媚薬~VI・YA・KU~/SHADooW
1. Keep On Dancing
2. 砂の記憶
3. M.I.D.A.R.A
4. Curriculum Sissy
5. BALANCE SHEET
6. Too Young
1993年にリリースされたSHAD∞Wのミニアルバム。
バンドロゴを踏まえるとSHAD∞Wが正当なのかと思われますが、特殊文字の問題かSHADooWという表記も使われています。
1989年に大阪で結成された彼ら。
解散後は、Vo.涼さん、Ba.CHU-RYさん、Dr.イチロオさんはINSPIRAL GARDENを結成し、メジャーデビュー。
Gt.HIROさんは、初代Ba.SHOWさんとHYPERM∀NIAに活動の場を移し、その後、D≒SIREにも参加することでも知られています。
黎明期のバンドにはよく見られますが、作詞・作曲のクレジットは本名名義であり、全曲の作詞と「Keep On Dancing」の作曲は、涼さんが池田涼として、残りの楽曲は、HIROさんが三木浩之.として作曲を担当していました。
音楽性としては、ビートロック由来の耽美ロック。
ときにグラマラスに、ときにサイバーに味付けをしながら、シンプルなロックンロールでは終わらせない癖を作っていきます。
特に上モノの使い方が絶妙で、ギターの艶めかしいリフが様式美を演出。
歌謡曲要素を多く含み、ポップさも目立つ中で、硬派な印象を与えていますね。
王道的な「M.I.D.A.R.A」が、とりわけキラーチューン。
疾走感のあるリズムに、ライブでオーディエンスが声を張り上げるのが目に浮かぶイントロのコーラスワークのコンビネーションは、わかっていてもたまらない高揚感があるのですよ。
メロディアスなサビの切なさ、透明感のあるギターが作り出す幻想的な世界観も相まって、四半世紀以上経っても変わることのないヴィジュアル系の真髄を感じさせてくれます。
もっとも、アートワークや歌詞には、さすがに古臭さを感じるでしょう。
「Curriculum Sissy」のようなハネたリズムのポップチューンだと、楽曲面でも普遍性より懐かしさが先立つ面も否めません。
ただし、不思議とサウンド面で時代を感じないのは、黎明期の音源を遡って聴くうえでの強み。
重低音の音圧や情報量等、現代的なサウンドとは大きく異なるものの、音質そのものにあまり劣化を感じないのです。
この聴きやすさ、ストレスの少なさは、懐古主義的なリスナーでなくとも嬉しいのでは。
源流として語られる機会は少ないのかもしれないが、コアなファンを未だに抱えるSHAD∞W。
この編成のままメジャーデビューしていたらどうなっていたのかな、と思わざるを得ない1枚です。