき「お父さん」と呼ぶ。
こんな娘は嫌だ――汗がどっと噴き出た瞬間……。映画「来る」へのアンサー的短編!
――「鏡」

真琴と野崎の結婚式。姉の比嘉琴子は祝いに駆け付けるが、誤って真琴に怪我をさせてしまう。
猛省する琴子は、真琴に代わり、彼女が請け負っていた事件「見えない通り魔」の調査に乗り出す。
夜な夜な通行人を襲って引き摺り回し、建造物を破壊する巨大な化け物の正体とは……!?
論理的にして大胆な霊媒師・比嘉姉妹が活躍する、書き下ろし表題作!
――「ぜんしゅの跫」

「などらきの首」と同じく、短編集です。

「ししりばの家」は長編かつ比嘉真琴の出番がなさそうだったので、こちらを先に読みました。

過去作品の登場人物が出てきますが、「ししりばの家」を読んでいなくても大丈夫でした。

 

「ぼぎわんが、来る」で登場する田原秀樹が、結婚してまもない頃のお話です。

「ぼぎわんが、来る」で娘の名前を「知紗」と名付けた理由があまり詳しく語られなかったので、その答えがあるのでは?と期待して読みましたが、あまり納得いくお話ではありませんでした。

 

わたしの町のレイコさん

「ずうのめ人形」に似た、都市伝説を題材にしたお話。

ですが、作者が何を言いたかったのか?全くわかりません。

下腹部を切られるという無駄なセンセーショナルな状況と、発情期の高校男子。

男の偏見すぎる父親。

女装する霊。

都市伝説の怖さもそれほどないし、男性の何について言いたかったのかさっぱり。後味も悪し。

 

鬼のうみたりければ

昔行方不明になった義弟(夫の弟)が突然帰って来てからの不可解なお話。

面白いとまではいかないけど、短編集の中にこういう話があってもいいかな、という感じ。

ずっと我慢してきた妻(嫁)の精神が壊れた、というだけではなさそうな。

 

赤い学生服の女子

三作目「などらきの首」に収録された短編「学校は死の匂い」の続編です。

一番気持ち悪い話かも。

昔を思い出すほんわかしたシーンもありますが、主人公にあそこまで試練を与えなくても・・・と思います。

終わりも「不気味」というより「悪趣味」。もう少し「後から考えると怖い」ぐらいの不気味さにしてほしかった。

 

ぜんしゅの跫

こちらは「ずうのめ人形」の続編。野崎と真琴の結婚祝いに来た琴子が不注意で真琴にケガをさせてしまったため、真琴のバイトと霊媒を代わりに引き受ける。

相対する怪物については成り立ちも普通、まわりの人間も大して魅力なし。相変わらず対決シーンは長いけれどわかりにくい描写。

でも琴子の日常が感じられるシーンは面白かったです。特にカラオケで何を歌うのか?の場面は、吹き出しました。(映画「来る」のキャストを知っていれば)

 

 

全体的に、同じ短編集でも「などらきの首」よりもつまらなかった。

短編集はさくっと読めるからいいけれど、「なるほど!」とパズルのピースがはまった時のうれしさはないですね。

でも長編は読んでいて重い気分になるので・・・澤村伊智さんの作品は、これにて休止かもしれません。