調律、その脈動に問う/Soanプロジェクトwith芥
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調律、その脈動に問う
2,808円
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1. beginning
2. パラドクス
3. 薄紅は舞い散り寂光に消える
4. sign…
5. undelete
6. 躁狂の踊り子~山紫水明の宴~
7. 刹那を駆ける命の一行に
Soanプロジェクトwith芥としては2枚目となるミニアルバム。
Soanプロジェクトwith手鞠による「旋律、静かな願いと」との連続リリースとなりました。
ふたつのプロジェクトを並行しての活動となっていますが、それぞれ、ボーカリスト以外の演奏陣もある程度は固定してチーム力を増強。
こちらについては、Vo.芥さん、Gt.Shunさん、Ba.Ivyさんというお約束のメンバーが地盤を固め、ex-BORNのGt.Kさんが加わり、新たな風を運んできたといったところでしょうか。
SEである「beginning」が「パラドクス」の導入的に収録されているため、「旋律、静かな願いと」よりも1曲多い仕様。
わざわざ曲数を増やしてまで世界観作りをしているわけですが、聴いているうちに、その理由がわかってくる。
歌モノ要素が強い「パラドクス」からスタートして、緩急をつけながら徐々に盛り上がっていく構成になっていて、まさにそのままライブのセットリストにできそうな感覚なのですよ。
3マンか4マンぐらいのイベントだと、ちょうどよいぐらい。
激しいナンバーもバラードもあって、曲の振れ幅はSoanプロジェクトwith手鞠と比較して大きいのもポイント。
激しい=with芥、大人しい=with手鞠ということではないのだな、とはっきり示してくれました。
とことん強みを伸ばそうとするwith手鞠のアプローチと、ライブ映えを重視して足りないピースを埋めていこうとするwith芥のアプローチ。
どちらもハマっているから面白いよなぁ。
また、深堀したくなるのが歌詞。
過去の作品からのリンクがいくつか見られ、ストーリーを思い浮かべてしまう。
「sign…」については、前作に収録されていた「透過幕」のアンサーソング的な内容なのだとか。
加えて、with手鞠における「sign… -resonance-」とも対になっていて、様々な角度から楽しめるナンバー。
ふたつの形態を持つ、Soanプロジェクトならではの仕掛けと言えるでしょう。
純粋なインパクトとしては、1stミニアルバム「慟哭を鼓動として道とする音」のほうが大きかったかな。
ただし、奥深さを伴い進化するサウンドは、聴けば聴くほど味わいが増す。
じわじわと癖になる、完成度の高い1枚です。
<過去のSoanプロジェクトwith芥に関するレビュー>