Lucyan/透×杏太
1. 高台の公園にて〜Lucyan opening〜
2. 開かずの扉
3. ひまわり
4. 透×杏太talk
OLD CIRCUSのTφRUさんと、ホタルの杏太さんによるギタリスト・ユニット、透×杏太のデモシングル。
ライブのたびに音源を発表している彼ら。
5回目の公演でもデモCDRがリリースされました。
これまでは足場を固めるために、お互いのソロ曲のカヴァーと、それぞれが作曲した新曲を収録。
4トラックが収録される形式でしたが、アルバム「赤坂と暗いオルゴール」の完成を機に新章に突入。
コンセプトアルバムの制作に向け、統一されたテーマで構成されたオリジナルのみの楽曲集となっています。
盲目の少女、Lucyanを主要人物に据えた物語。
現時点で終着地は決めていないようですが、インスト曲も多い彼らの世界観において、どのようにストーリーを広げていくのかは興味深いですね。
「高台の公園にて〜Lucyan opening〜」は、サブタイトル通りの序章。
加工されてはっきり聞こえない声での語りが入った神秘的なSEとして展開され、3分ほど進行したところでバンド色が強まると、壮大なギターインストに変貌していきます。
ストーリー上のメインとなるのは、「開かずの扉」。
オープニングに続いて、杏太さんが作詞・作曲を担当しており、彼がコンセプトメーカーとなっていくのかな。
彼女が盲目になった理由を語る一方で、ある種の理不尽さ、おどろおどろしさがあって、どう転んでいくか見えない形。
最近の杏太さんは、生々しい私小説的な作風だっただけに、がっちり構築したストーリーテリングで来るのは意外な気もしますが、過去には童話を発表していたりと多才さを見せていたので、これも十分守備範囲なのでしょう。
楽曲としても、ダウナーでぼそぼそと進行していく、これまでにはなかったタイプのダークチューン。
サビの広がりに歌謡メロディの名残を見せつつ、他の活動との差異化、個性化が際立っていたな、と。
「ひまわり」は、透さんがコンポーズしたインストナンバー。
こちらは、従来の透×杏太との連続性を意識した楽曲になっていますが、タイトルから連想するアッパーな雰囲気ではなく、Lucyanの世界観を踏襲している気がしてくるから面白い。
言葉がなくても表現が出来てしまう音楽の真骨頂を発揮していました。
これらの楽曲は、制作中のアルバムにも収録されていくのだと思われますが、本作におけるスペシャル感を出す意味合いで、実に40分を超えるトークも追加収録。
リスナーの質問に答えていくラジオ形式になっていて、かなりギタリストとしての深い部分、マニアックな部分に触れているので聴きごたえあり。
もう何作かはシングルが発表されるのでしょうが、このスタイルが定番化したら嬉しいです。
<過去の透×杏太に関するレビュー>