■【早春の酒と味覚】のプチ贅沢 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【越乃景虎 純米しぼりたて 

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 諸橋酒造(新潟県,長岡市)

特定名称 純米生原酒 

原料米 「五百万石」(精米歩合65%)

       「トドロキ早生」(精米歩合65%)

酸度 1.3 アミノ酸度 1.1

日本酒度 +3 アルコール度 17%-18%

酒造年度 H21BY

【早春の酒と味覚】のプチ贅沢

 「成人の日」を過ぎてお正月気分もすっかり抜け、世の中がようやく通常の生活モードへと戻ってきました。

 さてこの時期になると、WEBサイト上のSAKE SHOPから、全国各地の蔵元の新酒の出荷情報が次々とメルマガで届き、思わずどれもこれも呑みたくなってしまいますが、今宵選んだ一本は、
 【越乃景虎 純米しぼりたて】
です。 

 醸造元の「諸橋酒造」は、新潟でも有数の豪雪地帯である栃尾市に蔵があり、また蔵のすぐ側の井戸から湧き出る「硬度0.47」という全国でも稀に見る「超軟水」を仕込み水として使っていることで知られていますが、このお酒は越後杜氏の業で醸した純米酒を「しぼりたて」で瓶詰めし、そのまま蔵出しした季節限定の生原酒です。(ちなみに「景虎」とは、この地で青年時代を過ごした「上杉謙信」の元服名だそうです。)


 香りは、「熟したふじリンゴ」のような果実の香りに、「洋菓子のモンブランのような甘い香りが加わって、ほんのり甘く華やかで、なおかつフレッシュ感のある香り」が感じられます。

 口に含むと、やや艶やかさを感じさせる甘味と心地良い刺激のある酸,そして舌にジワリと浸み込むような旨味があり、全体的な厚みを感じさせる味わいです。

 コクやボリューム感は充分にあり、「活き活きとした躍動感のある飲み口で、呑み応えのある芳醇旨口の味わい」のお酒でした。

 早春に蔵出しされたお酒には早春の山菜ということで、まずは

■【利き酒師世界一】のひとり言■  【たらの芽のお浸し】からです。

 ご存知のように、「たらの芽」はマッチの軸etc.に使われている「たらの木」の茎の先端に出てくる若芽の部分で、本当は定番の天ぷらにして食べたかったのですが、今回は手間を省いてお浸しにしてみました。

 食べてみると、独特のほろ苦さに加えてアクのエグミと共にベジェタルな味わいが口の中に広がりますが、そこに「越乃景虎」が加わると、その全ての風味をお酒が一度すっぽりと包み込んでくれて、そして余韻に再び「たらの芽」のフレーバーがフワリと戻ってきます。

 早春の山菜類を「お浸し」にすると、その山菜の個性がどれも比較的ダイレクトに出てくるのですが、そんな時にはどうやらこんな芳醇旨口タイプの日本酒を、合わせてみるのが良いようです。


■【利き酒師世界一】のひとり言■
 そしてもう一品は早春の野菜をつかった惣菜で、
 【菜の花の白和え】です。
 これはサッと茹でた菜の花を、すり潰した絹ごし豆腐練り胡麻の衣で和えたもので、一足早い春を感じさせる「おばんさい」です。

 「越乃景虎」と合わせてみると、菜の花のほのかな苦味とお酒の刺激のある酸,そして豆腐のほんのりとした甘味と、お酒のやや艶やかさのある甘味がそれぞれ寄り添い、さらに練り胡麻のコクとお酒のボリューム感のレベルも、丁度良くバランスが取れていました。

 ちなみに、一緒に買ってきた「菜の花の辛子和え」も合わせてみましたが、こちらは「越乃景虎」の方がやや上手になってしまい、「辛し和え」の風味が消えてしまう感があり、このタイプの日本酒との相性は今ひとつでした。


 それにしても、こんな風に寒造りで仕込まれた早春の「生まれたての新酒」と、早春の自然の生命力を感じさせる山菜や野菜を一緒に味わえるなんて、日本酒ならではのチョット贅沢な愉しみ方だとは思いませんか?