River's end/drizzle
1. 暗闇の唄
2. SEX≠OD
3. 幸、焦がれ
4. River's end
2023年に結成したdrizzleによる1st音源集。
ex-ALMAのVo.ロトム、ex-螺旋錠のGt.山口雪乃、Ba.石田尚穂の3人で結成。
結成発表後、水面下での活動が続いていましたが、ようやく届いた名詞代わりの作品となりました。
初回限定生産分100枚は、ピクチャージャケット仕様。
4曲を収録しています。
なんとなく、らしさを感じたのは「暗闇の唄」。
ロトムさんらしい、地を這うようなヴォーカリゼーション。
ベースとギターによるユニゾン的なリフが、中毒的なヘヴィネスを生み出して、アングラな質感を強めています。
一方で、そこに続く「SEX≠OD」が、これまでにない雰囲気。
ヘヴィネスを、ラウドロック的な方向に振り替えて、歯切れの良いアッパーチューンに。
重力があるのに軽快にも聞こえるリズムと、あえてラフに仕上げたようなシャウトが、パンキッシュな新境地を作り出していますね。
バンド感が高まったところで送り込まれる「幸、焦がれ」は、これまた新しいドラマティックなナンバー。
パートによって色味が異なり、ヘヴィーかと思いきや、浮遊感もあって、サビは歌謡曲的なキャッチーさすら出てきます。
高音が掠れ気味で、やや線が細いきらいはあるものの、そのハスキーな歌声が切望の演出になっている部分も。
表題曲である「River's end」にて、その歌い方がメインとなっていることを踏まえれば意図しての表現でしょうし、処女作において、最適解を持って来たということでしょう。
そもそも、drizzleではこういう路線の楽曲もやるのか、とサプライズだった繊細な歌モノ。
コーラスワークが心地良く、馴染んでくれば大きな個性となりそうな予感はありますよ。
歌唱パターンはもっと増やしていきたいところですが、フレーズのセンスは抜群。
最初の1曲が予想通りだった分、そこからの先入観から乖離していく楽曲群には、驚かされっぱなしでした。
行き着くところは「River's end」。
残念ながら雪乃さんの離脱がアナウンスされてしまいましたが、裏方で関わることはあり得るとのこと。
今後のdrizzleにも変わらずに期待したくなる1枚です。