TENSEISM BEST SINGLES 2001-2004/FANTASTIC♢CIRCUS | 安眠妨害水族館

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TENSEISM BEST SINGLES [2001-2004]/FANTASTIC♢CIRCUS

 

1. hal[ハル]

2. JET hyp!

3. ゆらぎ

4. ダウンコード

5. スプートニク -旅人たち-

6. LOVE MONSTER

7. ドラキラ

8. BLUE ROSE

9. 夢じゃない世界。

10. moonlight

11. 月の魔法

12. 鴉<KARASU>

13. everlove

14. 追憶をこえるスピードで

 

FANTASTIC♢CIRCUSによるリテイクアルバム第二弾。

 

2019年に、 FANATIC◇CRISISからの転生として、 Vo.石月 努、Gt.kazuya、Gt.SHUN.によって編成。

結成30周年イヤーとなった2023年に、FANATIC◇CRISISの楽曲をセルフカヴァーしたリテイクアルバムをリリース。

それが1997年から2000年までに発表したシングル曲からの選曲だったことから、2001年以降のリテイクベストも出るのでは、と期待されていたのですが、遂に現実のものとなりました。

期間中にリリースされていたシングルは13枚。

前作も13曲だっただけに、14曲目に「everlove」のカップリングであった「追憶をこえるスピードで」が収録されたのは嬉しい誤算です。

 

リズム体は、前作に続き、 Ba.NATCHIN(SIAM SHADE)、Dr.LEVIN(La'cryma Christi)のふたり 。

ピアノ、バイオリン、チェロについても、打ち込みではなくサポートメンバーによる生音を用いていて、こだわりも見えるのでは。

カジュアル度合いが増して、歌詞における"努節"も強まってくる後期FtC。

昭和の少女漫画のような独特なカタカナ使いに、やや時代錯誤を感じてしまう部分はありますが、身近なモチーフから壮大なテーマまで表現の幅が広がっていく中で、当時は背伸びしていた部分も説得力をもって演奏されるようになった印象。

特に、硬質な歌声よりも、優しく、やわらかいイメージが似合う楽曲において、成長を感じずにはいられません。

 

また、世間的には脱ヴィジュアル的な戦略をとっていたように見えていた彼らも、きちんと当時のシーンを研究し、流行を取り入れていたのだな、というのが振り返ってよくわかりますね。

「LOVE MONSTER」あたりからシャッフルリズムやジャジーなサウンドの印象を強めていて、ビートロック調の楽曲についても、歌モノとしても機能しそうなポップ感を。

先行配信されていた「ダウンコード」などは、哀愁歌謡の要素も見受けられます。

これらのアプローチは、お洒落系ブームの良いところ取りとも言えそうですが、きちんと彼らの世界観に飲み込んだうえでアウトプットしたことで、ネガティブな意味合いでの路線変更とは受け取られず、アクセントのバリエーションが増えたという印象を与えていました。

これらの楽曲も、更に付け焼刃ではない形に進化しており、とにかくクオリティが高いなと。

 

諸々の事情から、SHUN.さんが一時離脱となってしまっているのは心配ですが、これでメジャー期の総括は完了。

今回はここまでとなるのか、次のフェーズに進むのか。
出来ることなら、後者を視野に、と願ってしまいます。

 

 

 

<過去のFANTASTIC♢CIRCUSに関するレビュー>

TENSEISM BEST SINGLES [1997-2000]