fresh dawn/NEARMISS
1. gbdsct
2. Boys on fire
3. Good taste honey(New mix)
4. Melted
5. Brand new heaven
6. a wake
7. Beatsville
8. All my kisses
9. Shooter case
10. Living pain on
11. Love to me(New mix)
12. beautiful alone
90年代後半から、2002年まで活動していたNEARMISS。
本作は、ビクターからのメジャーデビューを果たして、2枚目となるフルアルバムです。
帯のキャッチコピーに記載された"スペース・グラム・サウンド"が示すとおり、彼らが提示していたのは日本版のグラムロック。
ヴィジュアル系バブルの中でメジャー進出を果たしたバンドたちの中でも、ここまで直系のグラムに拘ったのは、彼らぐらいだったのでは。
歌詞こそ日本語も多く使われていますが、洋楽テイストを強く残しており、導入となるインストチューン「gbdsct」や、全編英詞の「Living pain on」をさらっと聴いただけでは、日本のバンドといった感覚はあまり受けないかもしれません。
良く言えば、本格派。
悪く言えば、日本で受けるためのマーケティングには興味がなかった様子。
1stアルバム「SOUL HONEY」の段階では意識していた歌謡曲的なメロディを乗せてのポップ化、キャッチー化、あるいはバブル期のV系バンドの醍醐味であった非現実的な世界観との融合といった作業は、彼らの美学では不要だったのかと思われます。
結果論としては、その点でセールスが伸びなかった側面は否めないのですが、だからといって、クオリティが低いバンドではなかったというのは、ここで言及しておきたいところ。
シーンの文脈やセオリーとはまったく外れたアルバム構成は、非常に斬新であったと言えるのです。
全体的にグルーヴ感が意識されていて、気怠さが漂うミディアムチューンを中心に展開。
幕の内弁当的な構成でバランスを取るバンドが多い中、音楽性やテンポ感の幅を狭めることでアルバムの統一感を生み出しており、対象とするリスナー層をピンポイントで刺しに来ているのですよ。
スペーシー、ノイジーなアプローチも要所要所で見られ、ただグラムロックを模倣するだけでなく、NEARMISSとして昇華しようとしていたのも好印象。
実験的な楽曲にも関わらず、ラストにもふさわしい「beautiful alone」の完成度には驚かされましたね。
Vo.YU-KIさんの声質も相まって、STRAY PIG VANGUARDあたりが好きな人は、親和性を持って聴くことができるかも。
特に、シングル「Love to me」に見られる横ノリと中毒性のあるメロディとの融合には、シンパシーを感じます。
ゼロ年代以降、V系シーンとしてはグラムロックの血筋が途絶えてしまった感があり、なかなか語られる機会がないのが惜しまれる。
90年代シーンにおける音楽スタイルの多様性を示唆する1枚です。