環情線/焔
環情線 680円 Amazon |
1. 夢枕
2. 逢憐歌
3. 離レ遠キ重ナラヌ願イ(remix-Ver)
4. 青春事情-野良犬の俺-
5. 犠牲の名のもとに
2010年に解散した焔。
本作は、2006年にリリースした1stミニアルバムです。
リリース当時は、Vo.華雪、Gt.憂佑、Ba.朱韋の3人編成。
華雪さん、憂佑さんは[enver] brainに活動の場を移しており、朱韋さんは、脱退後に氷牙名義でMegaromaniaに加入します。
レコーディングについては、サポートギター、サポートドラムを加えたフルメンバーで行われており、この時に参加していたGt.茜さんは、後に正式メンバーとなりました。
バンド名やタイトル、曲目などから、昭和歌謡をベースにした重たくドロドロした楽曲を想像していたのだけれど、それはブラフだった様子。
予想外なほどに正統派なヴィジュアルロックで、刹那的でメロディアスなナンバーを得意としていたようですね。
特に、クリアで繊細なギターリフと、美しいメロディラインが特徴の「逢憐歌」が象徴的か。
重苦しい哀愁ロックというイメージからのギャップが大きい一方で、耳馴染みが良く高揚感が抜群。
思っていた音楽性とは違ったけれど、これはこれで好き、というリスナーを増やしたのではないかと。
「離レ遠キ重ナラヌ願イ」は、会場限定シングルのリミックスバージョン。
少し和風な要素があって、切なく淡く「逢憐歌」からの流れを繋ぎます。
荒々しいロック色を強めているのは、続く「青春事情-野良犬の俺-」。
印象的なフレーズを紡ぐギターと、ラップ調になったりもするボーカルラインが面白い。
お約束的に重低音を効かせていたり、それっぽさがまったくないとは言わないのですが、ここまで綺麗に外されると見事ですよ。
ラストは、ポップさすら感じる「犠牲の名のもとに」。
やはり、タイトルのイメージと実際の曲調に差異はあるのだが、もう、これが焔の個性ということなのでしょう。
どことなくPIERROT感が漂っているうえ、まだ垢抜けなさが捨てきれていませんが、最後に持ってくる曲としてこれをセレクトしたことについて、異論は出ないはず。
良くも悪くも、とにかくギャップ。
意図的なのか、偶然なのか、曲調とコンセプトにズレがあるのが、かえって引っかかりになっているという。
うっかりハマってしまいそうな驚きがありました。
逆に、本来この手の音楽性が好きなリスナーにまで、この作品が届いていないという懸念もあるのだよな。
現在であれば安価で購入できると思いますので、イメージで避けていた人がいれば、試しに聴いてみてはいかがでしょうか。