TOUR 14 FINAL@中野サンプラザホール(2019.3.23) | 安眠妨害水族館

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cali≠gariのレコ発ツアーのファイナル公演、「cali≠gari 25th Caliversary"1993-2019" TOUR 14 FINAL -I've come a long way since those old days-」に行ってきました。

アルバム「14」に付属していた引換券を持っていくと、再録ミニアルバム「0」が貰えるという撒き餌に釣られる形なのですが、一度はワンマンに行ってみたいと思っていたバンドでしたので、ちょうど良い機会と思いまして。

 

少し遅れての開演。

「月白 」が流れてのオープニングだったのですが、ライブでの演奏に馴染まない楽曲を、歌入りでの登場SEにしてしまった形ですね。

気持ちを落ち着かせつつ、昂らせつつ、と相反する感情の持っていき方を調整するのに最適解とも言える演出だったのではないかと。

 

Vo.石井秀仁、Gt.桜井青、Ba.村井研次郎の3名が前列。

ドラム、キーボード、サックスにてサポートメンバーを加えて、後列を固めます。

「動くな!死ね!甦れ! 」、「カメラ オブスキュラ」と、じわじわ攻めるスタートだったわけですが、上記のとおり心の準備が整っているので、取り残されることなく、最初からきちんと耳に、体に入ってくる。

ホールということで、熱量が届きにくいことを想定したセットリストだったのかな。

ライブ的には、勢いのある「マシンガンララバイ 」から、青さんによる煽りを噛ませての「火葬遊戯」のコンボで、文字通り火が付いたのではないかと。

 

ステージングとしては、神出鬼没な青さんから目が離せなかったですね。

と言うか、一瞬でも目を離すと視界から消えてしまって、次の瞬間に思いもよらないところから飛び出してくる。

テクニカルなプレイに徹する研次郎さんと、テクニックよりもパフォーマンスで魅せる青さんとの対比が、ライブだとことさら面白く、これはホールだからこそ引き立った強みなのかもしれません。

とにかく格好良かったのは「-踏-」。

復活直後の楽曲で、思い入れ的なものも当然あるのですけれど、ライブで体感すると、こんなにもスリリングで息を吐く間も与えてくれないのかと、改めて衝撃を受けましたよ。

 

また、「オーバーナイトハイキング」の演出にも感服しました。

あえて照明演出を皆無にし、オーディエンスが振るライトの明かりのみで1曲演奏しきってしまうという。

ガリストさんにしてみれば定番のようですが、カメラを入れて、映像化も想定しているだろう中、照明を使わないという判断をできる勇気。

それはファンに対する信頼感とも言い換えられ、きちんとステージ上が視認できる彩度を確保しているのだから、余計に感心してしまいます。

それはそれは圧巻でした。

 

折り返しのタイミングで、青さんが会場に"シッティングプリーズ"と合図。

演奏されたのは、大人びたアレンジでの「春の日」でした。

青さんもセットに座っての演奏で、石井さんとアイコンタクトを取りながら訪れた最後のワンフレーズには、なんだかグッときてしまったな。

 

後半戦は、VJを使いながらの派手目な演出で、デジタルな楽曲たちを中心に。

前衛的なMVが披露された「天国で待ってる」からは、ひとつなぎのイメージでしたね。

電飾が施された"14"という大きなセットが天井から降ってきたかと思うと、その後も演出の一部として使用。

「飛燕騒曲」から「-187-」、「マッキーナ」へ続くアグレッシブなパートまで、サイバーな非現実世界として取り込まれてしまうぐらいに、インパクトがありましたよ。

誰もやらない言わば出オチ的なセットだけれど、だからこそ、そのどストレートさに度肝を抜かれるという。

ちなみに、「マッキーナ」では、サックスの女性が前に出てきて煽っていました。

それはそれでサマになっているから凄いですな。

 

ラストは「いつか花は咲くだろう」で耳馴染み良く。

もうちょっと、この曲が際立つような持っていき方でも良かったのではないかと思うものの、さっぱり流れの中で終わるのも、意図があったのかもしれません。

というのも、「深夜、貨物ヤード裏の埠頭からコンビナートを眺めていた」、「死は眠りを散歩する」という濃厚なアンコールが待っているわけで。

スモークを足元に敷き詰めたような幻想的な世界の中で演奏される、実にディープなサウンド。

照明も暗めで、何かを見せるというより、何かを感じさせる意図が汲み取れる。

アンコールらしいアットホームなMCなんてあるはずもなく、たった2曲で数時間かけて構築するレベルの濃密な世界観を表現してしまったのです。

 

演奏を終え、メンバーが退場すると、特報としてライブスケジュールを中心に諸々の告知が。

小ネタも挟んで笑いも起こっていたので、2ndアンコールはさすがにアットホームに行くかと思いきや、表現する世界観こそは異なりますが、「サイレン」、「クソバカゴミゲロ」と、とにかく突き放して終了するcali≠gari節。

このスタンスが格好良いのですよね。

大事なところで噛んで、笑いを持っていく青さんのご愛敬もありつつ、ピリっと締めて、かつ盛り上げて、という心に残るライブを体現してくれたという印象です。

 

本音として、聴きたいけれど聴けなかった楽曲だらけ。

だけど、それは必ずしも残念という感情ではなく、そこまで期待していなかった楽曲が、こんなに格好良かったのかと知るきっかけになったという意味合いが強い。

これを踏まえて音源を聴くことで、また違った響き方をするのかもしれません。

聴きたかった曲を聴くために、また足を運びたいとも思わせるだけのパフォーマンスでしたし、ミニアルバムまで貰って帰るわけですし、こういうのを多幸感と呼ぶのかな、なんて思ったりしながら帰路に。

今度は、ライブハウスでの単独公演にも遊びに行きたいものです。

 

OP. 月白 

1. 動くな!死ね!甦れ!

2. カメラ オブスキュラ

3. ゼロサムゲーム

4. マシンガンララバイ

5. 火葬遊戯

6. トカゲのロミオ

7. 紅麗死異愛羅武勇

8. -踏-

9. 群ら咲き

10. オーバーナイトハイキング

11. 春の日

12. 天国で待ってる

13. 拝啓=BGM

14. ファニソン

15. 淫美まるでカオスな

16. 飛燕騒曲

17. -187-

18. マッキーナ

19. アレガ☆パラダイス

20. いつか花は咲くだろう

 

en1. 深夜、貨物ヤード裏の埠頭からコンビナートを眺めていた

en2. 死は眠りを散歩する

 

en3. サイレン

en4. クソバカゴミゲロ