久しぶりのブログです。
この4月からスタッフの林に農場長を任せました。
これは彼がすでに農場長にふさわしいからというより、実質4年間農作業に勤め一連の流れを把握したはずなので、その先に進むためさらに勉強し、自らの意志で考えてほしいという期待を持って任命したものです。
〇作業と仕事
農作業と一言で言ってもその内容は様々です。
この4年間で彼ができるようになったのは「作業」です。
除草、収穫、間引き、袋詰め、他にもありますがこれらが作業です。
そして、この春から望むことは「仕事」をしてもらう事です。
仕事とは、例えば自分の経験や過去のデータを元に適切な追肥の時期を判断したり、生えた草をとるのではなく、草が生えない畑にするにはどのタイミングでどんな作業をしておかなければいけないかを自ら考え行動することです。
新規作物を導入するのであれば、その野菜の販売はどのようにするのか、どれくらいの量をつくればその販路に乗せられるのか、その販売先に向いているのはどんな品種なのか、そういったことまで考えて栽培をするのが「仕事」
ただ畑が空いているからとりあえず種をまくのは「作業」でしかないのです。
誰かの指示を受けて行う「作業」だけしかできないのであればそれはいち作業スタッフに過ぎません。
今、少しずつ自分で考え行動している姿を見るようになってきました。
いち早く、仕事ができる男になってもらいたいです。
〇失敗社長は心も財布も痛い
とにかく、4月以降、いろんな新規作物に挑戦してもらいました。
厳しい事を言いますが、今の畑の様子を見ているとおそらく大半は失敗すると思います。
失敗するとわかっていて取り組ませる事は経営者として失格なのかもしれませんが、今回はわかっていて失敗させたと言ってもいいかもしれません。
ちなみに、私自身もわかっていて失敗するケースが多くあります。ひねくれものなので、それは失敗するぞ、やめておけよと有難い忠告をいただいても実際自分で失敗してみるまで真の意味で理解しないのです。
やっちまったな、痛い目見た、と、そこまでいってやっと学ぶのです。懐痛めて経験するので次に同じ失敗はするものかと強く心に刻まれます。
同じ経験をして同じ悔しさを感じてもらうために失敗させたというわけではありません。それは無理です。当然です。受けるダメージに天と地の差があります。
経営者の場合は失敗=そこに投資した資金と時間と労働力も失い、売上機会も損失。ズタボロです。
スタッフの場合は失敗しても働いた分は給料がもらえるということに変わりはなく、ましてや罰則もなければ「うまくいこうが失敗しようが俺には関係ないしまぁいいか」で済ませてしまう人もいるでしょう。
ではなぜ失敗させるのか。
農場長の仕事の一つとして栽培する作物の種類、品種、圃場、面積の選定を任せていくうえで大きな失敗をする前に小さな失敗(もちろん成功も)をしておいてほしかったからです。
〇失敗から学べ!
今回の失敗をもとに、自らで分析をしてもらいます。
・ある程度の作物の収穫が終わったところでこの春に作ってみた野菜の名前を全てピックアップします。
・続いて、それをグループ分けしてもらいます。
A:売上になり、作りやすい
B:売上になるけど、手間がかかる
C:売上にならないけど、作りやすい
D:売上にならないし、手間もかかる
「Dグループはもう二度と作らないようにしよう。またはなにかを根本的に変えれば良いのならその案を出してみよう。
Cグループのものはどこか売り先が確保できたらいい商品に化けるかもしれないね。どこかこの野菜を使えるor売れるお店がないだろうか。
Bグループのものはどこに手間がかかってどのように改善できるか考えよう。場合によっては一つの機械の導入でいくつかの作物がAに格上げできるかもしれないね。
Aグループのものがうちの柱だね。」
これを元に作業の改善や作付計画を考えていきます。
ちなみにどこのグループに入るかは季節やその時の人員、設備の状況によっても変わってくるはずですので「現状を把握するためのもの」という気持ちで定期的に見直した方が良いです。
さて、この春はAグループの作物をどれだけ作ることができるでしょうか。
おそらく、きちんと品質を保って収穫までこぎつけ、販売して利益になる作物は全体の4~50%ほどにしかならないだろうと踏んでいます。
ちくしょう、低く見積もりやがって、なんとしてでもいいものをつくって収穫までこぎつけてやると奮起してくれればこれ幸いです。
感受性豊かで頑張り屋の彼の成長に心から期待しています。