BOOTLEG/V.A.
1. 『 』 / La'veil MizeriA Feat.魁那
2. requiem / Misanthrope Feat.魁那
3. -19℃ノ指先 / Marvelous Cruelty Feat.二人静
4. 緋イ絲 / La'veil MizeriA Feat.二人静
5. 黒ノ醜宴 / Misanthrope Feat.祈狂
6. …cruelty / Marvelous Cruelty Feat.祈狂
"トライアングルデカダンス"シリーズの番外編的なコラボレーションミニアルバム。
Marvelous Cruelty、La'veil MizeriA、Misanthropeの3マンイベント、「トライアングルデカダンス」。
最初の2回は、各バンド1曲ずつ+コラボレーションナンバー1曲という構成でしたが、Marvelous Crueltyが無期限活動休止に入ることを受けてか、3回目においてはミニアルバムを2枚発表する特別仕様となっています。
同時リリースとなった「トライアングルデカダンス~絶章~」がコラボ楽曲のベスト盤であれば、こちらの「BOOTLEG」は、各バンドの個性を切り出す役割となるのでしょう。
とはいえ、従来の新曲を持ち寄るスタイルではさすがに間に合わなかったと思われ、ボリュームを出しつつスピーディーに制作できるアイディアとして、ヴォーカルパートのみシャッフルしてレコーディング。
オリジナルとのちょっとしたニュアンスの違いを生み出すことで、ヴォーカルが所属しているバンドのファンにとっては、演奏しているバンドの特色がわかりやすくなりますし、その逆もまた然り。
ライト層には定番曲や代表曲を紹介しやすく、コア層にとっても既に手元にある音源とは異なるわけですから、3マンイベントでの企画としては充実していると言えそうです。
勢いを象徴するシャウトや、粗削りながらも鋭さのある歌声を武器にする魁那さん。
ハリのある歌唱によりメロディパートを支えつつ、激しさに振れても器用に順応する二人静さん。
狂気性の演出においては一日の長があり、あえて癖を強める歌声も表現の一部として市民権を得ている祈狂さん。
バンドとしては同じカテゴリーに組み込まれることが多い三者ですが、こうしてヴォーカリストを比べてみても違った強み、個性を持っていて、改めて聴き比べてみるのも一興ですね。
ネックとしては、入手経路が限定していることと、各3,500円という価格設定。
既存曲の多いミニアルバムだけに、ここまで価格は高騰したかと昨今の物価高を嘆きたくなるのも本音です。
CDだけが安いままで、とはならないのは理解しつつも、そこがハードルになって、結果的にコア層しか手に取らない作品になってしまうのではもったいないなと思わざるを得ませんでした。
<過去のトライアングルデカダンスに関するレビュー>