■日本酒と料理の相性を愉しむ…■ -13ページ目

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【村祐 純米大吟醸 亀口取り

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 村祐酒造(新潟県,新潟市)

特定名称 純米大吟醸 無濾過生原酒

原料米 「?」(精米歩合?)

酸度 ? アミノ酸度 ?

日本酒度 ? アルコール度 16%

酒造年度 H21BY

新潟っぽくない?【新潟の酒】

 もう3月上旬だというのに、日本列島は急速に発達した低気圧の影響で北日本を中心として大雪となり、東京でも9日の夜から雨が雪に変わって、時ならぬ「春の雪」となりました。 
 さて、そんな春の宵に選んだ酒は、

 【村祐 純米大吟醸 亀口取り】です。

 これは、一般的には淡麗辛口タイプが主流の新潟のお酒の中で、甘味に特徴のあるタイプの酒造りで知られる村祐酒造が、季節限定で出荷した純米大吟醸酒で、モロミに圧力をかけずに「亀口」(注ぎ口)から滴り落ちるお酒を、濾過せずに原酒のまま瓶詰めした「亀口取り」です。 

 なおこの蔵の方針により、アルコール度数以外のデータ(原料米,精米歩合,日本酒度,酸度etc.)は全て非公開で、当然ラベルにも何も記載されていません。


 香りは「熟したマンゴー」を想わせるフルーツの香りや、「マロングラッセのような甘い菓子類の香りがあり、「やや華やかで、甘くフルーティーな香りが感じられます。

 口当りは芳醇で、艶やかで濃密な甘味が中心となって口に広がりますが、微炭酸の刺激と共にキレのある酸ときめ細かな旨味,そして余韻の苦味がアクセントとして加わることで、強めの甘味に対するバランスが取れています。

 後口には優しい甘味が長めに感じられ、コクやボリューム感も十分にあり、「ジューシーな飲み口で、濃密で心地良い甘さが特徴のデザートワインのような味わい」で、誤解を恐れずに言うと「新潟らしくない」タイプの新潟のお酒でした。

 この「スウィートな味わい」のお酒は、個人的にはキンキンに冷やしてお酒単体で呑むのがオススメで、「酒の肴」は不要なようにも感じられましたが、3月ということで春の旬菜を2品用意してみました。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 まずは
【若竹煮】からです。

 これは、ボイルした新竹の子を、砂糖と味醂を入れたやや甘めの出し汁で炊いた春の季節の定番料理ですが、竹の子特有の歯応えと微かなエグ味に、若布のほんのりとした磯の香りが加わって、まさに「旬」を感じさせる味わいです。

 「村祐」と合わせてみると、艶やかな甘味が「若竹煮」の甘めの出し汁と良く合い、また竹の子の風味がこのお酒の強めの甘味をより上品な甘味へと変化させ、そして余韻の苦味も消えてしまいます。

 予想した以上に「キレイに合う」、なかなか面白い組合せでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いての旬菜は【焼きそら豆】
です。

 「そら豆」はもちろん茹でても美味しいのですが、サヤごと焼くと豆の甘味と旨味がぐっと凝縮し、より一層美味しくなります。

 実はこの料理は、3月のオススメメニューとしてお店でも販売しており、通常はサヤが真っ黒に焦げる位まで焼く必要があるのですが、それでは見た目が良くないので、軽くレンジアップしてからオーブンで焼いて提供しています。

 塩を振って「村祐」と合わせてみると、お酒の濃密な甘味と「焼きそら豆」の甘味が同調し、こちらは「若竹煮」と違って余韻のほのかな苦みは消えず、むしろ心地良いアクセントとして残ります。

 このタイプのお酒は、焼くことで素材自体の持つ甘味が引き出される野菜類と、全般的に相性が良いように思われました。


 ワインの世界ではボルドー地方の「ソーテルヌ」の甘口白ワインを筆頭として、「甘口の酒」が一つのジャンルとして確立されていますが、日本酒の世界ではまだまだ「辛口の酒」が主流となっています。

 村祐酒造は小さな蔵で、しかも「村祐」の造られる量はとても少ない為、この「素敵な甘口のお酒」が世の中で十分に知られていないのは、とても残念なことであるような気がします…。

【HIRAIZUMI 18 山廃純米原酒 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 飛良泉本舗(秋田県,にかほ市)

特定名称 山廃純米原酒

原料米 秋田県産「美山錦」(精米歩合60%)

酸度 2.7 アミノ酸度 ?

日本酒度 +6 アルコール度 18%

酒造年度 H20BY

肉料理に合う【フルボディ日本酒】

 早いもので今年も既に2ヶ月が過ぎ、お店でも2月いっぱいで「ふぐ料理」の販売期間を終了し、3月の歓送迎会シーズンへ向けての準備に取り掛かる時期となってきました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  さて、今週WEBサイト上のSAKE SHOPを色々とチェックしていて、興味を引かれたお酒がコレ、
 
【HIRAIZUMI 18 山廃純米原酒】です。

 これは山廃仕込みにこだわっている秋田の飛良泉本舗が、酸に特徴の出る「多酸性酵母」を使って醸したアルコール度18%山廃純米原酒で、右の写真のようにまるで赤ワインのようなボトルとラベルのデザインで、数量限定で販売されています。


 香りは、昔給食で食べた「玄米パン」のような穀物類の香りや、「稲わら「栗の薄皮」を想わせる木質の香りがあり、「ふくよかで丸く、厚みのある柔和な香り」といったイメージです。

 口当りにはインパクトがあり、輪郭のハッキリした強めの酸とややトロリとした甘味,そして凝縮感のある旨味とが互いに主張しつつも、しっかりとした呑み応えの中で、ちゃんとバランスを取り合っています。

 余韻は長くて後口にはアルコールのボリュームがあり「ややパンチの効いた飲み口で、骨格のしっかりしたフルボディな味わい」のお酒でした。

 このお酒の裏ラベルに、「肉料理に最適です」という趣旨の蔵元からのメッセージがあったので、今回は肉料理と合わせてみることとしました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは【黒毛和牛のステーキ】です。
「黒毛和牛」の美味しさをシンプルに楽しむ為に、塩と黒胡椒だけで味付けしてややレアで焼き上げてみましたが、柔らかな肉を噛み締める度に、肉汁がジュワッと浸みだして来て、口の中いっぱいに肉の旨味が広がります。

 「HIRAIZUMI」を合わせてみると、このお酒のボリューム感のある味わいとジューシーな肉汁とがうまく寄り添い、また黒胡椒のフレーバーともOKで、まるでお酒が口の中で合わせる「ステーキソース」となっているような印象を受けました。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては【ひな鶏もも肉の串焼き】です。
 今回は、同じひな鶏もも正肉の「塩焼き」と「タレ焼き」の両方を、それぞれお酒と試してみました。

 まず「塩焼き」の方は、程よい塩加減が鶏もも肉の旨味を引き出していますが、「HIRAIZUMI」と合わせると、お酒のフルボディな味わいがその旨味を完全に包み込んでしまい、鶏肉の味が一時的にではありますが、消えてしまうような感があります。

 一方「タレ焼き」の方は、「甘辛味」のタレが「焼き鳥」の香ばしい風味と相まって、飲み物を誘うような味わいです。

 「HIRAIZUMI」と合わせてみると、このお酒のしっかりと主張する酸と濃いめのタレ味がうまく溶け合い、また味わいのボリューム感のレベルも丁度良く、お酒と料理の両方の個性を残しつつ相性も良い組み合わせで、個人的にはこのタイプのお酒には「タレ焼き」の方が合うように思われました。


 さて、1487年創業で老舗のイメージのある秋田最古の酒蔵が、こんな斬新なデザインのボトルで、しかも蔵元のメッセージとして「肉料理」と合わせて欲しいということを、消費者に対してハッキリとアピールしているということは、日本酒全体の需要の裾野を広げるという点では、ある意味チャレンジ的な取り組みだと思います。

 我々利き酒師も、より新たなスタイルに挑戦して、日本酒を世界中に広めていかなくてはいけませんね。

【玉川 自然仕込 生もと純米酒

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 木下酒造(京都府,京丹後市)

特定名称 生もと純米酒

原料米 兵庫県産無農薬「五百万石」(精米歩合77%)

酸度 2.1 アミノ酸度 2.4

日本酒度 +11! アルコール度 20%-21%!

酒造年度 H21BY

コウノトリを育む【自然仕込の酒】

 2月も下旬に入り、一時の厳しい冷え込みも若干緩んできました。

 さて先週に引き続き今週も、雑誌「dancyu」の日本酒特集号の中で興味を引かれたお酒を、WEBサイト上のSAKE SHOPから取り寄せて呑んでみることとしました。

 それがこの【玉川 自然仕込 生もと純米酒です。

 これはイギリス人のフィリップ氏が杜氏を務める京都の木下酒造が、コウノトリの餌場で完全無農薬の「コウノトリを育む農法」地域に指定されている、兵庫県豊岡地区の無農薬米「五百万石」を使い、しかも蔵付き酵母によって生もと造りで醸した「自然仕込」のお酒です。

 また完全発酵に近い為、純米酒ながらアルコール度数は20%を超えていて、日本酒度は大辛口の+11,さらには酸度とアミノ酸度が両方共に高く、まさに「規格外スペック」とも言えるお酒です。


 香りは、「マドレーヌ」を想わせる甘い菓子類の香りに、「ホットミルクのようなふくよかな乳製品の香りが組合わさって、「ほのかに甘くふくよかで、落ち着きのある香りが感じられます。

 口当りはややトロリとしていて、優しい甘味と明快に主張する力強い酸,そして舌に浸み込むような豊かな旨味がしっかりと調和していて、コクやボリューム感も充分にあります。

 後口には、心地良い甘味と程好い酸,そして旨味の余韻が長く続き、「辛口でありながら円やかさもある飲み口で、奥行き深く癒されるような味わい」の旨辛口酒でした。

 碧い目の杜氏のフィリップ氏が醸したお酒ということで、今回は洋惣菜でチャレンジしてみました。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まず1品目は【小イカの墨煮】です。

 これはイタリアンの人気メニューの一つですが、「イカ墨」「イカのワタ」を使った独特のコクと旨味のあるソースが、コリコリとした歯応えの小イカに良く絡んでいて、食べると口の中が真っ黒になります。

 「玉川」と合わせてみると、墨煮とお酒の「旨味とコク」「質とレベル」の両方がそれぞれほぼ同じで、双方が全く違和感なく寄り添ってくれます。

 以前にフレッシュバジルを使ったイタリア料理と日本酒を合わせた時には、相性があまり良くなくて苦労したのですが、この組合せはイタリアンを生もと純米酒で愉しむ時の、一つの定番の組合せと言っても良いかと思われます。
■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いて2品目は
【ビーフシチュー】です。
 これはデパ地下にある「ホテルオークラ」の惣菜コーナーで買ってきたビーフシチューなのですが、脂の部分が口の中でとろける位に柔かく煮込まれた牛肉に、濃厚でコクのある「デミグラスソース」がタップリとかかっています

 お酒と合わせてみると、「玉川」のしっかりとした酸と辛口の味わいが牛肉の脂をキレイに流してくれて、ビーフシチューのコクのある味わいをさらに引き立ててくれます。

 そして余韻にはお酒と料理の味わいがどちらも長く残り、お互いをより一層美味しくしてくれるような印象の組合せでした。


 今回の「イカ墨」「デミグラス」の2つのソースと「玉川 生もと純米酒」の意外な相性の良さは、和の惣菜では見られないようなとても面白い組合せでしたが、これは上述したようなこのお酒の「通常の規格を超えたスペック」のなせる業で、これが「淡麗辛口」タイプの日本酒では、おそらくお酒の味がソースの味に負けて消えてしまうものと思われます。

 日本酒が持つ「料理に対する懐の深さ」という魅力を、改めて実感させられた一夜でした。

【仙禽 純米吟醸 中取り無濾過生原酒 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 せんきん(栃木県,さくら市)

特定名称 純米吟醸 無濾過生原酒

原料米 栃木県産「ひとごごち」(精米歩合55%)

酸度 2.1 アミノ酸度 ?

日本酒度 -3.0 アルコール度 17%

酒造年度 H21BY

唯我独尊蔵の【甘酸っぱい酒】

 2月のこの時期になると、毎年雑誌「dancyu」の日本酒特集号が発売されて、その内容が何かと巷で話題になるのですが、今年の特集で取り上げられていた蔵元の中で気になった蔵の酒を、早速取り寄せて呑んでみることとしました。

 その名は【仙禽 純米吟醸 中取り無濾過生原酒】です。

 この「せんきん」の蔵では、「昔ながらの木桶仕込み」「袋搾りでの無濾過原酒」「全て酸度2.0以上(高酸度)」「全てマイナスの日本酒度(高甘度)」などの独自の酒造りのポリシーを掲げていて、ある意味では完全に我が道を歩んでいる、いわば「唯我独尊」の蔵であると言えます


 香りは、「熟したパイナップル」のような甘酸っぱい果実の香りや、「サルビアを想わせるような花の蜜の香りがあり、「甘酸っぱさの中に上品な華やかさが感じられる香り」といった印象です。

 口当りは芳醇で、やや濃密な甘味とジューシーな酸の両方がしっかりと主張していますが、それでいて全体のバランスはちゃんと取れていて、後口にはキレの良い酸と程好い甘味が感じられます。

 コクやボリューム感も十分にあり、「ボディのしっかりした飲み口で、甘味と酸のハーモニーがとても心地良い、甘酸っぱい味わい」のお酒でした。

 まず合わせたのはこのお酒の「甘酸っぱさ」を意識して、

■【利き酒師世界一】のひとり言■  【きびなごの南蛮漬け】からです。
 今回デパ地下で買ってきたものは、南蛮酢がしっかりと「きびなご」に浸みていて、穀物酢の鋭角的な酸っぱさでやや喉がむせる位の味の南蛮漬けでした。

 そこに「仙禽」が加わると、このお酒のフルボディな甘酸っぱさが南蛮酢をスッポリと包み込んで、穀物酢の強さをまろやかな味わいへと変化させてくれます。

 また、通常は「南蛮酢」「甘酢」に日本酒を合わせると、余韻に若干の苦味が出て来るのですが、この組合せではそんな苦味もほとんど感じられませんでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  実はもう一品の料理も「マリネ」「甘酢漬け」で合わせようと思っていたのですが、「南蛮漬け」と同じような味ではつまらないので、不意な思い付きでブルーチーズを合わせてみました。
 そして今回選んだのは【モンブリヤック】です。

 これはフランス産のブルーチーズなのですが、同じフランスの「ロックフォール」etc.と比べると、青かびタイプとしてはかなりマイルドな味わいで、ややねっとりとしたクリーミーな食感が特徴です。

 またブルーチーズとしては珍しく、写真のように表面に「灰」がまぶしてあります。

 お酒と合わせてみると、「仙禽」の「甘酸っぱさ」に「モンブリヤック」の「濃厚な旨味」「やや強めの塩味」が加わることで、口の中で四つの味のハーモニーが完成し、実に素敵なマリアージュを見せてくれました。


 さて、日本酒には様々な香味のタイプがあり、それが日本酒の大きな魅力となっているのですが、この「せんきん」の蔵が醸し出す「甘酸っぱい香味」というタイプのお酒には、独特かつ魅力的な個性がハッキリと感じられます。

 ちょっとハマってしまいそうな予感がする、「せんきんワールド」でした…。

【信濃錦 純米吟醸 立春朝搾り

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 宮島酒店(長野県,伊那市)

特定名称 純米吟醸 生原酒

原料米 長野県伊那産「美山錦」

 (無農薬栽培,精米歩合60%)

酸度 ? アミノ酸度 ?

日本酒度 ? アルコール度 16%-17%

酒造年度 H21BY

春を呼ぶ酒【立春朝搾り】

 立春を過ぎたというのに、2月最初の週末は日本列島全体がこの冬一番の寒波に見舞われ、東京でも最低気温0℃の厳しい冷え込みとなりました。

 さて、2月の始めに呑むお酒として、すっかりお馴染みとなってきたのが、日本各地の蔵から一斉に出荷される「立春朝搾り」で、私も毎年違う蔵元から取り寄せて愉しんでいるのですが、

 今年は【信濃錦 純米吟醸 立春朝搾り】を選んでみました。

 これは長野の宮島酒店が、「無農薬栽培の美山錦」で醸し「立春の日」の早朝に搾った純米吟醸生原酒を、伊那の荒井神社でお祓いを受けてその日の内に出荷したもので、今年は上のようにラベルに「招福札」が付いていて、より一層めでたい春の祝い酒というイメージになっています。


 香りは、「紅梅」を想わせるほのかな花の香りや、「りんご羊羹のような甘味と酸味の両方をを感じさせる香りがあり、ほんのり甘酸っぱくて、早春の訪れを想わせるような香り」といった印象です。

 口当りは滑らかで、自然な甘味とフレッシュ感のある酸,そしてソフトな旨味が広がり、余韻には僅かに苦味も感じられます。

 後口は割としっかりしていてコクやボリューム感も充分にあり、「のど越し滑らかな飲み口で、瑞々しさと後口の呑み応えの両方が感じられる味わい」のお酒でした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  さて、春を呼ぶお酒には春を告げる味覚ということで、

 1品目は【菜の花のお浸し】です。

 まずは菜類の穏やかな香りとほのかな苦味が口に広がり、そして後から甘味や旨味も出てくるのですが、そんな「菜の花」独特の味わいが「立春朝搾り」の味わいのキャラクターと何となく似ていて、まるで「似たもの同士」が出会ったようなチョット面白い相性でした。

 また菜の花のお浸しと合わせることによって、お酒の味わいがぐっと濃くなるように感じられ、この2つはどちらかと言うと、料理がお酒を引き立てるような組合せだと思われます。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  そして春を告げる味覚の2品目は、

【ふきのとうとタラの芽の天ぷら】です。
 今回は素材自体の味わいを愉しむ為に、天つゆではなく「梅塩」(完熟の南高梅で造った梅酢を乾燥させもの)をつけて、それぞれお酒と合わせてみました。

 まず「タラの芽の天ぷら」ですが、何とも言えないほろ苦い味わいに「立春朝搾り」が加わることによって、よりスッキリとした苦味へと変化して、これはなかなか美味しい組合せです。

 一方「ふきのとうの天ぷら」ですが、やや顔をしかめる位の強さの苦味とエグミがあり、「立春朝搾り」を流し込むと一度はお酒の甘味のマスキング効果によって苦味が和らぐのですが、余韻に再び強い苦味が戻ってきてしまい、こちらはやや難のある組合せです。

 もしかしたら「ふきのとう」の方は、やや甘口の「天つゆ」につけて合わせた方が良かったかもしれません。


 ちなみに今年は全国で37の蔵元がこの「立春朝搾り」に参加したということですが、搾り上がりの日が「2月4日」と決まっている為、モロミの醗酵が早過ぎても遅過ぎてもいけない上に、やり直しがきかない一発勝負のお酒であることから、各蔵元の杜氏達にとっては「大吟醸以上に神経を使う」酒造りとなるそうです。

 そんなことを考えながら呑むと、よりいっそうこのお酒の「ありがたみ」が増すような気がしますね…。

【十(じゅうじ)旭日 純米吟醸生原酒 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 旭日酒造(島根県,出雲市)

特定名称 純米吟醸 生原酒

原料米 島根県産「改良雄町」(精米歩合60%)

酸度 1.8 アミノ酸度 ?

日本酒度 +4.5 アルコール度 17%-18%

酒造年度 H19BY

H19BYの【無濾過生原酒】

 ついこの間新年を迎えたばかりのつもりでいたのに、あっと言う間にもう1ヶ月が過ぎてしまいました。

 さて、この週末は久々に地元の商店街の酒屋に行ってみたのですが、実はこの酒屋,小さな店内に冷蔵ショーケースがビッシリと並び、扱っているの酒類は90%以上が日本酒で、しかもそのほとんどが「無濾過生原酒」「熟成酒」という、徹底したこだわりを持った酒屋なのです。(ちなみに店主も、相当頑固そうな親父です)

 その店で見つけたお酒がコレ、
【十(じゅうじ)旭日 純米吟醸生原酒 改良雄町】です。

 これは出雲大社の近くにある旭日酒造が、島根県産の酒米である「改良雄町」自家精米によって磨き、手間暇かけて仕込んだ純米吟醸酒を、0度以下の低温貯蔵庫でゆっくりと2年間熟成させた、H19BY(酒造年度)の無濾過生原酒です。


 香りは、「干しブドウ」のようなドライフルーツの香りや、「出し昆布」のような干した食材の香りに、「シナモン」を想わせる甘いスパイス類の香りが組合わさって、「熟成に由来するふくよかで個性的な香り」が感じられます。

 口に含むと、練れた甘味と厚みのあるしっかりとした酸,そして豊かな旨味が、フルボディな印象の中でキレイに調和していて、コクやボリューム感も十分にあります。

 後口には充実感とジワリと舌に浸み込むような旨味があり、「ややどっしりとした飲み口で、お米の膨らみのある円熟した味わい」の個性酒でした。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 今回はやや趣向を変えて、漬物と合わせてみました。

 近所の食品スーパーにゆくと、何十種類もの漬物が並んでいるのですが、その中からまず選んできたのは、
 【大根のべったら漬け】です。

 これは、浅く塩漬けした大根を、米麹で造った甘酒で漬けたもので、やや透き通るような白さとカリカリとした歯応え,そして麹の自然な甘さが特徴の、東京特産の漬物です。

 少し厚めに切ってお酒と合わせてみると、「べったら漬け」の嫌味の無い甘味と、「十旭日」のややトロリとした甘味がうまく同調し、またこのお酒の個性的なフレーバーの邪魔をすることもなく、同じ米麹を原料に使った者同士ということもあって、なかなか相性の良い組合せでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いて選んだ漬物は、、

【天日干し赤蕪の糠漬け】です。
 これは、飛騨,山形と並んで「日本三大蕪」と呼ばれている近江の赤蕪を、冬の北風の吹く中で天日干しにし、それから糠床に漬け込んだもので、根の部分は縦に大きく切り、葉の部分は細かく刻むのが、一般的な食べ方だそうです。

 この漬物だけ食べていると、ややしょっぱくて熱いお茶か炊き立てのご飯が欲しくなってしまうのですが、代わりにお酒を流し込むと、赤蕪漬けのしょっぱさがサッと消えて、赤蕪独特の風味だけが残ります。

 こちらは「十旭日」の円熟した味わいが、漬物のしょっぱさを上手から包み込んで、よりマイルドな美味しさに変えてくれるような組合せでした。


 今回は、味わい的には全く異なる「麹漬け」「糠漬け」の2種類の漬物を試してみましたが、「十旭日」のような程良く熟成したお酒との相性は、どちらも◎の組合せでした。

 今後は、「粕漬け」「味噌漬け」「たまり漬け」「辛子漬け」etc.の他のタイプの漬物も含めて、タイプ別の日本酒と種類別の漬物の相性研究をしてみたいものだと思っています。

【而今 八反錦 純米吟醸 無濾過生

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 木屋正酒造(三重県,名張市)

特定名称 純米吟醸酒 

原料米 広島県産「八反錦」(精米歩合55%)

酸度 1.7 アミノ酸度 1.4

日本酒度 ±0 アルコール度 17%

酒造年度 H21BY

1月の【入荷待ちの美酒】

 1月の中旬に会社の取引業者の展示会に参加して、日本酒の仕入先の担当者と色々な情報交換をしたのですが、その際に入荷したら是非一本送って欲しいと頼んでおいたお酒が届いたので、週末にじっくりと呑んでみることとしました。

 それがコレ【而今 八反錦 純米吟醸 無濾過生】です。

 これは「而今」で知られる三重の木屋正酒造が、毎年この時期に広島産の「八反錦」を使って醸す、純米吟醸スペックの無濾過生原酒なのですが、年々人気が高まっていて近頃では入手がやや困難なお酒の一つとなってしまってきています。


 香りは、「王林(黄色りんご)」のような上品な果実の香りに、「高級なバニラアイスを想わせるような甘く穏やかな香りが加わって、「ほのかに甘くフルーティーで、飾りのない上品な香りが感じられます。

 口に含むと、艶のある甘味と鮮やかな酸,そして滑らかな旨味と余韻に感じる僅かな苦味のバランスがダイナミックに取れていて、後口にはピリピリとした炭酸ガスの微発泡を感じます。

 コクやボリューム感がしっかりとあり、「やや濃密かつジューシーな飲み口で、まるで芳醇で甘口の果実酒を呑んでいるような印象」の美酒でした。

 今回は一升瓶で購入したこともあり、数日間にわたって様々な料理との相性を試してみたのですが、その中で特に相性が良かったものを2品あげておきます。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  まずは【かすべの炙り焼き】です。

 これはみりん干しにした「かすべ」(ガンギエイ)ヒレの部分の炙り焼きで、お店でも定番メニューとしてお客様に提供しているのものです。

 軟骨の部分のコリコリとした歯応えが何とも言えず、また「みりん干し」特有の艶やかな甘味とややコッテリした味わいが、「而今」の薄甘口でジューシーな味わいと良く合います。

 両方の味わいのボリューム感のレベルも丁度良く、まさに「これぞ酒と肴」といった感じの組合せでした。

 お店で出しているのと同じように、マヨネーズ七味も試してみましたが、何の違和感もなくマッチし、「而今」の味のバランスも全く崩れませんでした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  そしてもう1品は【こだわりの寄せ豆腐】です。
 通常の豆腐では、「而今」のやや濃密な味わいに負けてしまうのですが、今回選んだ埼玉県の「もぎ豆腐店」「三之助(みのすけ)」というブランドの豆腐は、原料の大豆そのものを想わせる味の、素材に徹底的にこだわった豆腐です。

 醤油を少しだけたらしてお酒と合わせてみましたが、「三之助寄せ豆腐」の濃厚で甘くコクのある味わいが、「而今」の一瞬息を呑むような印象の甘味と実に見事に同調し、そしてお互いを引き立てあって両方がより一層美味しく感じられます。

 余韻にもただ「旨さ」しか残らず、思わず「う~ん旨い」とうなってしまう程の組合せでした。


 ちなみにこの一升瓶サイズの「而今 無濾過生原酒」を、開栓してから数日間にわたって呑んだのですが、初日に感じた甘味と酸と旨味と苦味のダイナミックな印象が、時間の経過と共にジューシーな味わいはそのままに、四味のバランスが次第にまとまってゆくように感じられました。

 開栓後のこんな面白い変化を愉しむ為にも、お酒のタイプによっては四合瓶ではなく一升瓶で購入する方が良いのかもしれませんね。

【京ひな 大吟醸 隠し剣 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 酒六酒造(愛媛県,喜多郡)

特定名称 純米大吟醸酒 

原料米 兵庫県産「山田錦」(精米歩合50%)

       愛媛県産「松山三井」(精米歩合50%)

酸度 1.3 アミノ酸度 0.7

日本酒度 +6 アルコール度 15%-16%

酒造年度 H20BY

【超!長期醗酵】の大吟醸

 今年に入ってからも、巷では依然としてあまり景気の良い話は聞かれませんが、1月第3週の金土は新年会のお客様が多く来店し、お店もまずまずの賑わいとなりました。

 さて翌日の日曜に新宿のデパートの酒売り場に立ち寄った時に、やや気になるお酒を見付けたので買い込んできて呑んでみました。

 それがコレ【京ひな 大吟醸 隠し剣】です。

 これは愛媛の酒六酒造が、兵庫県西脇産の特級の山田錦を麹米に使って、一般的には30日程度の期間で行われる大吟醸のモロミの仕込(発酵)日数を、上のラベルにも載っているように何と50日という期間をかけた「超長期発酵!?」でじっくりと仕上げた、まさに杜氏入魂のお酒です。


 香りは、「ネーブル」のようなほんのりとした果実の香りに、「ローズマリーのようなハーブ類の香りが組み合わさって、「ほのかに甘く華やかで、爽やかさも感じさせる繊細な香り」といった印象です。

 口当りは軽やかで、スッキリとした甘味とキレのあるシャープな酸,そしてきめ細かな旨味と僅かな苦味がバランス良く口に広がります。

 コクやボリューム感は控えめで後口の「さばけ」が良く、「軽快でサラリとした喉越しで、透明感のあるキリリとした味わい」の辛口酒でした。

■【利き酒師世界一】のひとり言■  
このお酒の個性を考えて、まず最初の酒の肴は冬場が旬の
 【真鱈の白子ポン酢】にしてみました。

 ピリ辛の「もみじおろし」を添えて「すだちポン酢」で食べてみましたが、舌ざわりはとてもクリーミーかつ滑らかで、白子独特の旨味と甘味が口いっぱいに広がって、そしてそのまま口の中でスッととろけてゆきます。

 「隠し剣」と合わせてみると、透明感のあるお酒の味わいが、鱈白子の濃厚な旨味とコクの邪魔をせずにそのまま美味しさを継続させてくれて、そして余韻にはこのお酒の個性である、キリリとしたキレのある後口もしっかりと感じさせてくれます。


■【利き酒師世界一】のひとり言■

 続いては、フランス産の青かびタイプのチーズの

 【フルム・ダンベール】です。
 個人的にシャープな味わいの大吟醸酒には、「ロックフォール」「ゴルゴンゾーラ」のような、青かびの刺激の強いブルーチーズを合わせて愉しむのが好きなのですが、今回は「隠し剣」のサラリとした酒質を意識して、敢えてややマイルドな味わいのブルーチーズを選んでみました。

 早速合わせてみると、フルム・ダンベールの程好い塩味とやや濃厚な旨味が、お酒によってより上品な旨味へと変化してゆき、そして口の中でキレイに流れてゆきます。

 なかなかバランスの良い組合せで、この「隠し剣」のように繊細な味わいを持つ大吟醸の個性を消さないようにする為には、どうやらこのフルム・ダンベールのような「優しいブルーチーズ」を合わせるのが良いようです。


 さて話は変わりますが、この蔵元からは今回呑んだ「隠し剣」の他に、「吹毛剣」「七星剣」「一刀両断」といった、いかにも切れ味の良さそうな名前のお酒が出されているのですが、酒好きとしてはこんなネーミングを聞いただけで、思わず呑みたくなってしまうとは思いませんか?!

【越乃景虎 純米しぼりたて 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 諸橋酒造(新潟県,長岡市)

特定名称 純米生原酒 

原料米 「五百万石」(精米歩合65%)

       「トドロキ早生」(精米歩合65%)

酸度 1.3 アミノ酸度 1.1

日本酒度 +3 アルコール度 17%-18%

酒造年度 H21BY

【早春の酒と味覚】のプチ贅沢

 「成人の日」を過ぎてお正月気分もすっかり抜け、世の中がようやく通常の生活モードへと戻ってきました。

 さてこの時期になると、WEBサイト上のSAKE SHOPから、全国各地の蔵元の新酒の出荷情報が次々とメルマガで届き、思わずどれもこれも呑みたくなってしまいますが、今宵選んだ一本は、
 【越乃景虎 純米しぼりたて】
です。 

 醸造元の「諸橋酒造」は、新潟でも有数の豪雪地帯である栃尾市に蔵があり、また蔵のすぐ側の井戸から湧き出る「硬度0.47」という全国でも稀に見る「超軟水」を仕込み水として使っていることで知られていますが、このお酒は越後杜氏の業で醸した純米酒を「しぼりたて」で瓶詰めし、そのまま蔵出しした季節限定の生原酒です。(ちなみに「景虎」とは、この地で青年時代を過ごした「上杉謙信」の元服名だそうです。)


 香りは、「熟したふじリンゴ」のような果実の香りに、「洋菓子のモンブランのような甘い香りが加わって、ほんのり甘く華やかで、なおかつフレッシュ感のある香り」が感じられます。

 口に含むと、やや艶やかさを感じさせる甘味と心地良い刺激のある酸,そして舌にジワリと浸み込むような旨味があり、全体的な厚みを感じさせる味わいです。

 コクやボリューム感は充分にあり、「活き活きとした躍動感のある飲み口で、呑み応えのある芳醇旨口の味わい」のお酒でした。

 早春に蔵出しされたお酒には早春の山菜ということで、まずは

■【利き酒師世界一】のひとり言■  【たらの芽のお浸し】からです。

 ご存知のように、「たらの芽」はマッチの軸etc.に使われている「たらの木」の茎の先端に出てくる若芽の部分で、本当は定番の天ぷらにして食べたかったのですが、今回は手間を省いてお浸しにしてみました。

 食べてみると、独特のほろ苦さに加えてアクのエグミと共にベジェタルな味わいが口の中に広がりますが、そこに「越乃景虎」が加わると、その全ての風味をお酒が一度すっぽりと包み込んでくれて、そして余韻に再び「たらの芽」のフレーバーがフワリと戻ってきます。

 早春の山菜類を「お浸し」にすると、その山菜の個性がどれも比較的ダイレクトに出てくるのですが、そんな時にはどうやらこんな芳醇旨口タイプの日本酒を、合わせてみるのが良いようです。


■【利き酒師世界一】のひとり言■
 そしてもう一品は早春の野菜をつかった惣菜で、
 【菜の花の白和え】です。
 これはサッと茹でた菜の花を、すり潰した絹ごし豆腐練り胡麻の衣で和えたもので、一足早い春を感じさせる「おばんさい」です。

 「越乃景虎」と合わせてみると、菜の花のほのかな苦味とお酒の刺激のある酸,そして豆腐のほんのりとした甘味と、お酒のやや艶やかさのある甘味がそれぞれ寄り添い、さらに練り胡麻のコクとお酒のボリューム感のレベルも、丁度良くバランスが取れていました。

 ちなみに、一緒に買ってきた「菜の花の辛子和え」も合わせてみましたが、こちらは「越乃景虎」の方がやや上手になってしまい、「辛し和え」の風味が消えてしまう感があり、このタイプの日本酒との相性は今ひとつでした。


 それにしても、こんな風に寒造りで仕込まれた早春の「生まれたての新酒」と、早春の自然の生命力を感じさせる山菜や野菜を一緒に味わえるなんて、日本酒ならではのチョット贅沢な愉しみ方だとは思いませんか?

高清水 大吟醸しずく採り 瑞兆】

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 秋田酒類製造(秋田県,秋田市)

特定名称 大吟醸酒 しずく採り

原料米 「山田錦」(精米歩合35%)

酸度 1.2 アミノ酸度 0.9

日本酒度 +4 アルコール度 15.8%

酒造年度 H20BY

祝い酒は【しずく採り】

 大晦日はほぼオールナイトで呑み明かした為、元旦は終日缶ビールを飲みながら家でのんびりと過ごし、2日には例年通り新宿の花園神社に初詣へと出かけてきました。

 そして今年の日本酒の呑み始めは、
 【高清水 大吟醸しずく採り 瑞兆】からです。

 このお酒は秋田の親戚から昨年のお歳暮として送って頂いたもので、秋田の「高清水」の蔵元が、「山田錦」を35%まで磨き上げて仕込んだモロミを、圧力をかけずに丁寧に「酒袋」に入れて吊り下げて、染み出てきた雫を一滴一滴集めて瓶で熟成させた、杜氏入魂の「しずく採り」の大吟醸酒です。


 香りは、「マスクメロン」「ライチ」を想わせる上品な果実の香りが次々と現れ、そこに「缶入りフルーツドロップのような甘くフルーティーな香りが加わって、「様々な果実が顔をのぞかせる、華やかでかぐわしい香りが感じられます。

 口当りは割と軽快で、上品な甘味とシャープでスッキリとした酸,そして控えめで透明感のある旨味が、華やかなフレーバーに包まれながら口に広がります。

 余韻は比較的短く後口はサラリとした印象で、「非常に滑らかかつキレのある飲み口で、キレイでエレガントな味わい」のお酒でした。
■【利き酒師世界一】のひとり言■
 お正月ということでまず最初の酒の肴は、

【味付け数の子】からです。

 日本酒と合わせることを意識して、「塩数の子」ではなく既に塩抜きをして味付けしてある数の子を買ってきたのですが、特有のプチプチとした食感と共に、カツオだしの旨味と程好い醤油の風味が酒を誘います。

 「高清水 瑞兆」と合わせてみると、お酒が滑らかにスッと流れてゆくようなイメージで、もちろんの組合せではあるのですが、キレイで透明感のあるお酒であるがゆえに、逆に料理ともう少し絡んで欲しいな、というような物足りなさも少し感じてしまいました。
■【利き酒師世界一】のひとり言■  もう一品はお正月らしくおめでたい紅白カラーの、

【明石産の蒸し真蛸】です。
 柔らかな蛸をぶつ切りにし、まずは何も付けずに食べてみると、噛み締めるほどに蛸が本来持っている旨味が滲み出てきます。

 そして今度は「天然塩」に軽く付けた蛸を、「高清水 瑞兆」と合わせてみると、塩で引き出された蛸の自然な甘味とお酒の甘味が口の中で同調して、これはなかなか美味しい組合せです。

 もちろん「わさび醤油」でも試してみましたが、こちらは余韻に「高清水」の上品な甘味が再び感じられる点が、塩の時と異なる特徴でした。


 ちなみにこの「高清水 瑞兆」のようなタイプの大吟醸酒は香りが高いので、ずーと食事をしながら呑み続けていると、華やかな香りがやや鼻についてきて辛くなってしまうのですが、そんな時には「カツオの酒盗」「ロックフォール」のような、個性とフレーバーの強い発酵食品を間にワインポイントとして挟むと、良くも悪くも吟醸香が鼻から消えて、再び呑み続けられるようになります。

 皆さんも騙されたつもりで是非一度お試し下さい。