illuminate/Magromance
1. illuminate
2. D.F.Inferno
ex-Chikloのメンバーを中心に結成されたMagromance。
本作は、2013年にリリースされた1stシングルです。
結成にあたり、Chiklo時代はギタリストだったMagia.Fさんがベーシストに転向。
そこにVo.sinさんが加わった形ですね。
立て付け上はガールズバンドとなるのでしょうが、前身バンドの頃から継続されていた名古屋系要素が強く打ち出されているため、やはり"ヴィジュアル系バンド"然としているというか。
この手のサウンドを、女声ヴォーカルで聴くことができるというのは、ある種の新鮮さを感じることができました。
「illuminate」は、彼女たちの代表曲だったナンバー。
ギターのアルペジオとヴォーカルのみ、というシンプルな出だしから、バンドサウンドでのイントロに入っていくと、陰鬱な雰囲気を醸し出しつつ、アニソン的なキャッチーさも取り入れて、なかなかのキラーチューンに仕上がっています。
生音だけで構成されているため、ギターソロの際にやや音が足りない印象はありますが、キメが多くて一筋縄でいかないリズムと、インパクトあるフレーズにもチャレンジしながら世界観を紡ぐギターのアンサンブルには、試行錯誤の痕跡が見られ、Magromanceなりの初期衝動の塊と言えるのかもしれません。
カップリングの「D.F.Inferno」は、スローテンポで展開されるロックバラード。
デカダンな空気を纏い、ドラムとベースは淡々とリズムキープに徹しているのだけれど、ギターに表情を持たせることで、ダレてしまうリスクを軽減しています。
あえてわかりやすいメロディを乗せるのではなく、じわじわと、淡々と。
爆発的にリスナーを増やす楽曲ではないものの、安易に売れ線に走らず、コアなファンからの信頼度を高めるというアプローチに成功しており、会場限定でリリースされた初音源として、実はこれほどまでにぴったりな作品はなかったのでは。
音質は、そこまで良くはなく。
一発録りかどうかまでは特定できませんが、スタジオライブの同録のようなサウンドバランスです。
ただし、規模を踏まえれば、音源を残してくれているだけでもありがたい話。
ライブ感があるとして捉えておきましょう。
なお、Magromanceは2015年に一時活動休止。
その後、第二期メンバーにて活動を再開しますが、波に乗れず2017年に解散に至りました。
結果として作品の入手は困難となっており、そこがもったいないところ。
ダークでマニアック、ニッチなニーズを満たしてくれそうな1枚です。