ベリアル / REIGN | 安眠妨害水族館

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ベリアル/REIGN

 

1. EXORCISM

2. SINGING in THE REIGN

3. エミリアの土曜日

4. VENOM

5. Pupa

6. 桜流し

7. Ghost labyrinth

8. defective scene

9. RISE

10. TONIGHT

 

 

ex-アンドのVo.郁磨さんを中心に、2013年に結成されたREIGN。

本作は、2018年にリリースされた2ndフルアルバムです。

 

バンドのコンセプトは、"悪魔的右ストレート"。

メンバーも悪魔という設定で活動しており、ラウドなサウンドを得意としつつも、シアトリカルな世界観も武器のひとつでした。

象徴的なのは、バンド名がタイトルに含まれている「SINGING in THE REIGN」。

SEを経て、実質的なトップバッターとして送り込まれたこの楽曲は、ゴリゴリとハードに攻め切るアグレッションと、ゴシックファンタジー色を彩るシンセのフレーズが融合していて、彼らに求めていたサウンドが満載でしたね。

 

世界観重視であれば、「エミリアの土曜日」や、「Ghost labyrinth」あたりが、悪魔的な雰囲気がよく出ているのではないかと。

サビではキャッチーに、というお約束に逃げるのではなく、サビまで含めてホラーやファンタジーのテイストを持ち込むべく徹底しています。

通常盤にのみ収録された「defective scene」についても、ヴォーカルラインは切なくメロディアスな一方、アレンジ面で不気味さを醸しており、独自性を高めていました。

 

そう思えば、ライブ感重視の楽曲も合間合間に挿入して、アルバムとしてのバランスを確保。

「VENOM」でカオティックなハードさで攻めながら、サビだけはメロディアスという王道的なスタイルを見せると、パンキッシュに声を張り上げる「RISE」、ストレートなビートロックチューン「TONIGHT」など、エッセンスとしてコンセプトを噛み砕きながら、スタイリッシュに仕立てているのもセンスが良い。

なお、「RISE」と「TONIGHT」の間にボーナストラックが挿入されており、これも潔さを感じる最速のアッパーチューン。

寸劇も入っているので、流れがスムースとは言えませんが、終盤を盛り上げようとする意図は感じます。

 

その集大成的なのは、MVも作成された「Pupa」でしょう。

ラウドな要素と、シアトリカルな要素が混在していて、シングル的なキャッチーさも持ち合わせる。

ヴィジュアル面がスタイリッシュ寄りだったせいか、あまり世界観重視のパブリックイメージを持たれていなかった印象ですが、案外、こういうのが得意なバンドだっただけに、もっと広く周知されてほしかったな、と今更ながら思ってしまいますよ。

 

残念ながら、2020年5月をもって解散。

始動から約6年半のREIGNの活動は終わりを告げてしまいました。

結果的にラストアルバムとなったものの、十分に集大成と言える1枚。