果実/zicross
1. 偽り姫
2. 色亡き過去
3. 白影
4. 瞑
5. 絶望の花が咲いた時
始動から1年、zicrossによる1stミニアルバム。
ライブ会場と、ZEAL LINK限定でのリリースとなりました。
Vo.如月、Gt.和希、Ba.氷呀の3人編成。
これまでは、配信シングルを中心としたリリース活動でしたが、遂にCDを発表。
配信シングル4曲に、新曲1曲と、1年間の軌跡をまとめたような内容で、現時点でのベスト盤といった趣もあるでしょうか。
彼らの音楽性は、ヴィジュアル系ど真ん中のメロディアス路線。
ハードに攻めたり、凝った展開にしたりと幅は求めつつも、切ない歌メロを前面に押し出すスタイルです。
どこを切り取っても気持ちが良いぐらいに王道的で、如月さんの艶やかな声質もハマる。
デスヴォイスを用いたアプローチもないわけではないが、歌モノに強みを持つボーカリストですね。
実態的に配信シングルをまとめた作品であるため、1曲1曲が単体で成立するだけのインパクトを誇っているのもポイントかな。
様式美的なサウンドと、耽美歌謡な歌メロが癖になる「偽り姫」に、ハードさを押し出した「色亡き過去」、ミドルテンポのダークな雰囲気からスタートし、複雑に構成を変えていく「白影」と、シングル曲を並べただけでも、バランスはなかなか。
個人的に気に入ったのは、「瞑」のストレートなサビ。
掛け合いなどでアクセントを加えながら、カタルシスとなるようにサビで盛り上げる気の利いた1曲に仕上がっています。
ラストに収録されたのは、新曲である「絶望の花が咲いた時」。
「瞑」でも十分に王道であると感じていたけれど、こちらは更にそれを上回ろうとしていますよ。
疾走感のあるバンドサウンドに、切なさを帯びたボーカルライン。
彩を添える同期に、印象的なギターソロ。
派手なバンドではありませんが、佳曲が多くて、まさにダークホース。
どうせだったら、最新シングルの「指切り」も収録してほしかったなぁ。
なお、彼らの配信シングル、先着300人がダウンロードを無料で出来るという企画でも話題になりました。
これ以上のインパクトを出すのは難しいかな、と思っていたところ、本作は1,000円+税金のみというコストパフォーマンスの良さで勝負。
まだまだマイナーバンドの域を出ず、ジャケットデザインにも手作り感が溢れているという状況ではありますが、ポテンシャルは高そうです。
メロディアスな王道バンド好きリスナーは、一度手に取って見てほしい1枚。