PROGRESS / LUV'ra-Doll | 安眠妨害水族館

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PROGRESS/LUV'ra-Doll

 
1. Code 120811
2. Same
3. Ray
4. Loveless Butterfly
5. 陽炎
6. Deep Coma
7. Unpleasant
8. IN PAIN
9. Dear…Children
10. Exist a Reason
11. Good bye
 
長野を拠点に活動していたLUV'ra-Dollの1stフルアルバム。
 
1996年に結成して、2001年に解散。
Vo.TAKUMAさんと、Ba.Yokiさんは、後にRusH、バビロンでも活動していました。
本作は、2000年にリリースされた、LUV'ra-Dollにとって唯一のアルバム作品。
シングルとして発表されていた「Exist a Reason」、「Dear…Children」を含む全11曲を収録しています。
 
彼らの音楽性については、なかなか一言で表現するのが難しいな、と。
サブジャンルのカテゴライズとしてはソフト・ヴィジュアル系に属されると思われますが、ノイジーなラウドチューン「Code 120811」で幕を開けると、ダークさとポップさが混在する「Same」に続けて、一口にソフビ系と聞いて思い出す音楽性とのズレを作っているのですよ。
折り返し地点でも、 女性の悲鳴からスタートするハードチューン「Deep Coma」、ダーク&ヘヴィーに展開する「Unpleasant」を固めて、激しさを強調。
癖の強いTAKUMAさんの歌声は、むしろコテコテ寄りの楽曲のほうがハマっている気さえしてきます。
 
一方で、「Ray」や「IN PAIN」といった、正当派のポップロックも用意されていて、単純にヴィジュアルと音楽性にギャップを生んでいるとも言えないから奥深い。
「Loveless Butterfly」、「陽炎」なんかは、プラスアルファで独自の世界観も持ち合わせているので、白系的ですらあります。
終盤は、メジャー感のあるポップチューン「Dear…Children」、正当派の疾走ロック「Exist a Reason」のシングルコンボに、華やかさと壮大さを押し出して歌モノ風に仕上げた「Good bye」でクロージング。
パブリックイメージを作り出すべく送り込んだ3曲で、いつの間にやら爽やかなイメージを与えているのが実にあざといのだけれど、サブジャンルが曖昧だったからこそのバラエティ性だな、といったところでしょう。
なんとなくセールス面を考慮してメイクは薄めにしてみたけれど、サウンド面ではとりあえず何でも手を出しておこうというスタンスは、ノウハウやメソッドが確立しておらず、制約が少なかった2000年という時代を象徴していたのでは。
 
もっとも、その音楽性の自由さ故に、アルバムとしてはとっ散らかっている感もあって、評価は分かれそう。
なんだかんだ、楽曲単体では粒ぞろい。
コンセプチュアルなものを求めすぎず、色々入っているからどれかは刺さるでしょ、というラフな聴き方のほうが、案外印象に残るのかもしれません。