想いの果てに… / Der Himmel | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

想いの果てに…/Der Himmel

 

1. 想いの果てに…

2. 俺舞会

3. 中毒症状

 

新潟バンド、Der Himmelが2012年にリリースした1stシングル。

2014年にDERHIMMELとして再始動するも、メンバーの脱退により、実態的には活動がない状態のようですね。

 

シンプルなフォントからもわかるとおり、自主制作感が満載。

楽曲構成については、こだわりを詰めすぎたのか無駄が多い反面、サウンド的には物足りない部分も多く、お世辞にも買いとは言えないクオリティです。

 

表題曲である「想いの果てに…」や、3曲目に収録された「中毒症状」は、王道的な疾走チューン。

ドラマティックにしようとしすぎて、どちらも間奏でダレてしまうのは惜しいところでしょうか。

ギターソロのフレーズも、コード進行にハマっておらず、怪しいところがちらほら。

勢いで突っ走る部分は悪くないだけに、もう少し整理したかったところです。

良くも悪くも、特にインパクトを放っているのが、ハードさを強調する「俺舞会」。

突拍子もなく入ってくるファルセットに、下水道ヴォイスに挑戦したのか、不思議な発声。

ダークな曲調に対して、中学生が書きなぐったような世界観が微妙に重ならない歌詞も含めて、ジャリバン愛好家にはたまらないツッコミどころが多いのですよ。

 

ただし、これも、バンドキッズなら誰しもが通る道。

誤魔化すやり方もあっただろうに、オリジナリティを重視して自爆している点も含めて、そんな若さがたまりません。

スタジオで録音した自分のバンドの楽曲を、家で再生して聴くあの感覚。

やりたいことはひしひしと伝わってくるけれど、技術が色々と追い付いていないもどかしさ。

この過渡期のタイミングでドロップされてしまった音源ということで、非常にマニア受けしそうなのですよ。

流通量的に入手難易度は相当に高いものの、あえてアーカイブを残しておきたい1枚です。