ブリキの廻転琴/モル・ノヲド
1. 未成年~蛹とモザイク~
2. 気まぐれ少女
3. 実は意外とデリカシィ
4. 激痛アーモンド
5. Radical Faction
2004年にリリースされた、モル・ノヲドの2ndミニアルバム。
NOISY CROWDSやNOi'Xのヴォーカリストとして知られる詩那さんを中心に結成。
昭和レトロな世界観を武器に、2003年~2006年の期間に活動していました。
音楽性としては、歌謡メロディと、ヘヴィーなサウンドを掛け合わせたハイブリッド。
トータル的には、当時のシーンの流行に沿って、哀愁系バンドの様式を踏襲しているのですが、要所要所で本領発揮と言わんばかりにヴィジュアル系の源流的な要素を落とし込んでいて、バンドの個性へと昇華しています。
重苦しいサウンドにより、ラウドナンバーとして仕立てられた「未成年~蛹とモザイク~」からのスタートは、意外性抜群。
ドロドロと不気味に進行するスタイルは、どこか名古屋系をも彷彿とさせますね。
意表を突いて1曲目から一歩踏み込んだ感を出すと、ジャジーなアレンジで大人の雰囲気を醸し出す「気まぐれ少女」、歌謡曲的なフレーズをビートロックに持ち込んだような「実は意外とデリカシィ」と、彼らにとっての王道を展開。
双方の良さの引き立て合うギャップを生み出しており、インパクトを出しつつバラエティ性もアピールしていました。
淡々とした展開が切なさを助長するメロディアスチューン、「激痛アーモンド」から、遊び心を見せつつ、ハードに攻めるラストナンバー「Radical Faction」へ繋ぐ終盤は、あえて懐かしいフレーズを織り込んでいるようで、たとえそれがセオリー通りの展開であってもテンションが上がってしまう。
詩那さんの歌唱スタイルも、シーンに寄せていくのではなく、経験から得たものを素直に吐き出している印象で、ここにきて生き生きしてきたな、と音源を聴いていても感じますよ。
ちなみに、タイトルは"ブリキのオルゴヲル"と読むのだとか。
隠れファンが多いのも頷ける1枚。