メアリー/UNDER FALL JUSTICE
1. メアリー
UNDER FALL JUSTICEによる無料配布音源。
2009年に『正義』崇拝教團JUSTICE KINGとして始動。
"カルト教團"というコンセプトが、ご時世的にキワドさを増している彼らですが、このタイミングでシングルを無料配布するという攻めの姿勢は、いかにもアングラなヴィジュアル系バンドらしさに溢れていると言えるでしょう。
配信で音楽を届けられる時代に、あえてCDRで布教するというのも、かえって話題性を集めました。
収録された「メアリー」は、マイナーコードで疾走するコテコテ系の王道ナンバー。
台詞調のパートを含めるギミックに荘厳さを極めるシンセのフレーズなど、様式美を強めた音楽性が、ダークで倒錯的な世界観を引き立てています。
その中で、もっともインパクトを与えているのが、歌謡曲性を高めたサビのメロディ。
ともすれば過去をなぞるだけに陥りがちなトラディショナルなフォーマットではあるものの、純粋に強い歌メロを持ってくることで勝負する思い切りの良さが奏功。
ストレートに突き刺さるキラーチューンとして昇華させていました。
わかりやすい猟奇性も、印象に残りやすくするポイント。
キャッチーであればこそ、ど真ん中のダークネスがギャップとして際立っており、たった１曲ではあるのですが、やけに耳にこびりつくのです。
送料280円がかかるとはいえ、配信音源を１曲購入する値段と考えればコストパフォーマンスは悪くない。
聴く価値は十分にある１枚ではないかと。