Any verse / xTRiPx | 安眠妨害水族館

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Any verse/xTRiPx

Any Verse (通常盤) Any Verse (通常盤)
5,738円
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1. Intro-anniversary-

2. Any verse

3. three minute little story

4. Astrovibes (Album ver.)

5. crossover

6. classic

7. Dream catcher (Album ver.)

8. get up again

9. be alive

10. lily(Album ver.)

11. past<future

12. re lily

13. Against (Album ver.)

14. millky way[Dj 6-six-Remix]

 

2003年から2015年まで活動していたxTRiPxのフルアルバム。

1年半の活動休止からの復活後、2013年にリリースされた作品です。

 

徐々に独自性を高め始めて、10周年というタイミングでの集大成的なリリース。

髭を蓄えたVo.Yo-shiTさんの風貌も相まって、まさに異端児となっていた彼らですが、音楽性をとっても、シーンの流行に留まらないサウンドを鳴らしていたのだな、と。

ラウド、レゲエ、ヒップホップにエレクトロ、何でも積極的に取り入れたミクスチャーロック。

ヴィジュアル系シーンには比較的後発的に入ってきたラップについても、高い完成度でこなしており、センスの良さを感じさせますね。

 

興味深いのは、これだけ他ジャンルとのクロスオーバーを図っているので、ヴィジュアル系としての聴きやすさを失っていないこと。

本格的に進みすぎると、とっつきにくく遠く感じてしまう。

かといって、シーンに寄せすぎると付け焼刃感が出てしまい、安っぽくもなってしまう。

陥りがちなジレンマですが、彼らの場合はアレンジが非常に上手く、メロディ部分はキャッチーに、それ以外の部分で本格派をアピールするという手法で、親近感と新鮮味、両方へアプローチしていました。

 

例えるなら、baroqueの「sug life」の現代版。

どちらも、Dragon Ashあたりからの影響があって、独自解釈のうえでシーン向けにカスタマイズした作品と言えるのですが、リリースしたタイミングにおけるキャリアの積み重ねや、シーンの成熟も相まって、正当進化系と捉えることもできそうです。

こちらが後発ということで衝撃度は薄まるかもしれませんが、その分、洗練されているといった印象。

 

歌詞については、メッセージ性が強め。

xTRiPxへの想いを等身大で綴った表題曲「Any verse」もさることながら、ミディアムナンバー「past<future」が象徴的でしょうか。

特に聴きどころとなるのは、間奏後のラップ調のパート。

Yo-shiTさんであれば"良しとしよう"など、歌詞の中にxTRiPxのメンバー名を織り込むという仕掛けが施されているのですよ。

しかも、現役メンバーだけでなく、Gt.将吾さんやBa.ちょびさんといった、過去に在籍していたメンバーまで登場し、気付いたらよりグッとくるという。

 

なお、Dr.enaさんは、直人名義でダウトにて現役で活動中。

本作のリリース時には脱退していますが、将吾さん、ちょびさんは、その後DIVを結成しました。

メインコンポーザーでありフロントマンであったYo-shiTさんの次の動きが見えないことからか、なかなか話題に上がることが少ないバンドではありますが、リリースから5年以上経った今でもレベルが高いな、と思わせる1枚。