GRAPPLE THE WORLD / ALICE IN MENSWEAR | 安眠妨害水族館

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GRAPPLE THE WORLD/ALICE IN MENSWEAR

 

1. ワルプルギスの夜

2. EXCORE

3. TRANSITION

4. 女神

5. THE WORLD IS YOURS

6. ラプラスの針

7. GRAPPLER

8. アビエイターズ -飛行少年A to Z-

9. アンドレス

10. 遥カナ航跡

 

 

Vo.michi.とGt.KOJIによるユニット、ALICE IN MENSWEARの2ndフルアルバム。

 

2021年9月、各種配信サービスにてデジタルリリースされ、10月にはオフィシャル通販にてCDの販売も開始。

CD盤には特典として、ジャケットデザインのメタリックステッカー と、フォトカードが付属しています。

"不思議の国のアリス"と、"スチームパンク"をコンセプトに始動した彼ら。

コロナ禍やKOJIさんの療養の影響で、2年のインターバルを経てのリリースとなりましたが、構想はだいぶ前から練られていたようで、1stアルバム「Wonderland For The Lost Children」と地続きの音楽性と言えるのではないでしょうか。

 

デジタルサウンドを多用し、無機質でメカニカルな世界観を構築。

そこに、KOJIさんによる異国情緒漂うギターのフレーズを絡ませ、彼ら流のファンタジーに仕立てた個性的な音楽性。

色気を滲ませて艶やかに歌い上げるmichi.さんも、ときには荒々しく、ときには繊細に、異質な世界の語り部にふさわしい表現力を見せつけていて、ありそうでなかったヴィジュアル・スチームパンクをすっかり定義づけてしまいました。

キャリアに裏付けられた実力と、新しい音楽に挑戦する意欲のたまもの。

ライブで楽曲を育てた部分もあって、バラエティ性に富んでいる中で、ライブ感を維持しているのもポイントですね。

かっちりと作り込まれた世界において、ふとした瞬間に垣間見える生々しさが、グッと引き込まれる味わい深さになっています。

 

ふたりが在籍していたMASCHERAと、La'cryma Christi。

どちらのファンが聴いても、あの頃の香りを感じ取れるエッセンスを塗しつつ、そこから先、ALICE IN MENSWEARの音楽として昇華していくセンスはさすが。

リードトラックである「アンドレス」が9曲目に挿入されるのは、セオリーからすれば意外な気がするものの、アルバムを通して聴けば、盛り上がりのピークにキラーチューンを持ってくるという意図が見えてきますよ。

独特なノリの「TRANSITION」や、ドラマティックに展開しながらダンサブルに開けていく「ラプラスの針」など佳曲も多く、前作同様、必聴盤。

時代感に因らず、幅広いV系リスナーに刺さりそうな1枚です。

 

<過去のALICE IN MENSWEARに関するレビュー>

Wonderland For The Lost Children