死場所 -shinibasho-/ミスイ
1. 落下点
2. タメライキズ
3. 地獄行き
4. バカ
5. 早摘みの微香
6. 呼吸
7. 汞
8. 低反発ドリーマー
9. 「限界です」
10. 日陰に咲く花
11. 空白
"弱"をコンセプトに活動するミスイにとって初のフルアルバム。
ex-MoNoLithのVo.柳さんと、ex-A＆DのDr.LANA-ラナ-さんを中心に、令和元年に結成。
ex-IGGYのGt.天音さん、ex-HOLYCLOCKのGt.湊人さん、ex-パノラマ虚構ゼノンのBa.Tetsuyaさんがメンバーとして名を連ね、仙台と大阪のハイブリット的なメンバー編成となりました。
本作は、先行して発表されていたシングル「バカ」、「呼吸」、「汞」を含む、全11曲を収録。
シングル３曲と、リードトラック「地獄行き」のMVがパッケージされたDVDとの２枚組の仕様となっています。
衝動性を詰め込んだ1stアルバム。
SE「落下点」に続くのが、勢いのある「地獄行き」ではなく、ダークなミディアムチューン「タメライキズ」であるのが、実は大きなポイントなのではないかと。
セオリー通りにぶち抜きたい気持ちがなかったわけでもないと思うのですが、あえてディープに世界観を構築。
及第点は稼ぐけれど、ベタすぎて印象に残りにくい無味無臭なその他大勢に成り下がってしまうことを避け、リスナーの記憶に引っかかる異質さを生み出していますね。
そのうえで、テンションのある攻撃性とメロディの良さを包含した「地獄行き」、ソリッドな演奏がタイトル以上のインパクトを創出していた「バカ」と、出し惜しみせずにキラーチューンを立て続けに放り込む強かさ。
中盤に挿入していたら埋もれてしまういそうな「タメライキズ」が、こうも重要な役割を担うのかと、その考え抜かれた選曲に驚かされないわけがありません。
「呼吸」、「汞」と、再びシングルを固める折り返しからの構成も上手い。
曲数的には、確かに半分を消化した形なのだが、やはり「タメライキズ」を最初に入れたことが奏功し、体感としては、アクセントとなる「早摘みの微香」を挟んだのみ。
テンションの高さはキープしているのですよ。
衝動的な勢いのまま後半戦に突入し、アルバム曲としては溜めていた感のあるダークなハードチューンをここで大放出。
ラストの「空白」についても、歌モノを持ってきてもスピード感を削がないタイミングとしてここに入れているのでは、と邪推したくなるところで、新たな名盤アルバムのフォーマットを発見したといっても良さそうです。
キャリアに裏付けられたクオリティの高さ。
やや癖のある柳さんのヴォーカリゼーションが刺さるようなら、今後の活動への期待も高まる１枚でしょう。