デビュー20周年を契機に、6人編成として"新華"を遂げたSHAZNA。
新体制では2本目となる単独公演、「SHAZNA Live 2018 LOVERS LOVER II ~SECOND~」に行ってきました。
フロントは、中央にVo.IZAM、上手にGt.A・O・I、下手にBa.NIYという定番の配置。
後方は少し高くなっていて、中央にDr.夏芽、上手に2nd Vo.Raychell、下手にSax.ASUKAの立ち位置でした。
女性メンバーを3人加えた形になりましたが、全員170cm前後なのですかね。
ステージ映えするし、バンド内の姫であるIZAMさんが身長の面で浮かないというのも、SHAZNAにとっては何気に大きいのでは。
スタートは、彼らの代名詞である「Melty Love」の新体制バージョン。
サックスが加わったことで、全曲のアレンジが変わっているのですが、中でも「Melty Love」と「すみれ September Love」は、"20th Anniversary ver."と冠しているだけあって、大幅にリビルドされていました。
これには驚かされましたね。
暖色だった「Melty Love」が、寒色に上書きされた印象で、過去に何度もリテイクされる機会があっても守ってきたイメージを、ここでガラっと変えてくるか、と。
代表曲で盛り上げつつ、攻めの姿勢を見せつける、これ以上ない切り出し方でした。
セットリストは、新華後1発目のライブとの違いを意識した結果、歌モノ中心になったのだとか。
特に、メジャーデビュー前の山中湖でのエピソードを添えて演奏された「Lily of the Valley」から「Shelly」までのパートは、この日に聴けると思っていなかったラインナップだったので、嬉しい限り。
「C'est la vie」、めちゃくちゃ好きなんですよ。
上モノにサックスが追加されたことで、この手の楽曲は間違いなく深みを増した。
ツインボーカルの掛け合いがある「Shelly」にしても、女声ボーカルが正式メンバーとなった今の編成を象徴するような楽曲。
IZAMさんの喉の調子が安定している序盤に畳み込んだのも含めて、好判断だったと評価したいところです。
この日の目玉のひとつであるテイスティングでは、10年ぶりの新曲となる2曲を披露。
オーディエンスの反応によって、リリースをするかどうかを判断するとのことで。
「花束をくれた人」は、Raychellさんがメインボーカルをとるパートも用意された、SHAZNA流の結婚式ソング。
お洒落な大人の味付けで、V系の枠を平気ではみ出すことができる彼らだからこその楽曲でした。
もう1曲は、ほんのりダークに仕上げたミドルチューンである「愛の雫」。
こちらは、インディーズ時代の音楽性のまま、今の編成で楽曲を構築したといった面持ち。
ギターの音色が、らしくてニヤリとしてしまいます。
一応、リリースされる、ということで良いのかな。
詳細の発表を待ちましょう。
ロングMCとしておなじみのIZAMくんTimeは、趣向を変えてゲストを交えて。
後輩にあたる若手俳優、久下恭平さんが登場して、トークがはじまるのかと思いきや、インパクトを残さなくては、とエチュードをやる流れに。
解散後に劇団に加入していた、というエピソードを拾われてNIYさんも呼び込まれると、同窓会をテーマに3人で即興劇を開始するという前代未聞の展開に発展していました。
この場面に限らずなのですが、IZAMさんには、タレントとしての才能を改めて感じます。
リアルタイムで見ていた層と、後追い層が入り混じる復活後特有のやや重たい会場で、きちんとホーム的な空気に持っていく場の仕切り方にしても、コール&レスポンスでの応対に見られるトークスキルにしても、さすがプロだな、というレベル。
そして、このエチュード。
ボーカリストとしては引退状態だった期間も長く、歌唱力の面ではピーク時のコンディションは戻っていない一方で、その期間に培った舞台演出や俳優としてのスキルを、ライブに還元。
まさか、こんな形で成長を表現するとは想像できるはずがなく、これぞ"他のバンドがやっていないことをしよう"というV系における根本的な思想なのだよな、とハッとさせられました。
内容としても、NIYさんが飛び道具として上手く機能していて、素直に面白かった。
IZAMさん、久下さんの役者魂を見た、といったところでしょうか。
コーナーの後半では、4月がバースデーだったIZAMさんへのサプライズということで、A・O・Iさんが登場し、久下さんがボーカルの「Melty Love」をアコースティック仕様で。
冷静に考えると、ゲストの立場で本人の前で代表曲を歌うという久下さんのメンタル、強靭すぎるな。
甘い声質で、歌心があってびっくり。
ロングMCとは聞いていたけれど、総合エンターテインメントといった風合いの35分でした。
本編再開は、夏芽さんのドラムソロを合図として、徐々にメンバーが参加していくインストセッション「FALLING」から。
ここからラストの「Film」まで、とにかく定番曲を送り込んで、盛り上げることに特化した構成。
「SWEET HEART MEMORY」や「Raspberry Time」を、2018年に生で聴ける喜びを堪能しながら、ゴージャス感が増した「すみれ September Love」に新たな刺激を受けるという贅沢さ。
メンバーたちも、立ち位置を積極的に変化させ、ステージにアクセントを加えていました。
やはり、フロントに5人が並ぶと圧巻ですな。
アンコールの代わりに、オーディエンスが歌う「Melty Love」がしばらく響くと、再び登場する6人。
「恋人」を皮切りに、3曲を演奏してライブの幕を閉じました。
この日初CD化となったもうひとつの目玉、「LOVERS」も、このパートで演奏。
メンバーMCや煽りを含めるライブ仕様で、入場時に配られたCDへの期待値を高めます。
ライブで育ててきたこの楽曲も、予想以上にサックスが前に出たアレンジになっていて、まだまだ伸びしろがあったことを示す。
更に、ピークをここに持ってきておいて、ラストで再び「Melty Love」ってのは反則でしょう。
1曲目はリビルドバージョンでしたが、こちらは、耳馴染みのあるアレンジに近づけた形。
カタルシスが半端なくて、最初から最後まで満足度が上昇し続けたまま終演という、理想のライブだったのでは、と思ってしまうぐらいです。
ちなみに、自分も含めなのだけれど、男性ファンが想像していた以上に多かったですね。
バンドのイメージ的に、男が少ないイメージだったので意外というか。
配布音源があったというのも理由のひとつなのだろうけれど、新メンバーが新規層を流入させるという相乗効果もあるのかもしれません。
青春時代にずっと側にあった楽曲を生で聴きたい、という懐古主義的な思想でライブに行ったのですが、結果としては新鮮な刺激をいくつも受け取った。
なんだかSHAZNA熱が高まってしまったので、早いとこ、リリースの詳細を含めた今後の展開も知りたいところです。
1. Melty Love -20th Anniversary ver.-
2. TOPAZ
3. Piece of Love
4. Lily of the Valley
5. C'est la vie
6. Shelly
7. 花束をくれた人
8. 愛の雫
~IZAMくんTime with 久下 恭平~
9. FALLING
10. das speil
11. Love is Alive
12. SWEET HEART MEMORY
13. すみれ September Love -20th Anniversary ver.-
14. Raspberry Time
15. Film
en1. 恋人
en2. LOVERS
en3. Melty Love