collection of LOVE INSANE/覇叉羅×WITH SEXY
覇叉羅
1. 氷の微笑
2. AUTISTIC SYNDROME
3. HIDE OUT
4. 加虐性精神分裂症
WITH SEXY
5. Deja vu
6. For Solitude
7. 水面華
8. MISTY
2015年に開催された限定復活ツーマン公演を記念した、覇叉羅とWITH SEXYのカップリングCD。
当初は会場限定で販売されたのみでしたが、後に通販でも購入することができました。
覇叉羅の収録曲は、1994年にリリースされたデモテープ「vajra」をCD化したもの。
リリース当時でも21年前、現在からは26年前の作品ということで、劣化させずに保存するのも困難な四半世紀前の音源。
これがCDに残るのだから、骨董品的な価値もあると言えるでしょう。
もともとひとつの作品をリマスタリングしているだけあって、構成はかなり意識されているのかと。
後にリテイクされるヴァージョンでは1分台のハードチューン、「氷の微笑」については、導入の位置づけもあり前半部にSEが追加。
合計で3分半に達しており、カップリングCDにおいては珍しい演出になっています。
それを皮切りに、ポップさが垣間見える「AUTISTIC SYNDROME」、硬派なロックサウンドを響かせる「HIDE OUT」、メタリックな激しさでドコドコ突き進む「加虐性精神分裂症 」と、流れやバランスを考慮しながら徐々に加速度を上げていく、まるでライブのセットリストのような展開に。
テンションの高まりがそのままパッケージされた人間味のあるドラムは、クリック音を前提にしたり、そもそも打ち込みだったりする昨今のバンドの正確性重視のスタイルとは異なるのだけれど、その掟破りな荒々しさが格好良いのですよ。
ちなみに、「AUTISTIC SYNDROME」と「HIDE OUT」について、ジャケット上では曲順が逆に記載されているのでご注意を。
WITH SEXYは、4本の配布CTから、1曲ずつをCD化しています。
それぞれ、1992年、1993年、1994年、1995年と、1年ごとの成長記録を聴いている感覚。
その間、メンバーチェンジもあり、演奏により彼らの軌跡を振り返るという側面もあったでしょうか。
もっとも古いものでは、覇叉羅のCTよりも更に昔、28年前の作品。
さすがにリマスタリングの前段階で音質が劣化していますが、これもまた骨董品的価値ということでご了承を。
覇叉羅とは対照的に、その都度、その都度のキラーチューンをぶち込んでいるのが彼ら。
いずれもマイナーコードで疾走するメロディアスナンバーに仕上げていて、多少の緩急の差はあれど、早い段階から音楽性が固まっていたことが伺えます。
流して聴くには、やや音質がまちまちなのは気になりますが、ブレていると感じることはないのですよね。
その意味では、後半に進むにつれて、楽曲の完成度が上がってくる印象。
「Deja vu」では、やはり演奏や歌唱の稚拙さが目立つのですが、「水面華」あたりで持ち直してきます。
最後まで垢抜けなさがあったヴォーカルも、ラストの「MISTY」では替えの効かない存在に。
これを成長と呼ばずして、何と呼ぼうか。
覇叉羅とは異なるアプローチを見せてきたWITH SEXYの魅せ方も、なかなか考えられたものでした。
人事的な交流も活発だった覇叉羅とWITH SEXY。
Gt.SINさん、Gt.鈴音さん、Gt.戒依さん、Ba.優牙さんと、両方に在籍していたメンバーが実に4人もいるのだから、カップリングCDを出すことになったのも必然だったのだろう。
そんな相互作用的な関係性でありながら、アウトプットの形が異なっているのが面白い。
デモテープをCD化したという資料的な意味合い以上のものを感じられる1枚です。