明け方、空虚の先/diverse effect in Doppelgänger
1. 明け方、空虚の先
6ヶ月連続配信リリースの最終作となる、diverse effect in Doppelgängerによるデジタルシングル。
"デジタルラウド"に振り切った前作「ジャパニーズサバイブ デジタルエンドロール」から、また異なるベクトルでの楽曲を展開。
やってくる今日への期待を込めたロックバラードを、シリーズ最終章として送り込んできました。
薄暗い空に朝日が差し込むジャケットの写真が、実に象徴的。
序盤は、明け方のぼやけた光を音楽で表現したような、ドリーミーな音像で。
徐々にバンドサウンドがはっきりとした輪郭を描き出すと、街が動き出したな、という感覚とシンクロしていきます。
ポイントとしては、バンドサウンドに移行してからも幻想的なアルペジオを重ねて、ほんのり夢見心地を残していること。
深夜の街をあてもなく彷徨って、遂に迎えてしまった夜明けなのか、眠れずに早起きをしすぎて、ぼんやり見上げた朝日なのか。
状況については色々と想像できるものの、現実感を示すドラムの重低音と、非現実的な余韻を残すギターのリフが、思考が質量を伴って頭の中を重くしていく寝不足の朝のあの感覚を再現しているように思えるのですよ。
言葉を畳み掛けるサビのメロディから、終盤の語りに繋がっていくあたりも、若い頃に何度も体験した、明け方特有の感傷を想起させる。
どこまでが計算なのかはわかりませんが、絶妙な構成になっているなと。
夜の延長という意味合いでの明け方。
朝をテーマにしていながら、素直に爽やかだと言えないのが面白いですね。
連続リリースの締めくくりにふさわしい、deDが送るメッセージソング。
この切り口には驚かされました。
<過去のdiverse effect in Doppelgängerに関するレビュー>