日暮れ/夜明け / 姫宮梨太郎 | 安眠妨害水族館

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日暮れ/夜明け/姫宮梨太郎

 

1. 日暮れ

2. 夜明け

3. 日暮れ (Acoustic)

4. 夜明け (Acoustic)

5. 日暮れ (Instrumental)

6. 夜明け (Instrumental)

 

 

乙女向け『2.2次元』プロジェクト「生きるの、たいへん。」の劇中歌。

赫春やひととなり等で活動中である、ex-マイナス人生オーケストラのVo.H∧Lさんが楽曲制作を担当しています。

 

無料配信されるボイスドラマとSNSが連動することで、2次元がちょっとだけ現実にはみ出すという狙いを持ったプロジェクト。

本作は、主人公である姫宮梨太郎のデビュー曲という設定で、作中のストーリーの進展と合わせて実際にリリースされたデジタルシングルとなります。

 

ボイスドラマでは新山有輝さんがCVを担当していますが、楽曲においてヴォーカルはH∧Lさん自らが務める形。

ギターには、盟友であるJin-MachineのGt.マジョリカ・マジョルカ・マジカル☆ひもりさんが参加しており、楽曲提供という位置づけにはなるものの、実質的にH∧Lさんの新曲として捉えることもできそうですね。

 

「日暮れ」は、どこかメルヘンチックなアレンジが特徴のミディアムバラード。

ポップで聴きやすい構成に仕立てつつ、メロディの節々にH∧Lさんらしさが垣間見える、儚さやナイーヴさを纏った楽曲となっています。

歌詞についても、主人公が10代の頃に作曲した、という設定上のバックボーンも相まって、未来に対するぼんやりとした不安、世の中にある不条理、他者との関係性の中で感じる孤独や孤立を表現する得意分野のど真ん中。

アレンジ面で寄せた部分はあるにせよ、本質的な作風としては譲っていないな、という感覚です。

 

「夜明け」は、Maoさんが奏でるピアノと、H∧Lさんのヴォーカルのみでスタートする歌モノナンバー。

リズムは打ち込みが多用されているものの、イメージとしてはバンド演奏が加わって、徐々に盛り上がっていく展開と言えるでしょう。

「日暮れ」と同様に、メルヘンチックでドリーミーなアレンジとなっており、ピアノが加わったことで、お洒落な雰囲気も強まった。

プロジェクトの総括、エンディングと捉えると切なくも優しい楽曲である一方、主人公の遺作という意味合いもあり、残されたヒロインが聴く楽曲と捉えると、その優しさが残酷に思えてくるという二段構え。

これはこれで、H∧Lさんらしさを感じる仕掛けでした。

 

2曲のみのシングルではありますが、アコースティックヴァージョン、インストヴァージョンも収録されており、相応に充実感はあり。

ボイスドラマで追体験をしなくとも、オフィシャルのあらすじだけである程度設定や結末は理解できるので、楽曲目当てで購入しても満足はできるかと。

特に、アコースティックヴァージョンでは、シンプルにメロディセンスを堪能できるため、単なるキャラもの音源として捉えてしまうのももったいない気がします。