iNTERFACE/MASCHERA
1. iNTERFACE
2. Reality for Realism
3. [ékou]
4. HYPERDELIC AGE
5. 超絶の嬰児~beat of ignorance~
6. Faithless face
7. MESS-AGE
8. powder
9. ラストフォトグラフ
10. Still Love You
11. 乱夢
12. ゆらり
MASCHERAが1998年にリリースしたメジャー1stアルバム。
デビュー後に発表した4枚のシングルもしっかり収録されています。
Vo.MICHIさんの艶やかな歌声と、キレのあるギター。
それにデジタルな質感を加えつつ、有機的なリズムと融合させたハイブリットサウンド。
セールス的にも一定の結果を出した本作は、ハードさとキャッチーさを兼ね備えた、V系デジロックのひとつの完成形とも言えるでしょう。
さて、本作のリリース時、ふたつの衝撃がリスナーを襲いました。
ひとつは、インディーズ時代の武器であった、文学的でデカダンな世界観が薄れ、主に恋愛模様をテーマにした大衆向けのアプローチがとられていたこと。
良くも悪くも、V系バブルの恩恵を受ける形となった彼ら。
まず前提として、新人バンドとしては異例とも言えるテレビやラジオでの露出や、ドラマのタイアップなど、事務所の"売る気"が半端なかったのですよね。
実際、シングル「ラストフォトグラフ」のスマッシュヒットをはじめ結果も出し、本作もオリコン初登場20位と、まずまずな滑り出し。
ここまで"大人"の影をチラつかされると、一般論としては、ポップに、キャッチーに、音楽性が捻じ曲げられたという穿った見方をしてしまう部分もあったでしょう。
一方で、1曲目かつ表題曲という重要なポジションに、「iNTERFACE」というマニアックさを追求した楽曲を配置する挑戦的な構成。
「Reality for Realism」、「乱夢」が象徴するように、V系の王道は外さない、疾走感や切ないメロディを意識したサウンドワーク。
更には、「HYPERDELIC AGE」、「超絶の嬰児」といった、言葉遊びから発生させて難解なストーリーに結び付けようとする文学的なセンスなど、ここは譲れないというポイント部分で、変わらない武器、攻めていく姿勢を表現。
MASCHERAとしての矜持を持つ続け、"メジャー進出による変化=改悪"であるという認識の定着を阻止しています。
もちろん、それでも音楽性やスタンスが変われば、手を尽くしたとしても賛否両論が巻き起こるのですけれど、リリースから時間が経つにつれ、肯定派にゆっくりと傾いてきたという流れは、フラットに評価される土壌がようやく整ってきたということなのでは。
メジャー感とインディーズ感、双方を上手く活かして完成させた代表作。
2ndアルバム「orb」にて、反動のようにマニアックさ、ダークさを強めた楽曲が中心になったことを踏まえれば、本作のキャッチーさは、必ずしもメンバー全員が納得していたわけではないのかもしれませんが、そのギリギリのラインを探ったことが奏功。
当時の彼らにおける最適解を導き出したのだな、と感慨深くなる1枚です。
<過去のMASCHERAに関するレビュー>
orb