Believe in style/bis
Believe in style
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1. 深呼吸
2. S・S・I
3. DAYS (Album Mix)
4. 優しい風
5. 掌
6. Black Cherry
7. SEASONS (Album Mix)
8. ヒカリ
9. Start (Album Mix)
10. WHAT 1/6?
bisが2007年にリリースした1stフルアルバム。
頭文字をとってバンド名に採用した「Believe in style」というフレーズを、タイトルに冠しての作品です。
"フリースタイルロック"を提唱していた彼ら。
結成当初は、コンポーザーであるBa.瞬介さんの楽曲と、Vo.まるさんの歌唱スタイルが噛み合わず、リスナーが求めるサウンドとバンドとして目指すサウンドとのギャップに苦しんでいた印象でしたが、ここまでくれば吹っ切れた様子。
bisらしさを明確に押し出すために、一度完成しかけたものを、楽曲制作の段階から作り直したというエピソードが物語っているとおり、バンド自身と向き合ったアルバムであると言えるのです。
音楽性としては、ラップパートも多く含んだV系ミクスチャー。
後にシーンの主流になるラウド由来のそれではなく、パーティーロック的な要素が強いのが特徴ですかね。
歌詞も、メッセージ性を重視しており、非現実的な世界観を創出するよりも、等身大の言葉をぶつけるスタイルでした。
今となっては、ラップであったり、パーティーロックであったり、"陽"のイメージがある音楽性が定着してきた感もありますが、10年以上前のシーンにおいては、ここまでラフなロックは受け入れられにくかったのも事実。
彼らにしても、瞬介さんがex-ElDorado、Dr.Seikaさんがex-雀羅と、王道なバンド、ダークなバンドの出身だったこともあり、これを認めさせるためのハードルは相応に高いもので。
結果としては、それを飛び越えきれず、となってしまうのでしょうが、bisが蒔いた種は、しっかり後世に継承されている。
直接的な影響は与えていなくても、彼らの試行錯誤が、その後のV系ミクスチャーバンドの道標となっているのは、ミニアルバム4枚を経て、この作品に辿り着いたという奇跡を辿れば理解できるでしょう。
シングルからは5曲が収録。
半ベストといった側面はあるも、必要に応じてリミックスを施すなど、アルバムとして馴染むように工夫しており、流れとしても悪くない。
むしろ、ラフさ、自由さを体現する「深呼吸」でスタートしてから、「S・S・I」、「DAYS」、「優しい風」と、序盤の流れを作る良い仕事をしているのはシングル曲だったりするのだよな。
アルバムに入ると、垢抜けて聴こえるのは何故なんだろう、とすら思ってしまうほどです。
シーンの成熟は、もう少し早かったら。
あるいは、彼らの登場が、もう少し遅かったら。
土壌が出来上がったシーンで勝負できていれば、と思うともったいない気がしてしまいますな。
<過去のbisに関するレビュー>