RELIC E.P./APPLIQUE
1. Az
2. 二アリー
3. 鋼鉄のリンネ
4. -273.15℃
5. 彗星
6. レムリア
ユナイトのギタリスト、椎名未緒さんによるソロプロジェクトとして始動したAPPLIQUE。
本作は、初の音源となる1stミニアルバムです。
通常盤は1,000枚限定、完全盤は417枚限定でのリリース。
完全盤は、6曲に加えて、「レムリア -sing with pf-」、「マグロ漁-2018-」、およびそれぞれのoff vo.バージョンが収録されています。
メンバー全員で作曲するスタイルにシフトしつつあるユナイトにおいて、がっつり未緒さんの楽曲に浸れる作品を待っていたというリスナーも多いのではなかろうか。
さて、本作の目玉はゲストミュージシャンの顔ぶれとなるのでしょう。
現役世代の人気アーティストを迎えての豪華さをアピールするのではなく、ゼロ年代のシーンを支えたバンドたちの同窓会といったワクワク感。
中には、実質的に引退していたメンバーも多数参加しており、当時を知るリスナーであれば、驚きで声が上がるレベルの衝撃がありました。
特にボーカリストはこだわって集めたな、と。
「Az」は、Vo.いっち(ex-キャンゼル)、Gt.椎名未緒、Ba.ハク(ユナイト)、Dr.匠(ex-UnsraW)という編成。
キャンゼルのメンバーが3人集合しており、あの日の続きがはじまったかのような音楽を奏でてスタートを切ります。
切なさを帯びたメロディアスなナンバーで、キャンゼルを意識した作風ではあるのだけれど、ひとつ前に進んでのメッセージ性も感じ取れる。
あのままキャンゼルが解散していなかったとしたら、今頃こんな曲をやっているのだろう、というパラレルワールドに連れて行ってくれる1曲に仕上がっていました。
続く「二アリー」は、Vo.だいご(ex-GLAMMY)、Ba.そらお(ex-THE KIDDIE)を迎えて。
楽曲は、とても椎名未緒節なのだけれど、ハスキーなだいごさんの歌声が乗ると、なんとも新鮮な雰囲気に。
唯一の現役ボーカリスト、平一洋(ラッコ/ex-餞~ハナむケ。~)を加えた編成で送り込まれる「鋼鉄のリンネ」は、ナイーブな攻撃性を纏っており、平さんのスタイルにかっちりハマっています。
Ba.大蛇(ex-游彩)、Dr.莎奈(ユナイト)のコンビネーションも含めて完成されており、むしろこれがユナイトとしてレコーディングされる候補曲だったというのが信じられないぐらい。
個性が強いタイプだと思っていた未緒さんですが、こうして様々なコラボレーションを見るにつれ、実はボーカリストを活かす楽曲を作るスペシャリストだったのだと感心してしまいますよ。
「-273.15℃」では、Vo.Yo-shiT(ex-xTRiPx)、Gt, RYO:SUKE(WING WORKS/ex-少女-ロリヰタ-23区)の2名が初登場。
ドラマーは、「Az」、「ニアリー」に続いての匠さんが担当しています。
ミディアムテンポのロックバラードであり、硬派でスタイリッシュな歌声が格好良い。
こんな引き出しも持っていたのね、というアクセントとして機能しているのでは。
興奮が止まらないのは、タケル(ex-ぐりむ)さんの参加。
10年以上聴きたかった声で、あの日と変わらずに新曲で聴くことができるなんて。
収録された「彗星」は、タケルさんの甘い歌声を活かす疾走チューン。
Ba.猟平(ex-CLØWD)、Dr.鹿野亮太(ex-ネオン)によるフレーズの応酬も見事で、トリ前の重圧を跳ね除けていましたね。
本編の締めくくりは、「レムリア」。
Vo.G(ex-Re'lude)、Gt.椎名未緒、Ba.aki(ex-LeMpicka?)、Dr.莎奈(ユナイト)という布陣で、シリアスにメロディアスに駆け抜ける。
バージョン違いも気になるけれど、この開けた雰囲気のままクロージングしていくのも悪くないな。
Gさんに関しては、現役時代よりも表現力が増している気がします。
ユナイトでボツになった楽曲が中心とのことだけれど、クオリティが低いなんてことはなく。
高いレベルで戦っているのだな、とわかるのも、副次的な本作の魅力なのかもしれません。
とにかく、ゼロ年代を懐かしめるリスナーにはマストと言いたい1枚。
こんなところから、ゼロ年代シーンの再評価がはじまっても面白いのだけれど。