Melancholy box/ピノキオ
1. Melancholy box
2. カオスリロン
3. ハロウホロウ
4. トリカゴ
5. 流星リリカル
6. ツメタイセカイ
7. 黒猫シェリー
8. Tears blurred my shadow
9. エンジェルコール
ex-ClearVeil、ex-カラットのGt.雨宮流斗さんによるソロプロジェクト、ピノキオの1stフルアルバム。
ねじ。名義でのボカロPとしての活動や、YouTube等での楽曲配信にファッションブランドの立ち上げ等、マルチな活躍を見せている彼。
ピノキオでは、作詞、作曲、ギターに加え、ヴォーカルも自ら担当しています。
本作は、2016年に発表されたもの。
全9曲のCDにDVDが付属する初回限定盤と、ボーナストラックが追加されたCDのみの通常盤、2種類でのリリースとなりました。
メランコリックで喪失感が漂う歌詞世界と、ほんのりとメルヘンチックな香りが漂うサウンドワーク。
言葉の選び方も含めて、エッセンス的には、Plastic Treeなどからの影響を感じさせる要素があるでしょうか。
一方で、リードトラックとなる「カオスリロン」であったり、本作中でもっともスピード感のある「黒猫シェリー」であったり、流斗さんらしいレトロなフレーズをV系シーンに馴染ませるアプローチで攻める楽曲もしっかり収録。
ソロプロジェクトとしてルーツに迫るファクターと、カラット等の面影を残して集大成的に仕上げたファクターの両方を持っているので、結果的にバリエーションの広さを示した形ですね。
正直なところ、バンド時代と比べてヴィジュアル面での垢抜けなさが目立つため、サウンドプロダクションとしても、もっとぼやけたものを想像していたのですが、良いとは言えずとも及第点。
音圧が少し足りないと感じはするものの、なかなかどうしてヴォーカルにも味わいがあり、この音楽性であればネックになることはないでしょう。
課題としては、作品全体でどこをピークにしたいのか定め切れておらず、盛り上がりに欠けてしまうところ。
単発的には佳曲が揃っているだけに、強みをどこに持ってくるのか、どこでインパクトを与えるのか、多少打算的なあざとさを忍ばせていてもいいような気がします。
もっとも、それ以降の活動が見えてこない現状において、本作自体が単発的な楽曲集という見方も出来なくはないのですけれど。