unexploited place/Mel×kid
1. 鏤刻ト退廃
2. 緋恋華
3. 雨音と蝶柄の傘
4. Jail
5. 雪と舞う想い出
広島を拠点に活動していたMel×kidが2013年にリリースした1stミニアルバム。
2014年に活動休止となり、2017年に期間限定な活動を行い、正式に解散となっています。
ex-Di〜nairのVo.秀華さんは、福岡から広島に拠点を変更。
地元だったようですが、珍しいキャリアなのかもしれません。
音楽性は、懐かしさを感じさせるHR/HMの系譜。
マイナーコードで疾走するハードな展開に、ダークな要素を散りばめた歌詞やメロディ。
ヴィジュアルメタルの王道を突っ走るバンドと言えるでしょう。
2013年という時代背景を踏まえれば、シンフォニックなアレンジを取り込んだ耽美メタルと、DELUHIなどから影響を受けて派生した硬派なスタイルとに分岐していた時期。
彼らの場合は、どちらかと言えば後者に分類され、構成面でのギミックよりも、サウンドの質やフレーズの旨味を重視していた印象です。
それでいて、秀華さんの歌声は、細くて艶やかなコテコテ寄り。
要するに、DELUHI以降のモダンなメタルスタイルをなぞりながら、アプローチとしては90年代的と言えなくもない。
イチゼロ年代と黎明期とを繋ぐ、ハイブリッドなバンドでした。
しっかり展開はするし、テクニックも相応にあり。
「鏤刻ト退廃」や「雨音と蝶柄の傘」など、キラーチューン候補も多く見つかりますね。
概ねの楽曲を作曲しているGt.夢琉さんが、メインコンポーザーとなるのかな。
ラストの「雪と舞う想い出」こそギミックを過剰に盛った歌モノとなっていますが、それ以外は4分台とコンパクトに仕上げていて、構成力もまずまず。
ミニアルバムサイズで1,500円という価格設定にしても、10年前の物価とはいえ、手を出しやすい安さでした。
あとは見つかるだけ、といったところではあった気もしますが、実稼働が短命すぎたのがもったいない。
地方バンドとしての殻をぶち破ってほしかったです。