景色/叶う…
1. 序曲
2. 景色
3. 風に舞う花弁
神戸を拠点に活動していた叶う…の1stシングル。
1999年に結成され、2002年に解散。
その間にリリースしたシングル「景色」は入手困難となっていましたが、2021年、前触れなくデジタルシングルとして復刻。
各種、サブスクリプションサービスでも聴くことができるようになりました。
Twitterにも公式アカウントが登場し、今後、どのような動きを見せていくのかにも注目が集まりますね。
1曲目の「序曲」は、バンドサウンドによるインストナンバー。
荒々しく幕を開けると、9分弱の長尺ナンバー「景色」へと移っていきます。
導入にインスト曲を持って来たことを踏まえれば、盛り上がってきたところで、またしっとりとしたピアノの導入から仕切り直しになってしまうのは、もったいないと思わないでもない。
ただし、"長い"というインパクトを出したかったのは理解できるでしょう。
基本線としてはメタリックな疾走チューンであるにも関わらず、思いつくことを全部詰め込んだようなギミック盛り盛り感が、なんとも言えない味わいを生み出しているのですよ。
歌唱力にしても、演奏力にしても、決してクオリティが高いとは言えないのだけれど、洗練させる間も惜しいと言わんばかりにアイディアを出し惜しみしない全力っぷりは気持ちが良いものです。
「風に舞う花弁」は、ギターのアルペジオからスタートするポップロック。
こちらも演奏のまとまりとしてはもの足りない部分が目立ってしまうのだが、割り切ってキャッチーなメロディを仕上げているので、むしろ若々しさの演出として効いている印象でした。
高音が苦しそうなヴォーカルパートも含めて、"あの頃"の面影はよく表現できているのかと。
総括として、まさか現代において彼らのサウンドを耳にすることができるとは。
良くも悪くも、最も強烈な印象を残すのは"叶う…"という独特なバンド名なのですが、それだけに気になっていたリスナーも多いはず。
手を伸ばすハードルが低くなったことは、素直に喜んでおきたいものです。