SELENES... / SUTH:VICIOUS | 安眠妨害水族館

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SELENES.../SUTH:VICIOUS

 

1. Tears Falling

2. DELIGHT

3. 21番目の黒い音

4. FOREVER

5. SELENE

 

1998年に発表された、SUTH:VICIOUSのミニアルバム。

 

後にFacizm、Philiaなどに在籍するVo.ToshiAさんが、実質的にキャリアをスタートさせたバンド、SUTH:VICIOUS。

本作は、メジャー流通でリリースされた、彼らにとって最初で最後のアルバム作品となります。

華やかさを纏ったビートロックは、ソフトヴィジュアル系の源流的とも言えるのかな。

内容としては、デモテープに収録されていた楽曲のリテイクが中心となっており、総決算的な仕上がりでした。

 

武器となっているのは、ToshiAさんの低音に響くハスキーな歌声。

艶っぽさと硬派さが共存していますね。

アコースティック調のサウンドで、ワンコーラスだけで構成されたショートチューン「Tears Falling」を導入に、勢いよく疾走する「DELIGHT」に繋げていく展開は、その静と動の両極端。

インパクトを放って滑り出すと、「21番目の黒い音」では、サックスを取り入れての意外性のあるアプローチが飛び出して、タイトルからダークな楽曲を想像していた分、大人びたミディアムナンバーに驚かされることになります。

 

アルバム構成としては、バランス重視でしょうか。

ガシガシと楽器隊の主張がぶつかる「DELIGHT」や「FOREVER」で男らしさを強調すると、「SELENE」では彼ら流のポップさを表現。

この辺りが代表曲だったのだろうな、というのが一度聴けば理解できるキラーチューンも揃っており、楽曲の粒は大きかったのかと。

ただし、彼らの場合は、バラエティ性を広げるよりも、ストレートなロックチューンで固めたほうがニーズに合っていた気もします。

疾走ビートロックとの相性が良すぎるだけに、歌モノにおけるメロディの弱さが目立ってしまう。

もう少し勢いに振り切ってみるか、曲数を増やしてスピード感のある楽曲の割合を増やしていれば、もうワンノッチ評価が高まったのでは。