悲哀ト懺悔/La'veil MizeriA x Crucifixion
1. 哀玩人形 feat.祈狂
2. deep[SLAY] feat.二人静
2016年5月8日、東高円寺二万電圧にて開催されたツーマンライブにて発売されたカップリングデモテープ。
49本限定でのリリースでした。
La'veil MizeriAとCrucifixionが、お互いの楽曲をカヴァー。
どちらも、90年代後半のコテコテ系を踏襲する音楽性を武器としているバンドですから、このご時世にカセットテープという媒体での発表というのも拘りが伺えます。
La'veil MizeriAのVo.祈狂さんによって再現されるのは、「哀玩人形」。
当時、"飛び曲"と言われていた、現代シーンで言うところの暴れ曲ですね。
ノイズ音からスタートして、ツタツタと走るドラムに、細かく刻むギターとベース。
メロディ部分には、呻き声、笑い声、悲鳴などを重ねてカオティックな演出とするお約束的な構成です。
歌らしい歌のパートが少ないので、どう個性を出していくかに注目していたのですが、発狂シャウトで煽り続ける展開でストレートに勝負に出たところは評価したいところでしょう。
CrucifixionのVo.二人静さんとのコラボレーションとなったのは、「deep[SLAY]」。
シンセ多用のイントロから、攻撃性の高い演奏が続きます。
こちらも、メロディよりも勢いを重視して、煽りパートを挟む余地も作った飛び曲。
とはいえ、早口でまくし立てたり、エフェクトをかけたシャウトでぐちゃぐちゃに塗りつぶすようなアプローチは、「哀玩人形」とは異なるもので。
近いようでも同一ではないという個性のぶつかり合いを体感できるのでは。
良くも悪くも、当時のダーク系のテンプレートをなぞる手法なので、楽曲単位での目新しさはなく。
ただし、現代にそのパッションを蘇らせて、デモテープをリリースするという意気込みこそが価値なのかと。
この規模のバンドがお互いの楽曲をカヴァーという企画自体がなかなかお目にかかれないこともあり、面白かったですよ。
なお、同年5月29日の心斎橋JUZA公演でも、同名タイトルのデモテープが発売されています。
こちらは収録順が入れ替わっており、ふたつ揃えるとひとつのジャケットになるという仕様。
いずれにしてもレア度の高いアイテムですが、コレクター心をくすぐるのではないでしょうか。