張り付く麗子 / ぶえ | 安眠妨害水族館

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張り付く麗子/ぶえ

 

1. 張り付く麗子

2. 嘔吐、応答せよ

3. 4秒後無駄死に

 

 

ex-MAMIRETAのVo.伐らで結成された、ぶえ。

本作は、結成後初音源となる1stシングルです。

 

作詞・作曲のクレジットはぶえ名義。

誰がイニシアティブをとっているかは現時点では不明ですが、ナンセンスさに磨きがかかった歌詞は、MAMIRETAから地続きだと言っても良さそうですね。

ダークで不気味、という捉え方もできれば、ふざけていてコミック的、とも捉えられる。

兎にも角にもインパクトは絶大で、ヴィジュアル系というシーンにおいては重要なファクターである"異質さ"が彼らの大きな特徴となっているのは、少し聴いただけでも理解できるでしょう。

 

表題曲である「張り付く麗子」は、カオティックな構成。

一応、サビのようなパートはあるものの、そこを引き立たせる意図はあまりなく、強いフレーズをいくつも重ねてぐちゃぐちゃに塗りつぶしていくようなアプローチ。

なんなら、「ultra soul」のパロディ的なギミックを強烈に耳に残すことで、サビをいかに隠すかというチャレンジをしているのでは、という天邪鬼っぷりを感じずにはいられません。

 

「嘔吐、応答せよ」、「4秒後無駄死に」というカップリング曲も、方向性を大きく変えることはなく。

ヘヴィーなサウンドでガツガツと攻め立て、激しく搔きまわしつつ、やはり歌詞は人を喰ったようなシュールさがありますね。

どちらも駄洒落的な要素があり、タイトルから内容を組み立てたということなのか。

真面目な考察をするのもバカバカしい一方、それでも深読みできるのではないか、という期待感もあるのがズルいところで、気が付くとどんどん引き込まれているのですよ。

 

なお、CDについては、ライブ会場を除けば自主版倶楽部のみでのリリース。

特典CDには、"僕たちは無能"という台詞をサンプリングしたテクノ風のSE「宝物」が収録されているので、現物派ならずとも、CDで欲しくなるというもの。

どうしてこれに「宝物」とネーミングしたのだろう、と気になってしまうのも計算のうちなのかな。

 

名作となるか、迷作となるか、ギリギリを攻める新進気鋭のセンスが光る。

台風の目となり得るバンドが、ここにひとつ誕生しました。