【本音】/唯
1. テンプレヱトデイズ
2.Ray
3.sweet pea
4.不揃いな仮面
5.夜明け
6.イブ
7.akane
umbrellaのVo&Gt.唯さんによるソロ二作目となるミニアルバム。
前作【独創】と同様に、完全セルフプロデュースで制作された本作。
ただし、【独創】がLOKI時代のセルフカヴァー作的な意味合いが強かったのに対し、本作はシンガーソングライター・唯として紡がれた楽曲が詰め込まれており、ある種、デビュー作的な側面もあると言えるでしょう。
メロディの良さと、歌詞のストーリー性。
純朴に歌の力を信じて、丁寧にレコーディングされたのであろう全7曲が、とにかく胸に沁みるのです。
まず、やわらかさのある歌声と、涙腺を刺激する旋律に耳を奪われる。
感覚的に、これは名盤だぞ、と。
そして、もっと深く世界観に入り込みたいな、とブックレットを開くと、またひとつ驚かされた。
読ませるのではなく、インスピレーションに直接訴える散りばめられた言葉たち。
純粋さの裏に潜んだ天邪鬼っぷりがスパイスとなり、絶妙なバランスを構成していますね。
一方で、ギミックとしては面白いけれど、没入できないじゃないか、という意見も出てきそうなところですが、各楽曲とリンクした小説まで掲載されていて、むしろ深みを与える先回り。
あらゆる感性から【本音】の世界観を表現しているのです。
これは「大人を知る」ストーリー。
大人の象徴としてコーヒーが上手く使われていて、主人公が憧れや挫折を経験して成長する姿が、哀愁たっぷりの演奏の中に凛と浮かび上がっていました。
五感で味わうコンセプト作品。
会場限定シングルとして発表されていた「akane」も、こういう人生の上に成り立つ楽曲だったのか、と認識することで、新たな表情を見せていたのでは。
<過去の唯に関するレビュー>