夏Venus!!/シンギュラリティ
1. 夏Venus!!
結成以降、ハイペースで楽曲を送り込んでくるシンギュラリティによるシングル。
7月に開催された単独公演「シンギュラリティ浴衣夏祭りワンマン」にて配布。
その後、デジタルシングルとしてリリースされ、幅広く耳に出来るようになりました。
ライブでの定番曲として育てていきたい思惑もあるようで、救済策を用意したのは正解でしょう。
彼ららしい、ギラギラしたシンセがサイバーな質感を生み出すダンサブルなアッパーチューン。
デジタル色が強まると、無機質的、機械的な印象に傾くイメージがありますが、本作において面白いのが、サイバーに染まることで暑苦しさや人間味が増していること。
冷たい印象はほとんど受けず、ギラつく太陽や、熱い砂浜を思い浮かべてしまうのですよ。
これは、デジタルサウンドで夏ソングを多く生み出した、J-POPシーンにおける浅倉大介サウンドの功績だったりするのかな。
方法論としては、その影響下にいると捉えることも出来そうです。
一方で、とにかくライブへの意識を高めているのがバンドである彼らの矜持。
イントロの導入であったり、間奏前の掛け合いなど、パフォーマンスや煽りが入ることを想定して意図的に空白をあけたり、ライブでのアレンジを前提に詰め込むところは詰め込んでみたり、痒い所に手が届く構成になっているから驚かされる。
感情の赴くままに動いた結果が、彼らの計算通り、プログラム通りだったということになるのも、シンギュラリティのコンセプト的には深みを増すことになるじゃないですか。
センスというよりノウハウに近い部分で、会場での配布音源として選ばれるのも納得ですよ。
8月も終わりとはいえ、まだまだ暑い日が続きそうで、もう少しライブで聴く機会は残っていそう。
タイプは違えど、彼らの魅力は十分に伝えられる1枚です。
<過去のシンギュラリティに関するレビュー>